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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > シンガポールが抱える課題・九州が学ぶもの

シンガポールが抱える課題・九州が学ぶもの

09/01/20

今回は前回に引き続きまして、シンガポールについてお話します。

■教育制度の問題とその見直し
前回申しましたように、非常に早い段階で
エリートを選抜するために、小学校卒業の段階、
中学校卒業の段階でトップ10%に入らないと
大学に行けるルートに残らないということで、
非常にいわゆるガリ勉的な成績至上主義があります。
また、学生間の競争も激しく、
知識に偏ったエリートが生まれており、
そういったエリートにあまりにも依存しているのではないか
ということが1つ問題としてあります。
今回のシンガポール訪問団長の、
九州・アジア経営塾の四島塾長は
ご承知のようにモダンアートの権威ですが、
「シンガポールにはアートはない」とおっしゃいました。
アートがない、すなわち文化がないということです。
確かに、「オーチャードロード」という
すばらしい景観のストリートがあって、
そこに欧米人が喜ぶようなショッピングができるような
環境はありますが、何となくアートという感じではしませんし、
単に人造のショッピングセンターといった感じです。
あとはオフィスビルが、どんどん古いものを
壊してできているということで、
古いものは残っていませんし、
そこから芸術とか文化が生まれてきていません。
社会全体が何となく余裕がなくて
堅苦しい感じになっているというのが
1つの大きな問題です。
そして更に問題なのは、いわゆるイノベーションが
なかなか増えないことです。
若者は投資銀行に勤めて、
高い給料をもらおうと、やってきたわけですので、
産業でイノベーションを起こすなんてことが出てきません。
そこで、教育制度を変革することから、
じっくり始めようという動きがあります。
従来は科学とかエンジニアリングの大学教育を
非常に重視していましたが、最近では
シンガポールで一番有名なシンガポール国立大学、
同大学は東大と同じレベルの
アジアでトップクラスの大学ですが、
同大学にリベラルアーツの部門を創設しました。
そして、国立の大学として芸術やスポーツを
専門にする大学を新たに作ろうとしていますし、
中学で一度落ちこぼれた人に
再チャレンジをさせようということも企てています。
そういったことを通じて、総合的な教育、
「ティーチ・レス、ラーン・モア」、
つまりなるべく知識は教えるのは少なくして、
自ら学ぶことを増やすといった
教育の仕組みに変えようとしている
ということがひとつ挙げられます。
そして、シンガポール大学を目指す留学生も増えてきています。
その背景としては、シンガポールの優秀な人が
海外に行って帰らなかったりする傾向があるので、
優れた留学生を入れようということで、
15万人の留学生計画を企てています。
日本は、従来10万人の留学生計画です。
シンガポールみたいな400万人しか人口がいないところで
15万人も留学生を受け入れ、
しかも優秀な人を奨学金を与えて
世界中から集めています。
そのかわりに大学を出たら5年間シンガポールで
働いてもらうといった規程もあります。
こうした制度により、ASEANや中国の人たちは
シンガポールで働けるということで、
優秀な人がいっぱい来ます。
さらに、英語が教育言語ですので、
以前この番組で申し上げたように、
アジアの若者はみんな英語で大学教育を受けて
世界に通用する人材になろうとしているので、
そういう若者にとってシンガポールは
非常にいい留学先になっています。
逆に日本というのは、未だに日本語で授業をしており、
留学生受け入れ人数を10万人を20万、30万と増やしても、
だんだん質は悪くなっていくという問題があります。

■島国としてのバランス感覚の良さ
小さな国として、中国、インド、ASEANの間でバランスをとっている、
このバランス感覚や、柔軟にそれぞれの国と
政治と経済と区別して対応している点は日本が学ぶべき点です。
当然、中国との関係は政治的に非常に難しいのですが、
逆にインドとの関係は政治的には、良好なようです。
そういったバランス力をもっています。

■九州が学ぶ点

九州はやはり自然の資源が非常に豊富にありますし、
人口もシンガポールよりはるかに多いわけですから、
欠けているもというのは、やはりエリートのリーダーシップです。
それから様々な意思決定のスピードが遅く、
アジアの成長スピードに追いついていません。
また、九州はアジアの九州と言っていますが、
アジアが成長するメリットを九州は全然受けていません。
これは、やはり九州がしっかりとした産業政策をもって、
シンガポールみたいな知識産業、
こういうものに特化して、アジアをうまく使って、
そのネットワークの中で生きていくといった政策が必要です。
こういうことで、初めて、島国が自立して生きていけるわけです。
これはシンガポールから学ぶ一番大きなポイントです。
従って、九州がいつまでも製造業拠点
ということはあり得ないわけです。
今回インドネシア、バタム島の
日本企業の製造業拠点を見てきたんですけども、
製造業というのは、インドネシアは月1万円で
労働力が雇えるわけです。その賃金で
日本と同じ仕事が出来るわけですから、
製造業というのは低賃金の国でやっていくしかない
ということで、知識労働者を九州から、それでしかも、
アジアをリードできるようなリーダーシップを持った人を養成する。
これがシンガポールから学ぶことです。
シンガポールにおける九州はどれぐらいの認知度か
といいますと残念ながら、皆九州を知らないようです。
シンガポールのテレビ番組では、
日本の紹介といえばいつも
温泉やお祭りなどを紹介していますが、
必ずしも九州ということではなく、
一体九州って何なのか、どこなのか知りません。
シンガポールには2万社程の日本の企業が進出していますが、
九州の企業なんてあまり聞かないそうです。
彼らがいうのは、九州の人はアジアに九州を知らしめる
努力をしていないのではないかということです。
それから2つ目は、九州に本社がある企業があるのに、
なぜシンガポールやアジアと直接仕事をやらないのか
ということです。それから最後に、
やっぱり九州には多くの市とか学校があるわけですから、
シンガポールの市とか学校、あるいはマレーシアのどっかの市とか、
協定、姉妹協定とか結んで、もっと交流を深めることによって、
九州のことがわかってくるのではないかということです。
シンガポールのような国と交流を持ってみると、
今後、道州制で、九州が独立していくには、
近くの存在でありますシンガポールから学ぶことっていうのは
たくさんありそうです。やはりアジアのリーダーとして
九州が生きていかなければダメですので、
そこをちゃんとやるにはシンガポールの教育、
グローバルなエリートを作る教育というのは
学ぶ点が大きいと感じられます。

分野: 久原正治教授 |スピーカー:

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