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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 大手企業のリストラ(財務戦略/村藤 功)

大手企業のリストラ(財務戦略/村藤 功)

09/01/30

■大手企業の人員削減
今回は、大手企業のリストラについてお話させて頂きます。
最近、日本の名だたる企業が次々と人員削減に踏み切っています。
日本で一番強い産業が、自動車と電気機器です。
この二つの業界は、海外で色々な製品を売っているので、
海外の不況の影響を受けやすいわけです。
そこで相次いで人員削減策を打ち出してきているという状況です。


■自動車業界のリストラ
トヨタ、ホンダが、今年の後半に大変な赤字を出しそうだという状況で、
まずトヨタが、2008年の春時点に9千人ほどいた期間従業員を、
3千人へ削減します。
それから、九州でも若宮の宮田工場で派遣社員を、
既に800人削減していましたが、さらに850人削減する、
という話が出てきています。

ホンダも、F1から撤退してしまい、期間従業員の490人の契約更新を、
1月から行わないという話をしています。
さらにイギリスでは、正社員も早期退職で辞めていただく、
というような話を始めました。

日産も、2008年度の初めに2千人位いた派遣社員を、
今年3月までに全員削減してゼロにするということです。
日産は、九州、苅田にも工場がありますが、
そちらでも150人位の派遣社員を削減するということです。
海外もアメリカで1200人位の早期退職、スペインで3,300人の一時解雇、
それから、イギリスで800人位の正社員と400人位の期間従業員、
合わせて1,200人位を削減するという話が出てきています。

自動車産業では、メーカーもそうですが、
部品を供給している小糸製作所や日本精工も、
かなりダメージを受けています。
自動車産業は関連業界の裾野が広いので、
自動車関連業界もかなりやられています。


■電子機器業界のリストラ
さらに電子機器業界です。
自動車と並んで日本では一番競争力がある産業ですが、
ここでも人員削減が加速しています。まず、キャノンです。
キャノンといえば、御手洗さんが経団連のトップを務めているのですが、
キャノンよ、お前もか、ということで例に漏れず、
人員削減を行うようです。
まず、大分キャノンで1,100人ほどの請負を削減する、
という話をしています。
それから、TDKが海外で、既に2,000人位の削減をしましたが、
それから更に8,000人削減するという話です。
東芝は半導体だけで1千億円ほどの、
営業赤字の見通しとなっていますので、
北九州と大分で、540人ほどの非正規従業員を雇い止めする、
という話があります。
ソニーも、国内外で8,000人位の正社員を含む、
16,000人位の従業員削減をするということです。
もう、日本が世界に誇るような企業がみな人員削減を行い、
至る所で大変な状況になってしまっています。


■派遣社員切りと2009年問題
一番大きな問題は、正社員よりも非正規社員が切られていることです。
非正規社員がどのくらいいるかご存知でしょうか。
2007年で正規社員が3,400万人、非正規社員が1,700万人ということで、
2対1位の比率になっていて、結構な数の人々が非正規で働いています。
なぜそんなに沢山いるのかということでその内訳を見てみると、
パートやアルバイト、派遣に請負と、色々な形の非正規社員というのが、
存在していることが分かります。

派遣と請負の違いですが、派遣というのは、
社員が派遣会社から派遣されてきて、派遣先の企業が、
色々と指示を出します。
ところが請負は、請負を受ける会社に、この仕事をしてくださいと頼んで、
会社が仕事を請け負うので、請負会社の人が元請け先に来ても、
その人たちに対して、企業が指示を出すことができません。
企業が人を受け入れる場合に、請負の人だと指示できませんが、
派遣の人だと指示ができるので、派遣の方がやり易い訳です。
ですから派遣社員を工場に出してもいいことになってから、
製造現場で派遣社員が山のように増えたのです。

それから先述した雇い止めについて説明します。
非正規社員を辞めさせる場合に二種類あって、
雇い止めと中途解除の2つがあります。
中途解除とは、契約がまだ残っているのに途中で辞めてください、
という結構ひどい話です。
雇い止めとは、契約期間が終了したので、
次に新しく契約を更新したり、新しい契約を作ったりしないという話です。
これは2009年問題に関係してきます。
2009年問題とは、2006年頃に働き始めた派遣社員が結構多いのですが、
契約の延長が3年までと定められていて、2006年から3年経つと、
契約期間が切れてしまいます。
そこで、正社員になれなければ、雇い止めということになります。
そうすると職業を失ってしまうので、今年2009年に、
大量の雇い止めによる失業が発生するのではないか、
という話がある訳です。
こういう経済状態にならなければ、雇い止めになった人たちも、
次の仕事に移ることができたのでしょうが、
現状ではかなり厳しい問題となっています。


■製造業への派遣問題
この問題に対して、一体どうすればいいのか、ということですが、
民主党は、当初、製造業への派遣は特に禁止することはない、
と言っていました。
なぜなら、過去に民主党の支持基盤である連合が、
製造業への派遣をやめさせたりすると、
返って失業者が増える可能性があるので、
とりあえずいいことにしておいてくださいと頼んだためで、
そのため民主党は製造業への派遣を禁止しないことにしました。

ところが、小沢代表が、政権交代をめざして野党と共闘するために、
製造業への非正規社員、特に派遣を行うことを禁止しよう、
と言い始めました。
そこで与党との戦いがまた起こり始めたという状況です。
ただ、製造業への派遣を禁止して、問題が解決するのかは、
難しい状況です。
まず、2004年3月に解禁された、製造業へ派遣されている人たちが、
現在50万人もいます。突然それを禁止されたら、
その人たちは一体どうなってしまうのかということです。
一部は正社員になるかもしれませんが、
多くの人たちは解雇されてしまう可能性があります。
それから、派遣社員の代わりに誰が仕事をするのかということです。
そうすると請負や期間工にその仕事が移る可能性がありますが、
次回不況になれば、その人たちが切られることになりますので、
結局同じではないのかということです。
日本の雇用制度が面倒くさいことになってしまうと、
今度は台湾や香港、中国などの、人件費が安い地域に、
工場が逃げるのではないかという心配もあります。


■官民の労働者支援
雇用に様々な影響が出ている中で、
逆に人材を採用するという動きもあります。
民間企業の中で、今まで、あまりいい人材を集められなかったので、
今がチャンスだと思っている企業もあります。
白木屋という居酒屋を経営するモンテローザや、
アパレルのイトキン、パソコンのPCデポなどがそうです。
九州のタクシー会社の第一交通は、運転手を6000人採用する、
というような話をしています。
民間がそういうことを言うのは結構な話です。

政府もそれに加えて、解雇された人たちを助けなければならないと、
様々な対策をし始めています。
企業が労働者を助ける際に必要なお金を支援したり、
解雇された人々に公務員宿舎を提供したりするなどです。
しかし政府が抱える一番の問題は、労働者派遣法を改正して、
製造業派遣を禁止するかどうかです。
これは今後注視しなければならない重大な問題になってきています。

分野: 村藤功教授 |スピーカー:

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