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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 技術ライフサイクルと“キャズム”(中国ビジネスとイノベーション/朱穎)

技術ライフサイクルと“キャズム”(中国ビジネスとイノベーション/朱穎)

09/02/24

■キャズムとは
技術ライフサイクルとキャズムについてお話させていただきます。
技術ライフサイクルというのは、何となくイメージでしやすいと思いますので、
キャズムについてご説明します。
これは、直訳すると深い溝という意味です。
どういうことかと申しますと、新製品が市場に導入されていくプロセスに関して、
従来は、技術ライフサイクル・モデルとして、
例えば導入期から、採用者をどんどん拡大して、
最終的にメインストリームマーケットの方に浸透していくという、
プロセスがあると言われていました。
しかし、新しいアプローチとして、初期市場と大量市場、
メインストリームの間に、実は、スムーズに拡大浸透できない、
むしろ深い溝が存在するのではないかということをキャズムと呼んでいます。

90年代にアメリカのハイテク産業を、ずっと見てきた、
ジェフリー・ムーア氏という方がテクノキャズムという、
1つのモデルを提案しました。
実は、彼が参考にしていたのは、技術のライフサイクル・モデルです。
キャズムというのは、技術ライフサイクル・モデルを改良した考えで、
特にハイテク企業に関して、分析アプローチの一つとして、
最近よく言われております。


■技術ライフサイクル
その技術のサイクルというのは、基本的に、4つの段階があります。
新しい技術は、技術ライフサイクルに沿って、
市場にスムーズには浸透せず、段階を経て浸透していくというのが、
前提になっています。
図表を描けば、よく分かると思いますが、S字カーブになっています。
その曲線の下の顧客グループは、それぞれ心理学的、
人口統計的に異なる特質もっていますので、
技術に対する反応も全く異なります。
例えば、技術のライフサイクルの中の最も早い段階で、
その製品を導入する顧客層、つまりいち早く新しい製品を購入する人は、
イノベーターと呼ばれています。
マニアのようなイメージもあるかもしれませんが、
他の顧が全く関心を示していない時期でも、
ある意味で斬新的な考えをもって、冒険も含めて、新しい技術、
あるいは製品を購入するという階層です。
彼らの行動は、その他の顧客に対して非常良い影響を与える、
という想定もあります。
次に、ある程度の時間の経過に伴って購入する顧客層を、
アーリーアダプター、初期少数採用者と呼んでいます。
彼らの行動で特徴的なのは、競争優位を第一として考えていまして、
そのために新しい技術を採用するわけです。
更に、導入事例にはあまりこだわらず、自らの先見性を根拠にして、
購買行動を起こすグループです。
イノベーターとアーリーアダプターとの間に初期市場が存在します。
この初期市場が全体の6分の1を構成する大切な段階です。
次に、第三段階として、やはり大量生産ができるような、
メインストリームが生まれてくるわけです。
このメインストリームの中で最初に出てくるのが、
アーリーマジョリティ、メインストリーム市場の中の、
初期多数採用者と定義されています。
彼らはどちらかというと、基本的に、後半の採用者と比べて、
より斬新的な考えを持っていますが、自ら行動を起こすというよりは、
誰かの行動を参照にして、新しい製品を購入するという行動をします。
やはり購入事例がないと、その後に安心してそれを採用したり、
購入したりというところには移っていかないということはお分かりと思います。

既存の技術ライフサイクルでは、イノベーター、アーリーアダプター、
アーリーマジョリティ、更にレイトマジョリティと続き、
段階や時間の経過に伴って変わっていくということが自然です。
しかし、例えば、ハイテク技術産業において、企業が、
初期市場では急成長を遂げても、ある時期では、
急に成長できなくなってしまう、という時期が訪れます。
それは、初期市場で終わってしまい、その次のメインストリームに、
続けて行けないということです。
ですからその間に深い溝、キャズムが存在するというわけです。


■キャズムの克服
それを乗り越えるために、色々なことを考えなければなりません。
1つの方法として、やはりメインストリームの顧客のために、
購入や採用の事例を提供することがあります。
しかし、そこで問題となるのは、その初期の段階にあった事例は、
後半の購入層にとって参照にならないということです。
では、どうすればいいのか、ということですが、やはりニッチ市場から、
何らかのアプローチをしていかなければならないわけです。
既存の技術はありますが、それでは解決できないような、
顧客が存在します。
そうした顧客をターゲットして、何か新しいサービスや機能を提供して、
それを1つの土台として、徐々に周辺の市場をせめていくというのが、
先ほどのジェフリー・ムーア氏が提案したキャズム戦略です。
そのためには顧客が一体何を狙っているのか、
何を必要とするのかということをまず探らなければなりません。
既存の製品が存在していても、それに満足していない、
あるいは、顧客のニーズにフィットするようなサービスが、
実はまだ提供されていないという落とし穴がある可能性があります。
それを発見し、ターゲットとして、徐々に拡大していくというのが、
戦略の一つではないかな、と思います。

分野: 朱穎准教授 |スピーカー:

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