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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 中国白物家電業界動向(中国経済と産業/国吉澄夫)

中国白物家電業界動向(中国経済と産業/国吉澄夫)

08/12/30

■目立つ企業再編・統合の動き

「白物家電」というのは、
冷蔵庫や洗濯機などの家庭電器製品が、
外観が白色をしたものが多かったので、
通称的に「白物家電」(White Goods)
といわれています。
中国のこの白物家電業界では、
この2~3年中国地場企業の生残りを賭けた
大型の投資、買収や提携などによる
企業再編・統合が目立っています。
また、家電他業種からの参入による
「総合家電」化も見られ、
企業の優勝劣敗がより鮮明になりつつあります。
中国で事業を行う日本企業にとっても、
競争と協調の相手でもある中国企業の動向を
よくウオッチしておく必要がありますので、
今日はその辺を見てみたいと思います。


■注目される美的集団の動き

今、注目されているのは、
青島(チンタオ)にあります、
ハイアール(海爾)という会社で、
日本でも多く売られています。
この業界トップである海爾(ハイアール)は、
これまで、積極的な海外展開とすぐれた販売力で
継続的にトップ総合家電メーカーとして
事業拡大をしてきました。
2007年の売上高は1180億元ですから、
日本円換算約1.8兆円、中国電子企業トップ百の中でも、
売上No.2の企業です。
日本企業では三洋電機が約2兆円の
売上規模ですので、近い規模です。
この会社も中国国内はもとより、海外企業との提携や
買収を通じて規模を拡大してきた企業です。
早くから独自の海外展開を行っており、
現在までに海外に50の工場、5万8千の営業拠点を
有するに至っていることでも有名です。

しかし、最近、再編の台風の目になっているのは
広東・美的集団(MIDEA)です。
前身は1968年創業の広東省順徳の、
いわゆる郷鎮企業なのですが、
1992年に美的集団として再編されて以降、
この数年外資との積極的連携や国内同業の買収を通じて
事業を急拡大して、現在電子百強ランキングで
総合5位にまで成長しました。
売上の72%を占める主力のエアコン販売は
年1350万台で国内シェア第2位ですが、
最近、洗濯機、冷蔵庫にも事業を拡大しています。

日本には、入ってきていませんが、
ここに至る過程で、1998年には
東芝万家楽コンプレッサー社の
持分60%を取得し、さらにその後
東芝キャリアー社との提携を深めて
主力の事業を強固にしたほか、
三洋電機から電子レンジ、炊飯器の技術を導入、
韓国メーカーとも生活家電で提携するなど、
海外メーカーとの提携も活発に行ってきました。
一方で、安徽省の洗濯機、冷蔵庫の準大手や
広東省のエアコン、冷蔵庫の中堅企業を
買収して規模を拡大しました。
さらに2008年に入っては、
洗濯機国内2位の小天鵞(リトルスワン)の
持分24%を取得して、筆頭株主として
傘下に収めたほか、安徽省合肥市の
ハイテク産業開発区に、敷地面積50万平方メートル、
生産能力冷蔵庫400万台、洗濯機400万台の
巨大な自社工場を建設中です。


■省エネ技術などにも注目

もう1社注目する会社がありまして、
ハイアール(海爾)と同じ、
青島(チンタオ)にある、ハイシン(海信)、
海の信ずると書き、英語で、Hi-sense(ハイセンス)
という言い方をする会社です。
これまでテレビを主力としてきた海信
という会社は白物家電の老舗・科龍を
買収することで、エアコン・冷蔵庫事業を広げて、
やはり総合家電への道を進んでいます。
元々はラジオ工場だったのですが、1985年に
松下電器からカラーテレビの生産ラインを導入以降、
テレビ、DVDなど映像・音響部門に注力してきました。
しかし、90年代後半よりエアコン市場に参入し、
日本企業から技術導入や合弁生産を行い、
実力を付ける一方で、国内の中堅家電メーカーを
買収して、総合家電の道を進んでいます。
海信の傘下に入った科龍は1984年に
広東省順徳で設立された郷鎮企業で、
一時期冷蔵庫生産では中国でNo.1でしたが、
企業トップの背任行為で、経営が混乱し、
2005年海信が筆頭株主となって経営に参入しています。

それ以外にも、何社かの有力企業が、
これまでの専門業種から範囲を広げて
総合化していく流れがあり、
白物家電業界での競争は益々激しくなっています。
日本だと総合家電から得意分野をしぼり、
その分野に注力していくという動きがありますが、
中国の企業はその逆の動きをしています。

こうした中、懸念されるのは、規模の拡大を狙う一方で、
技術革新を疎かにしてならないという事です。
例えば、省エネ環境が重視されている
世の中にも関らず、エアコンのインバーター化率は、
トップ企業でも10%前後と大幅に遅れており、
世界の趨勢との間にまだ距離があります。
その点、後発ですが、技術革新で
40%以上のインバーター化を達成している、
海信などが今後伸びてくるかもしれません。
要するに、技術革新をきちんと行っている企業の方が、
おそらく中国で伸びていくだろうと思います。
いずれにせよ、今後大きな変動が予測される
中国白物家電業界の動きに注目していく必要があるでしょう。

分野: 国吉澄夫教授 |スピーカー:

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