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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 戦略的提携のメニュー(国際企業戦略論/永池 克明)

戦略的提携のメニュー(国際企業戦略論/永池 克明)

09/02/04

■戦略的提携のメニュー
企業の国際的戦略提携について、
シリーズでお話させていただいていまして、
本日と明日がその後半2回となります。
前回のおさらいですが、M&Aと戦略的提携のメリット、
デメリットについて吟味する必要があることを、
お話させていただきました。
M&Aは、まさに、相手方を買収することによって、
自由に相手を支配することが出来る一方で、
多額の買収資金と買収先企業の経営の責任が大きくなります。
戦略的提携は、独立した企業同士が対等な形で様々に手を組むので、
買収のように巨額のお金をかける必要もありませんし、
柔軟で機動的な企業関係となります。
しかし、対等な独立した会社同士ですので、
自分の会社の思うようにはいかないので、
支配権という意味からすると、不安定な関係です。
また、双方の意見が違う場合意思決定に時間がかかります。
このように買収と提携にはそれぞれメリット・デメリットがあるわけです。

本日は戦略的提携の分類、メニューというか、
戦略的提携にどのような形があるのかということを、
紹介していきたいと思います。
最初に販売に関連する提携。次に技術に関する提携。
そして生産に関する提携、資本が入ってくる提携と、
あまりお金がかからない提携から、だんだんお金がかかる提携、
という流れでお話させていただきます。


■販売協力と技術協力
まず販売協力ですが、これはあまり資金がかかりません。
A社とB社があった場合に、A社の製品をB社に売ってもらうことです。
その場合は販売委託となります。
たとえばA社が海外市場で売りたいが、
その国で自分の販売網を持っていない場合、
それを海外のB社に販売を委託する場合です。
一方、A社が生産し、それを販売先のブランド、
つまりB社のブランドで売る場合は、いわゆるOEMといいます。
これはよく世の中で使われていますね。

その次の段階として技術の協力があります。
例えば、A社とB社があり、A社がその技術を持っているとします。
B社はその技術が欲しい場合、A社に対して、
特許やノウハウなどを使う権利を譲ってもらう代わりに、
B社はその対価として一時金やロイヤルティーを払うというものです。
これによりB社は製品の製造権や販売権を得ます。
これが技術ライセンスと呼ばれるものです。
日本企業が、アジアの企業にビジネスライセンスを供与する、
という形で耳にすると思います。
また、A社とB社がお互いに持っている技術を、
交換し合う場合もあります。
これをクロス・ライセンス契約といいます。
これもよく使われます。
それから、技術に関してはもう一つ、共同開発があります。
最近でしたら、トヨタといすずが環境エンジンの共同開発を凍結する、
ということを新聞で目にしたと思います。
一般に、A社とB社がそれぞれ互いの経営資源
(技術者、お金、設備、ノウハウ)を出し合って、
共同で開発をするということです。
これは技術や新製品の開発などを単独で行うと、
大変なお金と時間がかかるような場合、
お金や時間を節約するために、
両社で出し合って共同でやろうよということですね。
最近では、半導体や液晶など、巨額な開発費がかかるような業種、
あるいは、最先端の研究でリスクが大変大きい、
というものを複数の企業が共同開発する場合が増えています。
1社だけでリスクを取るのは怖いので、皆でやろうよ、
というケースが大変多くなってきているわけです。
その成果はもちろん両者で共有する、というものです。


■生産委託と資本参加、M&A
その次の段階になると、今度は生産に関連する提携、
生産委託を行うことになります。
ある会社が、ある会社に生産を委託することを生産委託と言います。
それともう1つ、生産協力という面では製造合弁があります。
これも本当によくあるケースで、例えば、A社とB社がお金を出資して、
それで合弁会社を作ります。
これによって、設備投資は1社当たりでは抑えられます。
ただ、この場合、両社の企業風土が違いますので、
上手くやらないと両社の関係がぎくしゃくして、
生産がうまくいかない可能性もあります。
生産に関して意見が違ってしまった場合、
意見がまとまるまで時間がかかるということもあります。

そして、戦略的提携の究極の形は資本を出すということになります。
最終的に相手の企業を買収、あるいは吸収するというのは、
M&Aですが、実はその前の段階というものがあります。
それは、少数株主として、例えば5%~15%ほど、
相手先企業に出資するケースです。
マイノリティ出資といわれます。
それによって、人間でいえば、血のつながりができて、
優先的に様々なものを融通してもらったり、
権利を行使するというものです。
これは資本参加と呼ばれ、様々な形で行われています。
特に、自動車メーカーでは国際的にそういうことが行われ、
グループ化もしています。
たとえば、フランスのルノーが日産自動車に出資し、
グループ化しているのはその例です。
これは自動車に限らず様々な業種で行われていますね。
少数の、50%未満の資本参加の場合、
経営支配権はかなり弱くなりますが、
役員を派遣するなどの権利を行使することができます。
あるいは、材料メーカーなら、優先的に先端的な材料を回してもらう、
というようなことがメリットとしてあります。
それが究極的に、相手の企業を支配する目的で行われる場合に、
出資比率が50%を越えて、M&Aということになります。

M&Aは、今でこそ日本に根付き、認知されましたが、
この言葉が使われ始めた頃は、
日本人にはかなりのアレルギーと感じました。
特に、アメリカ企業は外国や日本に進出する時に、
企業買収やM&Aという手法をよく使います。
こうしたことを1980年代には日本では第三の黒船、
第二の黒船と国内で騒いだこともありました。

戦略的提携の場合には目的や金額に応じて、
色々なメニューがあるということです。
企業は戦略的提携をうまく使うことによって、
自社の経営資源だけでは果たせない色々なことを、
相手企業(それがライバル企業の場合もある)の力を、
うまく使うことによって実現しているというわけです。
グロ-バルな競争が一般化している現在、
こうした提携はますます増えていくと思われます。

分野: 永池克明教授 |スピーカー:

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