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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 埋蔵金と特別会計改革(財務戦略/村藤 功)

埋蔵金と特別会計改革(財務戦略/村藤 功)

09/01/09


■埋蔵金のありかと存否
今回のテーマは埋蔵金と特別会計改革です。
この埋蔵金という言葉は、ここのところよく聞かれる言葉ですが、
埋蔵金ですので隠されており、そもそも本当にあるのか、
ということ自体が疑問です。
埋蔵金がどこにあるのかということですけれども、
特別会計の準備金にありと言われています。
特別会計は沢山ありますが、特にその中の2つに、
埋蔵金が沢山あるといわれています。
その二つとは、外為資金特別会計と、
財政融資資金特別会計です。

例えば、外為資金特別会計に不要な準備金が22兆円、
財政融資資金特別会計に12兆円あるというような話が、
この春には埋蔵金伝説として言われていました。
しかし、円高や財政投融資改革によって、
外為特別会計や財政融資資金特別会計の埋蔵金は、
もうなくなってしまったのです。


■外為資金特別会計
外為特別会計の埋蔵金はドル高のころはありましたが、
円高の今はもうありません。
現状ではむしろ外為特別会計の債務超過を消すために、
お金を投入しなければならないくらいです。
そもそも外為資金特別会計とは何でしょうか。
これは、円高が進むと日本企業の輸出製品の価格が上がって、
競争力を失うので、政府が少し助けてあげるために、
円を売ってドルを買い、円高を少し防ぎ、
輸出企業をサポートするというものです。
外為特別会計では、政府が政府短期証券という借り入れをして、
それでドルの国債や資産を買います。
そうすると100兆円の円の借入れと、
100兆円のドル資産が残ります。
ざっくりというと、そういうものです。

政府が100兆円分のドルを持っていて、
マーケットが円高ドル安になると、損をしますよね。
2008年の3月末(第3四半期末)時点で、
21兆円の準備金に対して既に、
19兆円くらいの評価損が出ていた、と言われています。
その後、12月18日時点で88円くらいの円高になりましたから、
100兆円の賭け金で、もう30兆円くらい損をしていることになります。
政府は外為のドルが上がるか下がるかという賭けで、
ドルを100兆円分持っているわけですから、
ドルが上がると得しますし、ドルが下がると損をします。
サブプライムの、リーマン破綻以降、ドルが下がって、
円が上がっていますから、ドルの資産を、
100兆円も持っていたらいけません。
20兆円くらいの埋蔵金がそこにあると言われていましたが、
既に失われて実はそこには準備金を超える損があるという状況です。
埋蔵金というよりは、埋蔵損があるというのが現状です。
ですので、昔はあったが今はないというのが、
外為特別会計の埋蔵金です。


■財政融資特別会計
もう1つが、財政融資特別会計です。
ここにも12兆円くらいあるのではないかと、
2008年の春には言われていました。
この埋蔵金とは財政投融資への準備金のことです。
しかし、これも本当にあるのかどうか極めて怪しいというのが答えです。

無いものなのに、なぜか使おうとしているというのが、現状です。
何に使うかというと、ひとつは麻生総理の言う、
二次補正予算での例の2兆円の定額給付金です。
これを財政融資特別会計の埋蔵金から出すと言っています。
しかし埋蔵金があるかどうかは分からないという状況です。
もう1つ、4月から基礎年金の国庫負担を3分の1から、
2分の1に上げましょうという話がありますが、
これにも財政融資特別会計の埋蔵金を使おうとしています。

これらの政策は存否が不明な財源をあてにしているので、
あるのかどうかがはっきりしないと進まないのでは、
と皆さんお考えかもしれません。
しかし、埋蔵金があろうがなかろうが、
政治の世界ではお金を出すわけです。
その後にやはりなかったというのが発覚するということになるでしょう。

この財政融資資金特別会計とは、
もともとは日本の最大の問題だった、
財政投融資に関わる特別会計です。
小泉改革前は、郵貯、簡保、年金、合わせて、
500兆円を政府の財政投融資として運用していたのです。
それがけしからんということで、
小泉さんが郵政を民営化しました。
これが昨今の最大の改革といわれているものです。
なぜ財政投融資に対して準備金を持っていたかというと、
資産と負債のミスマッチがあるからです。
財投資金は資金運用の際、住宅ローンとして出したり、
高速道路を作ったりするため、かなりの長期資金になります。
資金調達はそれに比べると短期ですので、
長期資産と短期借入のミスマッチが存在するわけです。
市場で金利が上がると、長期資産からの収入は上がりませんが、
資金調達時の市場金利が上がるので、損をします。
この損に対応するための準備金として、
積み立てておいたのが財投の準備金であり、
この中の不要部分が埋蔵金といわれるものです。

もともと準備金は、運用資産に対して10%ぐらいを、
積み立てていましたが、郵政民営化して、
郵貯、簡保、年金だけでなく、財投債を発行しても、
構わないということになり、財政投融資の長期資産に対応して、
20年30年の長期債券を発行し、
徐々に金利リスクを減らしてきたので、
準備金は5%に引き下げられました。
この中に不要な部分があるのではないかというのが、
埋蔵金の話ですが、5%の準備金で足りるかどうかは、
将来の金利動向次第です。
しかし、政府は埋蔵金と言ってしまったし、
赤字国債をたくさん発行したくないので、
とりあえず埋蔵金から出すと言っておこうという状況です。
これは準備金ですから、あるかどうかは誰にもわかりません。
とりあえず準備金を取り崩して、お金を出すことはできます。
しかし、あとになってリスクが実現して準備金が不足すれば、
税金や赤字国債で穴埋めしなければなりません。


■特別会計改革
政府は2006年時点に30ほどあった特別会計を、
2011年度までに17に統合する合理化計画を進めています。
これまで特別会計は、特殊法人や独立行政法人の温床でしたので、
特別会計とその傘下の独立行政法人を連結して財務を把握し、
不要な公営事業は潰そうということです。
一番おかしいと言われていたのが、雇用能力開発機構という、
「私の仕事館」などを運営している独立行政法人です。
これはテレビ等でも放送されていますが、ぼろぼろの赤字です。
キッザニアに比べると子供が全く喜びそうにないので、
こんな施設を持っていていいのかということで、
渡辺行革大臣や茂木行革大臣は、
雇用能力開発機構を廃止しようとしていました。
ところが、なぜか麻生総理の下で甘利行革担当大臣になって、
潰すのを止めるというような話になってしまいました。
「私の仕事館」だけはなくしますが、その他は全部、
高齢障害者雇用支援機構と合併させることで、
ほとんど残すという、看板の付け替えでごまかす、
という話がどうも通りそうです。

このような無駄を整理していかないと、財源は生み出されてきません。
掘ったら無いかもしれない、埋蔵金をあてにして政策を行い、
ないものをあると言っています。これは非常に問題です。

分野: 村藤功教授 |スピーカー:

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