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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 戦略的提携の事例(国際企業戦略論/永池 克明)

戦略的提携の事例(国際企業戦略論/永池 克明)

09/02/05


■電機業界の提携事例
前回は、戦略的提携のメニューについて、
どのような提携の分類や種類があるのか、
というお話をさせていただきました。
今回は、具体的にこの企業とこの企業が行っている提携は、
こういうものです、というお話をさせていただこうと思います。

まずは、私が関連していた電機業界では、
皆さんご承知のことと思いますが、NAND型フラッシュメモリにおける、
東芝とサンディスクの企業提携というものがあります。
東芝はNAND型フラッシュメモリで世界第二位のシェアのメーカーです。
一方、サンディスクは、メモリーカードで世界ナンバーワンのメーカーです。
この両社がメモリー関連で提携しています。
昨年後半、韓国のサムソン電子がこのサンディスクを、
買収しようとしましたが、東芝・サンディスク連合の結束は固く、
結局上手くいかなかったということがありました。
それから、DRAM(ディーラム:半導体の随時書き込み読み出しメモリーのこと)
でいえば、エルピーダメモリとドイツのキマンダ(Qimonda AG)、
これはシーメンスが作った会社ですが、この両社の国際戦略提携、
というのもあります。
エルピーダは4位、キマンダは第3位ですが、
両社のシェアを足しますと、首位のサムソンに肉迫する形になります。
このケースは、開発と生産で提携するという内容です。

液晶テレビでも各社が提携関係を作っています。
液晶テレビでは、寡占化がどんどん進んでいます。
国際戦略提携に関しても、ソニーや東芝は、
液晶テレビの組み立て生産で、台湾の企業に、
大量の委託生産をすると発表しています。
両社の総生産台数の2割位を、数字上ではソニーが300万台、
東芝が140~150万台ほどを、それぞれ台湾のEMS
(Electronics Manufacturing Service)という、
エレクトロニクス製品のアッセンブル(組立)専業メーカーに、
委託生産しています。
これは前回お話した委託生産のケースで台湾では、
ファウンドリーといわれる形態に当たります。
このように、日本の家電メーカーや海外のメーカー、
EMSが組んでかなり複雑な提携で絡みあっています。
日本のほとんどの電機メーカーは、国内メーカー同士でも、
様々な形で競争していますが、提携も盛んに行っています。
例えて言えば、テーブルの上では仲良く手を組んでいますが、
テーブルの下では、激しい競争をして蹴り合っている、
というケースが沢山あります。
昔でしたら、考えられないかもしれませんが、
国際競争に勝っていくためには、やはり一社だけで孤立していると、
勝ち残れないケースが多くなっています。
そこで他社と色々な形で手を組んでいくということが、
非常に重要になってきているということですね。
宇宙事業、産業用モーター、携帯電話、家電、サーバー、
ブラウン管、昔では、白物家電など、様々なところで提携しています。
一方でにこやかに手を組み、一方では熾烈な仁義なき戦い、
バトルを展開しているのが現在の典型的な電機メーカーです。
それは自動車やその他の業界でも同じことです。

もちろん国内メーカー同士だけでなく、
海外メーカーとの提携も多くなっています。
いわゆる国際戦略提携と呼ばれるものです。
例えば、中国と日本企業は盛んに戦略提携をしています。
日本にとしては、中国大陸のマーケットにアクセスしたいので、
販売に関連したものを中国に求めているというものです。
しかし、中国メーカーは、どちらかというと技術が欲しい、
技術を教えて欲しいわけです。
そこで技術対マーケットの交換、そういう形の国際戦略提が、
盛んに行われています。


■携帯電話における戦略的提携
別の業界の戦略提携ですが、音楽携帯でも、
かなり熾烈な争いが見られます。
しかし実は水面下で、繋がっているところがあります。
これは、iPodでアップルがセンセーションを巻き起こしたことが、
きっかけとなりました。
これを中心にして、iPod内蔵機を共同開発するために、
音楽携帯の業界ではアップルとソフトバンクとヤフーが組んで、
1つのグループを形成すると同時に、それに対抗して、
ウォークマンブランドの共同開発が発足し、
ソニーとKDDIとグーグル、これがまた連合を組み、
真二つに分かれました。

それから、多機能携帯電話、このスマートフォンもあります。
最近NTTドコモが、韓国で第二位の携帯通信会社のKTフリーテル、
KTFという会社と共同で、アメリカのグーグルの無償ソフトを採用して、
パソコンなみの性能を持つ多機能携帯電話、
スマートフォンを開発しました。
これは結局、アップルのインターフォンなどに対抗する、
日韓の連合軍ということで、2009年の販売を目指して、
国際提携が成立しようとしています。

日本の企業も、アジアの企業と手を結ぶことが増えてきていますが、
日本と欧米との戦略的提携、
いわゆる国際的戦略提携と言われるものも盛んです。
例えばごく最近、次世代の技術開発で、
パナソニックが世界最大級のナノテク、
超微細技術の研究機関であるベルギーのIMEC、
というシンクタンクと包括提携して、半導体の微細加工技術や、
通信、バイオなど、非常に広い範囲の次世代技術を共同研究する、
と発表しました。


■コンビニ業界における異業種提携
身近なところではコンビニと他業種の提携というのもあります。
コンビニエンスストア業界も競争が熾烈化しているということです。
アンケート調査によりますと、38社のコンビニエンスの企業の内、
既に34.2%の企業が何らかの形で他業種の企業と、
手を組みたいと回答しています。
特に薬局やビデオレンタル、ガソリンスタンド、
書店と組みたがっています。
コンビニの中に薬局やビデオレンタルコーナーを置くケースや、
ガソリンスタンドの中にコンビニエンスストアを作ったりと、
様々提携を考えています。
例えば、セブンイレブンジャパンは、ゼロックスと組んで、
コピー機を利用したチケット販売を行ったり、ローソンは、
全店に郵便ポストを設置したりしています。
それからファミリーマートでは、東北地区で、
女子大生と共同開発した弁当を売り出すなど、
様々な異業種との提携ということによって、差別化、
特徴を出そうと様々な努力を行っています。


■戦略的提携を成功させるために
具体的な提携の事例をお話しましたが、
その提携を成功させるためのポイントについて最後にお話します。
提携とは、ある独立企業同士が一定の目的のために、
一時的に期間限定で手を組むということですので、
やはり両社の目的、あるいは目標、それから提携を、
いつまで行うのかというスケジュールが、
明確に定義されることが非常に大切です。
次に、互いにとっての大きなメリットがあること、
互いに補完し得る能力を持っているということが大切です。
またウィンウィンの関係になることもそうです。
それから何といっても、そのプロジェクトに関して、
両社のトップマネジメントの強いコミットメントがある、
ということが重要です。
それを支えるミドルマネジメントの、
良好なコミュニケーションが図られるということも大事ですし、
それがきちんと成文化した契約書に明記されている、
ということも求められます。
途中で、曖昧な関係になってしまい、どうしても意見が食い違い、
上手くいかないことがあります。
そういう時は、契約書に戻って契約を再確認することが大切です。
最後に、提携に関しては、両社が非常に熱意を持って、
1つの価値観を共有しながらベクトルを合わせて協力していくという、
姿勢が非常に大切だと思います。

普段はライバル同士が、この分野だけでは、
期限付きで手を組もうというのですから相当に細かく、
お互いに納得していかないと、トラブルが起こった時に、
すぐ破綻してしまうというケースがよくあります。
特に、世界経済が日本も含めてこのように悪い状況なだけに、
ますます提携や統合などの戦略を、
国を越えた広いスケールで考えていかなければならない時代になりました。

分野: 永池克明教授 |スピーカー:

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