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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 中国の自主創新と標準化(中国経済と産業/国吉 澄夫)

中国の自主創新と標準化(中国経済と産業/国吉 澄夫)

09/02/17

■中国規格による標準化
今回は中国の自主創新と標準化というテーマなでお話させて頂きます。
これまで、自主創新という言葉を使ってきましたが、
それを改めて説明します。
これは中国の発展政策の中で、外国の物まねではなく、
独創的な技術力、独自技術を作りあげていこうという動きのことです。
その関連で、標準化ということにも絡めて、お話をさせていただきます。

携帯電話やデジタルテレビなど、こういうものは、一つの標準化項目です。
昨年、オリンピックがありましたが、これを挟んで、
こうしたものが非常に活発に展開されていたということがあります。
まずデジタルテレビ放送です。
これは、昨年、地上波の規格がスタートしましたし、それからオリンピックでは、
世界に向けてデジタルハイビジョンが発信されています。
これは、中国独自の方式によるものです。
それから、もう1つは、携帯電話です。
これもオリンピックの期間中に、会場周辺でTD-SCDMAという、
中国独自方式の第三世代携帯電話の商業試験が展開されました。
実は、その後2009年早々の1月7日に、
このTD-SCDMAという中国独自方式とそれから欧州方式、
それからクアルコム方式ですね、この3つの方式が、
第三世代の中国の携帯電話の方式として決まりました。
その正式なサービス免許が、それぞれチャイナモバイル、
チャイナテレコム、チャイナユニコムの3社に対して与えられています。
これは、これからの業界の動きを決めていく、大きな発表です。
中国は、今まで第二世代の携帯がメインでしたが、
第三世代に正式に入ったという、そういうことです。


■デジタル放送の標準化
標準化ということについて、以前から中国では、
「一流企業は標準で売っていく、二流企業はブランドで売る、
三流企業は製品で売る」というような言葉が、語られてきています。
企業戦略において、製品のコア領域の知的財産戦略には、
標準化が特許戦略と並んで重要であるという認識が、
この言葉の中に示されています。
実は、日本企業も、標準化を企業戦略の重要な柱にしています。
この1~2年、急速にこういうことを言ってきているわけです。
ところが、中国は、これよりも早くから言っているように私には思えます。
しかし、一方で遅々として標準化が進まなかったというのも、
また事実です。
中国の国家標準というのは、国家標準化管理委員会という組織が、
決定権を有しています。
彼らが中心になって進めて、その下に様々な、
ワーキンググループが、絡んでいます。
デジタル放送を例にしますと、そうした管理機構や研究機関が、
様々な利害関係が絡ませながら、標準が決定するまでに、
10年以上の年月を費やしました。
つまり、1996年にこの議論はスタートしていますから、
随分と時間が掛かっているわけです。

それから、1999年に、中国建国60周年というパレードが行われました。
この時は、生放送でハイビジョン放送を行っています。
ですから、ある一定の技術レベルがあったと言われているわけです。
ところが、その後ケーブルや、地上波の規格を作るのに、
国内でも様々な主導権争いや、管理不在とでも呼ぶようなことがあり、
こういうことが災いをして、世界の潮流から遅れてしまいました。
そしてやっと2007年の末から2008年にかけて、
地上波デジタル放送が全国8つの市で実用化されたということです。

中国国内企業の利害関係というのは、お金が絡んでいるというよりは、
むしろ、色々な面子が絡んでいるといった方がいいでしょう。
デジタル放送規格については、国が資金を出してある研究機関に開発しろ、
と言ったのに、結局、開発できなかったのです。
最終的には以前にお話ししたように、
清華大学方式が中心になって決まりました。
清華大学方式というのは、当初、中国政府から、
資金をもらってはいないものでした。
また、実は99年段階で、中国では既に標準案があり、
それを国際標準に提案すれば、その後のデジタル放送化は、
非常にスムーズにいったにも関わらず、国内の事情で、
国際標準にできなかった、ということを言っている人もいます。
色々と複雑な事情があるようです。


■中国企業の自主創新
次に自主創新の動きです。
「自主」あるいは「独自」という言葉を見ると、一見、
日本を含む外資系企業の、中国での事業を排除しているのではないか、
と見られがちです。
これについては、中国のデジタル放送の標準化を、
積極的に推進してきた中国電子情報製品管理局の、
白為民(ハクイミン)さんという女性の方に尋ねると、
「自主創新というのは、外国企業を排除するのが目的ではありません、
中国の企業と日本の企業が一緒になって、特許標準も含めて、
技術で共同開発するということを、この言葉は含んでいます」、
と回答されています。
ですから、国際協調を目指す、ある種のインターナショナルな動きだ、
というふうに捉えていいのではないかと思います。

日本企業では以前から、中国で様々な技術活動を行っていますが、
中国の情報を集めて、それを自社の製品開発に生かすことを主流にする、
いわば「守りの対応」を中心にしていました。
そのために、コア技術はブラックボックスにして、
開示しないということを言っている人もよく見受けられました。
しかしこれからは、やはり各分野で、中国が外資に対して門戸を開いて、
ワーキンググループを作り、一緒に開発していく、
ということが行われ始めています。
このワーキンググループに参加して、中国標準と世界標準を、
一緒に作っていくという、「攻めの対応」も、
これからの協調の時代には求められているのではないかな、
と私は思います。

つまり日本からの技術を持ち込んでいくだけでなく、
中国での動きに合わせて一緒になって開発していこうということです。
俺の帰属だ、お前の帰属だ、と言うよりも、
共同でやっていくことが求められていると思いますね。
世間でよく言われる、デファクトスタンダード、
これは競争の勝者が有する「事実上の標準」とも言われますが、
これからは、ISOとかITU標準のような、
オープンな国際標準化システムというのが歓迎されていくのではないか、
と感じています。

分野: 国吉澄夫教授 |スピーカー:

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