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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 海外の金融危機(財務戦略/村藤 功)

海外の金融危機(財務戦略/村藤 功)

09/02/13

■世界金融危機
前回は、日本の金融危機のお話で、2008年の株式市場は、
2007年に比べると40%ほど下落しているということでした。
今回は海外の金融危機についてお話させていただきます。

世界の株式市場についてですが、2007年の10月ごろが、
そのピークでした。
この頃は、総額が60兆ドルを越えていました。
しかし、もう30兆ドルほどになってしまい、
当時の半分になってしまっている状況です。
ざっくり言うと、3千兆円位の資産が、世界の株式市場で、
失われたという状況ですね。
兆円という単位を使うと、頭が真っ白になってしまう人も多いと思います。
日本のGDPが約500兆円ですので、3千兆円というのは、
大変大きいお金だということがお分かりだと思います。

サブプライムによる損失処理がどの程度進んだのかというと、
現在100兆円ほどは処理が済んだのかな、という程度です。
まだまだということですね。
問題が起こった当初、FRBのバーナンキ議長は、
損失見込みを10兆円と言いました。
あまり大き過ぎる額を言わないようにと、
当時は周囲に非難されていたわけです。
しかし、発表するごとに、それが、20兆、30兆、40兆と、
どんどん膨らんできて、現在では100兆円程度は処理した、
と発表しました。
ところが、数百兆円ほどやられているのが間違いないという状況です。

アメリカの家計だけでも、株と不動産を中心に、
600兆円ほど資産を喪失したという計算が発表されはじめています。
金融機関も実際の損失額である数百兆円の損失の、
半分程度を負担するとすれば、全体の3分の1ほどしか、
処理が進んでいないことになります。
すると、残りの3分の2が、これからさらにやってくるということになりますね。

以前から、この金融危機はいつ終わるのか、という問いに、
なかなか終わらないのでは、と答えてきましたが、
現状はやっと3分の1ほど処理されてきたのかな、
という程度の状況です。
現状を鑑みると半年や1年では回復は厳しいでしょう。
少なくとも2年はかかるであろうということが、段々見えてきています。


■各国の株価、債券、融資の状況
株式市場は、ロシアが72%下がった、中国の上海で65%、
インドで52%、ブラジルで42%と下がった、という報道が相次いでいます。
BRICs(ブリックス)は、もう全滅という状況です。
ロシアは元々、海外の投資家が一儲けしようということで資金を投入し、
株価が上がっていたという事情があります。
ですから、こういう危機的状況になると、
海外の投資家が皆一斉に逃げてしまい、どんどん下がってしまいます。
ちなみに日本は、42%の下落ですが、アメリカは36%なので、
日本よりも少ないです。
発信源のアメリカの下落率がなぜ日本より小さいのかと考えると、
納得がいかないところもあります。

日本ではかなり下がりましたが、更なる株価下落の可能性もあります。
これまで結構な海外からのお金が日本に入ってきましたが、
心配なことに、まだ解約を停止しているヘッジファンドが、
数多くあると言われています。
ヘッジファンドというのは、少し相場が厳しくなると、
解約を停止すると最初の契約書に書いています。
そうすると、お金を預けている人たちが、返して下さいと言っても、
少し待ってくださいと応じません。
解約の停止が解除されるまで、お金は戻ってこないわけです。
ファンドとしては、相場が落ち着いたところで売って、
損失を出来るだけ回収して、お金を返します。
その解約停止分が沢山残っているということは、
解約の凍結が解除された段階で、
売りが数多く出てくるということなのです。
ですから、残念ですけれども、まだ下がる要因が、
残っているという状況です。

世界では債券も100兆~200兆ほどの損失、
ローンもアメリカの住宅ローンや破綻企業に対するローンを中心に、
100兆か200兆ほどの損失と言われています。
皆で様々な計算をしていますが、現在その損失の全体像が、
数百兆円のどの辺にあるのかよく分からないという状況です。
結構な額の損失があって処理されないで残っているのは、
間違いないということです。


■アメリカの対策
アメリカの経済の復興に向けての動きを改めて確認しておきます。
アメリカはあらゆる対策を考えてきました。 
まず、金融安定化法を制定しました。
金融機関を助けるのに7千億ドル、
つまり70兆円位の資金を使うことにしました。
それから、ファニーメイとフレディマック、これは政府が、
金融機関の証券化資産などを買い取らせた結果、
破綻したため助けざるを得ず、8千億ドル、80兆円位を使うことにしました。
それから、アメリカ企業のコマーシャルペーパーを買い取るのに、
1兆8千億ドル使います。
これは桁が1つ大きいですが、180兆円位使うことにしました。
それから、公定歩合の貸し出し、
ヨーロッパのECBや本の日銀などへの資金融通に対して、
無制限にお金を出すというようなことを決めてきました。
これに加えてオバマ大統領は、今回8千億ドルの景気対策を、
新しく言っています。
全部出したら、一体何百兆円になってしまうのか、
よく分からないほどの額で、アメリカは今年中に、
100兆円の財政赤字に陥るというような状況になってきています。

アメリカの失業者もかなり増えています。
2008年で259万人の雇用者が減少したということで、
第二次大戦以来の失業という深刻な状況です。
失業率が12月段階で、7.2%なので、
これを放置すると8~9%になってしまいます。
この危機感がオバマ大統領の、
8千億ドルの景気対策のモチベーションになっているようです。


■アメリカの金融機関
アメリカの金融機関についてですが、段々と数を減らしてきました。
投資銀行はどこに行ってしまったのだろうか、という状況です。
最後に残った、ゴールドマンサックスとモルガン・スタンレーという、
一番強い投資銀行が、商業銀行になってしまいました。
これはコマーシャルバンクといって、
自己資本比率規制を受けなければならない、
FRBの傘下にならなければならないものです。
本当に世の中が全く変わってしまいました。

シティバンクも、結構大変なことになっており、
これは日本にも影響があります。
シティグループは2つに分けられ、シティコープグループと、
シティホールディンググループになります。
シティコープグループは、預金、カード、融資、インベストメントバンク、
プライベートバンキング等これまでコア事業として考えられてきたもので、
これからも続けて行きたいということです。
ところが、シティホールディンググループは、
ブローカレッジ(証券の仲介)、それから、資産運用、消費者金融、
住宅ローン等の業務を含み、これらの事業は、
これから売却していくという話になっています。
ここで大変なのは、シティホールディングの傘下となる、
日興コーディアル証券や日興アセットマネジメントは、
売却対象事業になっていることです。
これを売ったら誰が買うのか、ということで騒然としています。
先日シティはコーディアルを大騒ぎして、買い取ったところです。
しかし、買い取っている内にシティの価格が下がってきていしまい、
当初はコーディアルを売らないと言っていましたが、
そうも言っていられなくなりました。
日興コーディアルと日興アセットマネジメントという、
大物が市場で売却される見通しになってきています。

アメリカ政府は、金融危機に対して色々な対策を行い、
既に何百兆円もお金を使っています。
ところが、これが全部、お金を欲している人たちに、
回っているわけではありません。
銀行が回ってきたお金を連邦準備銀行の準備預金として、
置いているというようなことが起こっています。
去年の8月には5兆円位だった、
民間銀行の連邦準備銀行に置く準備預金が、
11月には60兆円位に膨らんできました。
8月から11月の3ヵ月で14倍位に増えたということで、
政府がお金を使っているのに、
そのお金がまた連邦準備銀行に戻ってきている、
という皮肉な状況です。
民間企業や、家計にすべて回っていってはいないわけです。


■ヨーロッパ・アジアの対策と今後
ヨーロッパも、結構大変なことになってきています。
基本的にアメリカのインベストメントバンクが、
一番賢い人たちだったわけです。
彼らはアドバイザリーフィーをもらって証券化を行い、
それをヨーロッパの銀行に持たせていたので、
ヨーロッパの銀行もアメリカと変わらない巨額の損失を被っています。
この状況で、98年の6月に設立されたECB(欧州中央銀行)が、
アメリカと一緒に様々な対策を講じ、
さらにヨーロッパ各国も対応策を必死に打ち出しています。
まず、ドイツが、4千億ユーロ、4-50兆円のお金を使って、
金融機関の資金繰りを支援すると決定しました。
フランスも、3,600億ユーロと、同じく40兆円位のお金を使って、
金融を救済しようとしています。
フランスは、大手6銀行に百億ユーロほどの公的資金を注入して、
何とか助けようと必死です。
イギリスは、EUの外にあるわけですけれども、
ロイヤルバンク・オブ・スコットランドが、
2008年に4兆円位の損失を出しましたので、
この救出に入っているという状況です。

一方、アジアはアジアで、やはり大変です。
中国の経済成長が、2桁から6.8%位に下落し、
欧米は金融市場に投入していたお金を全部引き上げています。
ここで皆に引き上げられたら、アジア全体に大きな影響がでます。
その他の国もアジアは成長が続いています。
せっかく成長していたわけですから、インフラ整備を何とか継続しようと、
アジア開発銀行が支援のために、今まで5兆円ほどだった自己資本を、
3倍の15兆円位に増やそうとしています。
アジアのインフラ建設を止めないようにしようという取り組みを、
今、始めたという状況ですね。

分野: 村藤功教授 |スピーカー:

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