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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > シンガポール訪問・サブプライム後の国家戦略

シンガポール訪問・サブプライム後の国家戦略

09/01/19

■サブプライムの影響を感じさせないシンガポール
今回はシンガポールのサブプライム後の
国家戦略についてお話します。
実は今朝シンガポールから帰ってきたばかりですので、
フレッシュな話題です。シンガポールへ行った目的は、
九州の主な会社の中堅の人のリーダーシップ研修を行っている
九州アジア経営塾の今期の塾生さん30人ほどと一緒に
シンガポールに行って、九州がシンガポールから、
どういうことを学ぶところがあるのかということで、
4日ほど訪問して参りました。
現在、世界経済が混乱している中での
シンガポールの現状ですが、
非常にシンガポールの人が前向きで明るくて、
夜も飲み屋が非常にはやっていることです。
それで、クリスマスの商戦が始まっていましたが、
昨年と全然変わっていないらしいく、
あまりサブプライムの影響というのが
実感としては感じられないようです。
むしろサブプライムの危機をチャンスにしようと、
こういうしたたかな感じを実感として感じ、
日本がどうしてこんなに悲観的なのかと
感じて戻って参りました。
シンガポールというのは琵琶湖位の
面積の小さな場所に人口400万人、
もともと何の資源もなかったところに
1960年代に、マレーシア、マレー連邦から脱退して、
自立しなければいけなくなりました。
当時は失業率も非常に高かったので、
強い危機感を持ったトップがリーダーシップを持って、
このシンガポールという小国を、
あたかも企業のように経営して、
それであっと言う間に強い競争力を付け、
今年ご承知の通り1人当たりGDPで日本を抜き、
世界の小国の中ではスイスを上回る国になったと
言われています。
日本からの印象としては観光などが映りますが、
実際の理由は産業でいきますと、
非常にバランスがとれていて、観光、製造業、
そして最先端いわゆるバイオ産業のようなものが
非常にバランスがとれて成長してきています。
シンガポールの方が言うには、
3つのMというキーワードがあります。

■3つのM
1つ目はマーケットです。これは非常に市場競争原理を入れており、
企業は国家が作った企業ですが、
国家の出資比率を2割程度にして激しく競争させ、
政府自体もマーケット原理を入れて、
競争しているというものです。
よって、例えば地方自治体なんか、
コミュニティーセンターみたいな、
日本でいえば、市役所が集会場を所有している場合、
そこが1日でも空き部屋があると、
どうして人に貸さないのかということで、
そこまで徹底的に競争原理を入れている
というのが第一にあります。
2つ目はメリトクラシー(meritocracy)、
つまり実力(学歴)社会のことです。
もともとどういう社会から出てきたかなどの
自分の出自に関わらず、
機会が平等に与えられるというものです。
機会の平等というのは、それは頭の良さ、
つまり学習能力があるかどうかで早くエリートを選抜して、
そのエリートを欧米に留学させることによって
官僚にします。官僚には一番高い給料を払って、
汚職とかないようにしています。
従って、非常に優秀な人が官僚になって、
しかも30代で事務次官に登用するといったものです。
日本と違う点は、エリート官僚を省庁間で交流させることによって、
国の全体を見る目を養わせるだけでなく、
役人間のネットワークが出来るところです。
シンガポールという国が、会社みたいになるのは、
このメリトクラシー、すなわち実力主義によるエリートの官僚の登用があり、
人材育成全体的にこのような特徴があるわけです。
3つ目は、メタフォーシス(metamorphosis)といいます。
これは少し難しい言葉ですが、「変容」とか「変化」という意味です。
つまり、環境の変化に対して
非常に柔軟に対応するということです。
したがって、日本であれば政治家というのは、
環境が変化してもダラダラダラダラ議論をして、
なかなか国の方向というのは変わらないわけですが、
一方シンガポールは、日本のようなタンカーではなく小船ですので、
向こうから荒波が来れば、すぐに方向を変えます。
したがって、戦後の経済発展も、
当所はアジアの製造工場として、
パナソニックなどの様々な日本の会社が
製造工場をシンガポールに作りました。
そして、労働コストが上がると、
今度は資本集約産業にパッと切り替えて、
付加価値の高い産業、あるいはアジアの流通基地、
あるいは金融のセンターというように変化していきました。
現在は、知識集約産業を推進するということで、
バイオに非常に力を入れています。
こういうことで、柔軟な環境変化に対する対応,
しかも、将来を長期的に見てやっているというところに、
この3つのMのシンガポールの強みというのがあるように思われます。

■サブプライムの影響と対応策
そうはいっても、やはりサブプライムの影響というのは、
シンガポールにもそれなりに及んでいるようで、
例えば輸出減、旅行者減などにより、リセッション、
すなわち景気後退といってもいい状況ではあります。
現在のシンガポールは、国自体よりも
海外との関係に依存しているので、
その中で金融というのは1つの重要な産業です。
それから観光客というのは主に欧米からの観光客です。
今回現地で見ると日本からの観光客は非常に多かたのですが、
大多数を占める欧米の観光客は減っているため、
数字で見ると明らかに減っています。
従って、経済成長率も、少しマイナスになるのではないか
という見通しもあるのですが、それにもかかわらず上記のように、
シンガポールの方は非常に楽観的であるという印象が強いです。
すでに対応策として行われているのは、
シンガポールの場合、官僚がエリートですので、
エリートから賃金を18%減らす、
ボーナスは既に1ヶ月カットする
などの手段を講じています。それから、
国が今持っている持ち株会社の幹部は、
給料を15%から25%カットされます。
そうすることで、トップが給料をカットされますので、
下も仕方がないということで、
対応が非常に早い賃金の引き締めが行われています。
また、下層の労働者というのは
全部移民に頼っているので、そのビザを更新しない形で、
労働力の調整をしている。
それだけじゃなくて、他の面でも
トップが非常に早いアクションをとって対応しているために、
国民が将来は彼らに頼っていれば大丈夫だろうと
感じているようです。
シンガポールの前向きな動きの背景にあるのは、
やはり1つは、金融市場については、
これでニューヨーク、ロンドンがダメになれば、
シンガポールが強くなるのではないかということ。
そして、シンガポールというのは、中国、インド、ASEAN、
これの中心になっているということで、
このマーケットは引き続き成長しますので、
そういう位置付けのシンガポールが、
この危機はチャンスではないかとシンガポールの人々は考え、
将来を楽観的に見ているようです。

分野: 久原正治教授 |スピーカー:

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