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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > オバマ就任後の日本をどうする(経済学/久原 正治)

オバマ就任後の日本をどうする(経済学/久原 正治)

09/02/18

■日本の失敗-欧米の仕組みの取り入れ方-

日本の多くの人は、オバマ大統領が就任して、
オバマがうまく改革を行えば、日本もその流れにのって、
日本も良くなると思っているようですが、
実はそうではないと私は思っています。
これまで日本が、明治以来、延々と失敗したことは、
欧米の方法を、それが全てであると考え、
その流れにのり、欧米で進んでいるから
取り入れるという形で、仕組みだけを
取り入れてきたことにあると思います。
なぜ、そのような仕組みがアメリカで行われているか
などの背景を全然考えていなかったために、
日本はこれまで失敗したのではないかと思っています。

また、日本の中には、アメリカはダメだったから、
全部元の昔の日本がいいのだ、と極端な事を
言う人もいますが、それも違うと私は思います。
アメリカの制度の中にも、
日本より進んだ制度はあるのです。
先ほど申しましたように、仕組みや制度の背景を
よく見て、その中から日本に合う仕組みや制度を
導入して、日本の従来のものとどう適合させるかを、
考えなければなりません。
それを怠ってきたがために、
例えば、雇用の問題においても、
非常に構造改革を急ぎすぎて、
日本の基礎である人と人との信頼などを
崩してしまったことが問題なのだと思います。


■日本とアメリカの相違-両極端の国-

40年位、仕事や学校でアメリカと関わってきましたが、
まず、日本とアメリカは、両国とも非常に特殊な、
極端な国ではないかと思っています。
アメリカの制度は、性悪説を前提に
組み立てられています。
一方、日本の制度は、性善説が
前提に出来上がっています。
ここが、まず出発点として、大きく違います。
アメリカでは、人と人は信頼が出来ない、
という前提で制度が作られていますが、
日本では、人と人とは信頼が出来る、
という前提の制度で、両者は全く違っています。

例えば、政府に対する考え方でも、
アメリカは個人の自由が大事であり、
それに対して政府はなるべく小さな役割に
するべきだと考えています。
個人が自立して自分のもの、権利などを
守っていき、これを人権と呼び、
政府が侵害することに対して、
権利を主張しています。
しかし、日本では、
「何かあったらお上が助けてくれる」
という考え方なのです。
つまり、個人は、政府に依存し、
権利は与えられているものだと考えています。
何に対しても、「人権だ」、「人権が大事だ」、
と言う時がありますが、非常に無理難題を
言っていることが日本では多いのです。


■契約について

契約に関しても、アメリカでは、
相手は信頼できない人ですから、
色々なことを契約に書くため、
契約書は分厚くなります。
ただし、それを全部書けないところが、
なかなか大変なのです。
しかし、日本では、契約書がなくても、
長期的な信頼や付き合いが前提で、
問題が生じれば、今後は取引きしない慣習のため、
日本では、契約書があまり意味を持ちません。
だから、日本に弁護士はあまり必要ではなく、
日本にロースクールを多く作るのは、
少しおかしいのではないかと、
経営学者の私としては思っています。

日本は、長期的な関係がまず大事で、
ルールが明確でありません。
外の人から見たら、長期的な関係で
お互いに親しいから取引を行っているとしても、
どのような条件でそれが行われているかは
よく分かりません。
それから、取締りもやや不明確なところがあります。
一方、アメリカは、
ルールが明確で、ルールに違反したら、
非常に厳しい取締りがあります。
世界では、そのように明確な点が
受け入れられて、アメリカ的な仕組みが
グローバルに広がったのだと思います。


■オバマの必要性は日本にはない

オバマが行うことで、日本は、
良いことは一緒に行っていくべきですが、
日本に合わないところが多く出てきたときは、
必ずしもそれにのる必要はないと思います。
例えば、オバマは環境政策を、非常に重視していますが、
環境に対する捉え方も、日米で大きく異なります。
日本では、環境を、自分を取り巻くものだと捉え、
アメリカでは、環境を自分と敵対するものだと捉えています。
だから、アメリカ人は、エネルギーを使いたい放題使い、
なくなれば、次は、我々で新しいエネルギーを
作ればいいではないかと考え、決して節約を
考えていない環境政策を行うわけです。
日本は、アメリカが環境政策を行うというので、
何か節約の新しい方法をやるのかな、
と勘違いしているのですが、新たなエネルギー、
オイルが枯渇した時の代替物を探しているわけです。
そのエネルギーで、ばかでかい家を全部暖房、
あるいは全部冷房して、無駄に、お湯はすぐに出る
ようにしてといったことを考えています。
しかし、日本は、そこは節約して、自然と共存して
環境政策を行うということですから、
根底の精神が全然違うわけです。

■アメリカに頼らない自立した日本を作る

経済においては、
日本は、アメリカに依存しないで、どう自立するか、
日本の中でも、九州はどう自立するのかが課題です。
アメリカの物まねやアメリカの依存から、
どうやって脱却するのかが、これからのポイントです。
しかし、今の日本は輸出依存型なので、
まずアメリカの経済が回復して、アメリカ依存で
経済回復を図るしか道はありません。
けれども、徹底的な大きな経済回復策を
世界中が実行している中で、日本だけ
国会でずっと延々と議論していても
仕方がないのではないかと思います。


■失った信頼の回復

この数年間、小泉首相以来、
日本はアメリカの性悪説に基づいた制度を
作ろうとしてきました。
その結果、人間同士や色々な世の中の信頼、
特に今、世代間の信頼が壊れています。
また、労使間の信頼が壊れていて、
正社員と非正社員との間の信頼が
壊れているともいえます。
このように壊れた信頼関係をどう回復させるかを、
今後の制度設計の中で、考えなければいけません。
日本人は、今後、悲観論はやめて、
アメリカ依存もやめて、自立することが重要です。
特に、若い人はアジアのリーダーになる位の
気持ちでいかなければいけないと思います。


■日本の若者を世界に通用する人材に

1月15日に、日本の若者を世界に通用する人材に、
というタイトルで本を出版しました。
私は、九州の若者が九州で働く場所がないことが、
九州大学で教えていて分かりました。
そのような九州で優秀な若者が働くためには、
今後はアジアと組んでいくことが大切だと思い、
そこで、九州の若者がアジアの人材を
引っ張っていく位のリーダーシップを
もっていただきたいと考えました。
それが、この本を書いた1つのきっかけです。
是非、若い方に、こういう本を読んでいただき、
アジアのリーダーになって欲しいと思っています。
学文社から2,000円で出版されていますので、
手に取っていただきたいと思います。

http://www.gakubunsha.com/cgi-local/search.cgi?id=book&isbn=978-4-7620-1901-2

分野: 久原正治教授 |スピーカー:

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