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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 九州・福岡の競争力を考える(地域経済政策/谷川徹)

九州・福岡の競争力を考える(地域経済政策/谷川徹)

09/02/02

■日本の競争力の現状

色々な国際機関が、
各国の競争力についてレポートを出しています。
最近のIMDというスイスの国際調査機関のランキングでは、
日本の国際競争力は世界第22位でした。
日本は第2の経済大国と言われていながら、
国際競争力が22位というのは
大変低い順位だと思います。
低い順位の理由を考えないといけないと思います。
国際競争力の中身では、
日本の技術力、研究力は第4位です。
では何が足を引っ張っているかといいますと、
政府の効率性、ビジネスの効率性が低い
と評価されているのです。
つまり日本は、研究をする力も技術も大変高いけれども、
それをうまく使う力が、政治にもビジネスの世界にもない
ということを、如実に示していると言っていいと思います。

福岡は、都市として格付け会社からは良い評価を
受けていて、様々な雑誌にも取り上げられました。
アメリカの有名な雑誌のビジネスウィークでも、
世界のホットな都市トップ10の中に
福岡も入っていました。
その流れで、福岡=北部九州が
大変ポテンシャルが高い都市圏であると言われています。

自動車の生産量については、
日本でも、おそらく愛知に次いで
今2番目か悪くても3番目で、
福岡は日本の中でもカーアイランド
ということが言えると思います。
世界に冠たる日本の自動車産業の中核が、
北部九州(福岡)だと言っていいと思います。


■福岡の競争力が危ない?

今の経済危機の状況は、日本だけではなく
世界同時不況ですから、我々の住む福岡だけの
場所の問題ではありません。
しかしそのような大きな世界の不況の波を、
特に「ものづくり」の中核である自動車産業を
大きな産業の柱としている福岡が受けて、
経済に大きな影響が出てきていると思います。

国の産業政策の中核である経済産業省も、
『ものづくりをもっと日本は強化すべきである』
とよく言っています。
つまり「ものづくり」の力、具体的な物を作っていく
技術力を上げるべきだということを、
ずっとこの数年言っています。
ただ、今の状況を見ますと、
本当に「ものづくり」だけを
ブラッシュアップするだけでいいのか、
つまり技術だけを極める方向でいいのか
というのは大きな課題だと思います。


■「ものづくり」信仰だけでよいのか?

日本が「ものづくり」の大国、
「ものづくり」についてはトップだということは、
我々日本人だけではなくて、
世界中の人がそう思っています。
私は昔シリコンバレーというところに住んでいましたが、
現地で色々なビジネスマンに聞きますと、
「日本の物の品質は世界トップだ」ということを、
皆さん口々におっしゃいます。
ただそれを強調されればされるほど、
逆に言えば、戦略、すなわちその技術を使って
どう儲けるかという力は日本は大変劣っている、
ということが言外に含まれていることに気が付くのです。
端的にいえば「ものづくり」、つまり技術を
ブラッシュアップするのは大事だけれども、
その技術を使いどうやって儲けるか、
どうやって世界の他のライバルの国、ライバル企業に
勝っていくかという戦略、構想力、企画力、マネジメント力が、
日本には不足しています。
特に九州・福岡は、日本の「ものづくり」の
中心であり、技術力も高いにも関わらず、
技術を生かすためのマネジメント、企画、構想が
大事であると思う意識が甚だ弱いのです。
このことが今、この福岡の不況を回復するのに
大きな課題として残っているのではないかと思っています。


■今、競争力を維持・強化するには何が必要か?

このような不況下でも、従来から
色々な手を打ってきている企業はいます。
今一番困っているのは、トヨタ、日産といった
自動車産業の下請けをしている企業、
東芝、NEC、半導体関連企業の子会社や系列です。
しかし一方で、そのような大きな会社に依存しないで、
自らの力で海外展開を行い、
小さいながらもアンテナを色んなところに張り、
自らの考えで手を打ってきている企業は、
まださほど困っていないのではないかと思います。
例えば半導体商社的な活動をされている
北九州のシーテック、大分の仲谷マイクロデバイスなどは、
数年以上前から、
「日本の企業、日本の大会社に
依存していくだけでは将来は暗い」と考え、
自らの才覚で香港・中国・台湾などの
アジアの半導体の企業とアライアンスを組み、
自社の技術、強みを世界に展開する活動を
既に行っています。
まだこれからどの程度影響が出るか分かりませんが、
私が見るところ、おそらく影響を受ける程度は、
大企業の下請けだけで甘んじているところよりも
少ないのではないかと思います。


■九州・福岡に必要なもの

やはり全ては人だと思っています。
我々は教育に力を入れて、
九州で企画力、構想力、リーダーシップ、
アントレプレナーシップを持つ人たちを
育てていかなければならないと思っていますが、
まだまだそのような人材の厚みは薄いです。
今後は、人材をどのように育成していくのかを考え、
これから育っていく人たちの意識を
変えていかなければいけないと思っています。

分野: 谷川徹教授 |スピーカー:

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