QT PRO モーニングビジネススクール

QT PRO
モーニングビジネススクールWeb版

FM FUKUOKAで放送中「QT PRO モーニングビジネススクール」オンエア内容をWeb版でご覧いただけます。
ポッドキャスティングやブログで毎日のオンエア内容をチェック!

PODCASTING RSSで登録 PODCASTING iTunesで登録 電子書籍で記事を読もう! EPUB

過去の記事詳細

QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 金融危機の日本への波及(財務戦略/村藤 功)

金融危機の日本への波及(財務戦略/村藤 功)

09/02/06

■メーカーへの影響と日銀の対応
今回は、金融危機の日本への波及というテーマでお話させていただきます。
日本へは、既に大変な波及があります。
当初は、その影響はアメリカだけで日本は大丈夫なのでは、
と無責任なことを言っていた人もいましたが、
やはり日本も大きく被害を被っています。
特に大企業がその影響を受けており、輸出関連企業は厳しいです。
金融面でも、株式市場が大きく下落し、この1年で、
2007年末に比べて42%安になってしまいました。
日経平均株価は2008年末で、8,859円でしたが、
それからまた下がっており、最近は8,000円前後をうろついている、
という状況ですね。
トヨタは全盛期の半分、ソニーは3分の1の株価になっています。

トヨタもソニーも、営業赤字で大変です。
ですから、資金調達も結構大変なことになっています。
社債やコマーシャルペーパーを発行して、
事業会社はお金を調達しますが、投資家たちは、
業績見通しを警戒してしまっていて、なかなか買ってくれない状況です。
そこで日銀がまず、金融機関に貸す時の担保として、
格付けがシングルA以上の社債やCP(コマーシャルペーパー)しか認めない、
と言っていたのを、トリプルB以上なら担保に取ってあげましょう、
とまず担保の条件を緩和しました。
これまで日銀は金融機関に対する資金提供だけしかしていませんでした。
しかし、春ごろまでの時限的な処置だと思いますが、
日銀が企業のCPを、金融機関を通さずに直接買うことを決めました。


■金融機関の資本注入
企業は、雇用調整を通して業績を、改善しようとしていますが、
それだけでは難しいと思います。
国内の金融全体が縮小していますので、
銀行を助けなければなりません
。そこで金融機能強化法を、昨年末に再度作りました。
金融機能強化法は、もともと存在していましたが、
去年の3月ごろで、期限が切れてしまったので、
新しい金融機能強化法を作り直しました。その枠が2兆円位あります。
さらに第二次補正予算が成立すれば、12兆円の枠を使って、
中小企業にお金を貸している金融機関に自己資本を注入しよう、
という話になっています。

最初に手を挙げたのが、北海道の札幌北洋ホールディングスです。
これは、97年に破綻した北海道拓殖銀行を引き受けた、
北洋銀行と札幌銀行が2001年に共同で設立した持株会社です。
北海道を支えていた北海道拓殖銀行は既にない以上、
札幌北洋銀行が地域にお金を貸してくれないと困ります。
ここが数百億円位の自己資本を下さいと金融庁に言っています。
これを聞いて、今度は鹿児島の南日本銀行が、
札幌北洋に比べると10分の1程度ですが、
数十億円の自己資本を注入して下さいと金融庁に頼んでいます。
札幌北洋ホールディングスは第二地銀の中で最大規模を持っています。
第二地銀とは、もともと相互銀行と言われていたもので、
それが地銀に転換したものです。
第二地銀のトップでも、資金が必要な状況なのです。

公的資金の注入を受けるということは、一見、
財務状態や経営状態が大変なことになっているのかと思いがちですが、
そうではなく、ここは割と財務状況がいい銀行なのです。
財務状況が悪くても、支援を受けられますが、
様々な条件がついてきます。
つまりお金あげる代わりにこれをやりなさい、ということを、
金融庁は言って来る訳です。
銀行にとって、そのような制約もありますが、
それよりも下手に支援を受けると財務状況を危惧して、
この銀行は危ないのでは、と預金者に思われて、
取り付け騒ぎになることを恐れていました。
しかし割と財務状態のいい札幌北洋銀行が、
最初に手を挙げてくれたので、他行も手を挙げやすくなりました。
鹿児島の南日本銀行に続いて、地銀の中で、
もう少し資金を注入してください、というような話が、
さらに出てくる可能性があります。

一方でメガバンクの三菱UFJや、三井住友、みずほなどは、
金融庁にお願いすると、その後であれこれ指示されて、
面倒臭いことになってしまいますので、
なんとか自分で資金調達しようとしています。
三菱UFJといえば、モルガンスタンレーに90億ドル、
つまり1兆円近くを投入して、助けたわけですが、
落ち着いて考えてみると助けた自分も、
自己資本が不足するかもしれないということになり、
自分たちで1兆円位を調達することになりました。
優先株で、3,900億円、普通株で6千億円資本を増強する、
という計画を出しました。
三井住友銀行も、7千億円位を調達しようということになっていて、
みずほ銀行は3,550億円の自己資本を調達することにしました。
ここで驚くのが、資本増強のためのお金に付ける金利を、
一体、どの程度にしているのか、ということです。
実は三井住友銀行は4%の金利を付け、
それからみずほ銀行は4.7~4.8%の金利を付ける、
と言っています。
目に見えない、0.1%位の金利で銀行に預けている我々としては、
こんなに金利を付けるのかと驚いてしまいます。
私も少し買いたいくらいです。
しかし、これは仲の良い金融機関にとりあえず買ってもらう、
という構想なので残念ながら、一般の我々の元には回ってきません。

野村證券も1兆円ほどを調達するという話になっています。
まず、劣後ローンや劣後債で、6千億円位を調達します。
それから、第一生命や信金中金などの親しい金融機関に、
1100億円分の劣後CB(劣後コンバーティブルボンド)を発行します。
さらに、個人向けに3千億円の劣後債を発行するということです。
この、劣後債についてお話します。
資本構成の中に、借入や株式などの資本がありますが、
それにはお金を払わければならない優先順位というものがあります。
借入の中では、普通の銀行借入や、社債を一番に払わなければなりません。
一方で株式は最後に払うことになっています。
支払いを優先する借入よりも支払いが劣後するものが劣後債で、
他の債務への弁済をした後の余剰資産により弁済されるものです。
それに対し、株式の中でも普通株より優先するものを優先株と言っています。
劣後債と優先株で資金を調達す方法を銀行はよく行い、
それはメザニン(中二階)ファイナンスと呼ばれています。


■大和(ヤマト)生命の破綻
日本の金融業界が、何とか業績を保っている中で、
昨年末に大和生命が破綻したというのは、少し驚きました。
これから多くの金融機関が、ひょっとすると破綻するのではないか、
という不安も生まれました。
しかし、大和生命の場合は、ハイリスク資産にお金を投資していたり、
あるいは経営陣が内輪もめしていたりということで、
他の金融機関がこれに続いて破綻するということではありませんでした。
ただ、他の生命保険会社が保有している株も大変下落しています。
朝日生命の保有株は日経平均株価が1万3千円位はないと、
含み損になってしまうそうです。
住友生命や三井生命も1万円位はないと含み損になるそうです。
このあたりの生保は、株式市場が8千円程度では、
保有株が全体として含み損状態になっているということです。


■家電量販店の状況
ベスト電器がどうなるのかということは、
九州の我々としては心配なところです。
三洋信販やフタタが、三井住友銀行とコナカの傘下に、
入ってしまったということもありますので、なおさらです。
ベスト電器もヤマダ電機とエディオンで争奪合戦になっていました。
ベスト電器は何とか独立していてくれないかなと思っていたら、
金融危機がやはり相当厳しかったのでしょう。
ベスト電器も、ビックカメラによる出資を15%以上に引き上げて、
ビックカメラの持分法適用会社になり、
グループの一員となってしまいました。
家電量販店業界ではヤマダ電機がトップですけれども、
ビックカメラとベスト電器の連合で、売り上げ1兆円ほどになり、
第二番手に躍り出たというところです。
ベスト電器自体は、まだ持分法適用会社で、
ビックカメラの子会社になったわけではなく、
ブランドも無くそうという話をしているわけではありません。

家電メーカーに対して、仕入れを一本化して、
ベスト電器とビックカメラの共同で大量に買うから安くして欲しい、
とお願いする場合には、量販店同士が、
40%以上の資本関係もってないとダメ、というルールがあります。
それに従うと、ビックカメラにはもう少し出資してもらわないと、
サプライヤーとの値下げ交渉できないのですが、
ベスト電器には、今のところその気がないようです。
持分会社が限度で、子会社にはなりたくない、
と今のところ主張しています。
両社で一緒になって、プライベートブランドのようなものを作っていく、
という案も出ています。
この先何が起こるかは分かりませんが、注視が必要でしょう。
アメリカの金融危機の影響で厳しい消費環境になってしまったため、
それに対応するために持分会社化を決断したと、
ベスト電器の濱田社長は述べていました。
やはり金融危機の日本への余波は侮れません。

分野: 村藤功教授 |スピーカー:

トップページに戻る

  • RADIKO.JP
  • ビビックスマホ