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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 技術のドミナントデザイン(中国ビジネスとイノベーション/朱穎)

技術のドミナントデザイン(中国ビジネスとイノベーション/朱穎)

09/01/29

今回は、技術のドミナントデザイン
というテーマでお話しますが、この「ドミナントデザイン」
という言葉が少し分からない方も多いと思いますので、
まずはこの単語から説明していきます。

■ドミナントデザイン
ドミナントデザインとは、支配的技術いうことです。
要するに、製品の技術のコアコンセプト
ということを意味しています。より厳密な定義でいうと、
ある技術、製品、もしくはサービスに対して、
それを提供する側の企業と消費者との間に、
共通の一般的な理解を確立し、
その一般的な理解を反映できるような設計、
デザインというのが、ドミナントデザイン、
いわゆる支配的技術です。
例えば、自動車でいうとガソリンエンジンが
ドミナントデザインです。
ガソリンエンジンは現在、ドミナントデザインになっており、
このことは消費者と企業との間に
一定の共通した理解をもっていることを意味しています。
企業としては、最近注目されている環境問題を意識して、
ハイブリッドとか、電気自動車などの
様々な選択肢が存在しますが、
一般の消費者に対してガソリンエンジンを提供するというのが、
おそらく現状です。なぜドミナントデザインが重要かといえば、
これは新しい技術を導入して確立されたものではなくて、
それまでに様々なイノベーションがあって、
そのイノベーションを基盤にして、ある種の集大成という、
結果として出てきたからです。
よって、ドミナントになった技術というのは、
市場テスト経てマスプロダクトされていますので、
消費者としては商品が優れたものではないかと
思う可能性が高いわけです。
結果論として、支配的になったということだけなのであって、
技術レベルでいうならば、必ずしも最先端なものとは
限らないということです。

■技術的機会との関係
ドミナントデザイン、支配的技術が誕生するまでには、
様々な選択肢が存在します。
先ほどのガソリンエンジンでいえば、
実は、電気自動車と蒸気などの多様なアプローチが存在し、
お互いに競争していたという時期がありました。
やがて、その中から、支配的なものが誕生し、
いわゆる技術の流動期から安定期に市場が移行します。
移行後の期間になると、新規参入の可能性が
極めて低くなります。
むしろ、支配的技術が確立されるまでの段階では、
まだ多様なプアローチがあったので、
その参入障壁が低いので、割と新規参入の可能性、
技術的機会というものはあるように思われます。
一旦、あるものが確立されてしまいますと、
規模の経済が追及されますので、
新しい企業にとってはなかなか参入しづらいということになります。
従いまして、技術的機会、もしくは企業家的機会
との関係でいうならば、やはりドミナントデザインが確立されるまでの段階で、
市場参入した方が、ひょっとしたら
成功する可能性が高いかもしれません。

■ドミナントデザインの生成過程
ドミナントデザインの生成過程ですが、
一般的な考えとしては、技術環境、市場競争という考え方が
たぶん強いと思われます。ここで、どうしても付け加えたいのは、
ドミナントデザインというのは、
必ずしも競争によって決まるのではなく、
その社会的、政治的などの幅広い要素を考えないといけない
ということです。1つの例挙げますと、
先ほど申上げました自動車の例なんですが、
実は100年前の自動車にはガソリンと電気と更に蒸気という
3つの選択がありました。当時は、
必ずしもガソリンエンジンというのは、
優れたものとして認知されていませんでした。
なぜかというならば、その当時では、
一定の純度の高いガソリンを作るのは、
非常に難しかったからです。また、蒸気自動車と比べて、
部品が非常に複雑で、作るのが大変だったようです。
従って、蒸気と電気の自動車の方は、
むしろ優れたものとして認知されていました。
実は、1890年から1920年の間に、
この3つの代替案というのは市場に共存しており、
それぞれの技術者によって支援、改善、改良が
進められていました。ただし、その後のいくつかの出来事があって、
結果的に、ガソリンエンジンの優位性が決定されました。
いくつかの要因の1つとしては、
蒸気というのは水が必要となりますので、
その水を運ぶのには、当時馬車しか考えられていませんでした。
しかし当時、アメリカ、北米では、馬の疫病が発生してしまう。
結局、馬車によって、スチームエンジンの水を運ぶことは
中断させざるをえませんでした。
これはまさに偶然な1つの要因があったからです。
そしてもう1つというのは、やはり当時の自動車の用途として、
ツーリングというのが1つの用途として考えられていました。
電気自動車の場合、遠いところ行きますと
常にチャージしないといけません。
ちょっとした人口密集地であれば、
そういう設備があるかもしれませんが、
山の中などではチャージする社会的インフラが
整備されていませんでした。結局選択肢としては、
最後まで、生き残ることはできませんでした。
その中で、ヘンリー・フォードがいわゆるT型の大量生産システムを
構築したので、結果的にガソリンエンジンが
支配的デザインとして生き残ることになりました。
逆に言うならば、当時何らかの方法によってチャージするような
スタンドをどんどん増やしていけば、
何もかも100年の後にもう一度考える必要は
なってしまう可能性もあったわけです。
支配的技術の生成経過というのは、
技術がいいかどうかということだけが
決め手になるわけではなく、その社会的、
そして政治的な要素がからんでいるので、
むしろそちらの方が、ひょっとしたら、
技術に大きな影響を与えるかもしれません。

分野: 朱穎准教授 |スピーカー:

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