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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 地価とオフィスビル(財務戦略/村藤 功)

地価とオフィスビル(財務戦略/村藤 功)

08/12/26

■日本の地価
今回は、地価とオフィスビルというテーマでお話させていただきます。
地価に関しては、下がって困るというようなニュースばかりが聞こえてきます。
去年ごろまでは、まだ地価バブルで上昇が続いており、
今年の1月時点でも、まだ地価は上がっていました。
1月1日時点で計算する路線価や公示地価というものがあります。
路線価というのは、国税庁が発表する、相続税や贈与税などの、
税金の算定に使うものです。
公示地価は、今の市場の値段(マーケットプライス)が、
どうなっているのかという価格です。
公示地価に比べると、国税庁の路線価は、
2割くらい安い値段がついていることが普通です。
国税庁の路線価は、1月1日時点では上がっていましたし、
国土交通省の公示地価、これも1月1日時点のものを、
3月に発表するのですが、これもまだ上がっていました。

しかし、9月に国交省が発表した7月1日時点の基準地価では、
様子が変わってきました。
全国の主要100地点については、8月に発表し、
日本全体の基準地価は9月に発表することになっています。
両方とも7月1日時点の価格です。
まず、全国主要100地点の価格が、7月1日には下がってきました。
去年から今年にかけて、上がっていた分は、
サブプライム問題の影響が大きく、ファンドが撤退した、
金融機関が不動産業にお金を貸さなくなった等の理由から、
下がり始めました。
また景気の停滞が見えてきたために、
土地の値段が下がりはじめたということもあります。
次に基準地価です。実は全国の基準地価は、
この17年間一度も上がったことがありません。
17年連続で下がり続けていました。
しかし昨年、商業地だけは16年ぶりに上昇に転じたといって、
大騒ぎしたのですが、今年はやはりマイナスとなってしまいました。

1月1日時点での福岡の地価は、
天神はもちろんのこと博多も上がってきていました。
その他の都市でも広島や仙台も上がってきているという、
いい状況だと思っていましたが、また一気に落ちてしまいました。
地価は1月には上昇、7月に下がり始め、9月のリーマンが破綻で、
爆発的に破綻を始めたという状況ですね。


■リーマンブラザーズの影響
基本的に、リーマンが破綻したころから、
大手の金融機関のどこが破綻してもおかしくない状況になってしまいました。
既にシティも危ないという状況になってきていますので、
不動産ファンドに誰もお金を貸そうとはしません。
過去には不動産ファンドが色々なものにお金を出して、
不動産の値段が上がるというようなことが起こっていましたが、
そういった、ものを買ってくれる不動産ファンドが、
突然姿を消してしまったために状況が非常に悪化しました。

倒産したリーマンですが、
彼らは不動産の証券化にかなりのお金を出していました。
不動産を証券化して、投資家に売るだけでなく、
メザニンを自分で保有したりしていたわけです。
証券化した不動産には期限があって、期限が来ると、
新しくリファイナンスして、また資金を調達しなければなりません。
これまでであれば、政策投資銀行やリーマンが、
証券化証券のメザニン部分を引き受けたりしていましたが、
政策投資銀行が民営化され、リーマンが倒産した今、
メザニンの買い手が誰もいません。
リファイナンスができないので、証券化が継続できず、
証券化されていた不動産が売却されてマーケットに出てくるようになったため、
土地の価格下落が加速してきています。


■オフィスビルへの影響
地価が下がれば、当然その土地に建てられた建物も、
賃料等を含めて、下がってきます。
従ってオフィスビルの状況が気になりますが、
オフィスビルはここのところずっと好調でした。
賃料がどんどん上がって、東京の方では、坪当たり6万とか7万、
高いところでは8万円という値段がつき、
ミニバブルと言われていました。
ところが、7月に入り、突然、平均賃料が下がってきました。
その原因ですが、まず、そんなに高いオフィスに、
一体誰が入っていたのかということです。
その多くは外資系金融機関でした。
外資系金融機関が、サブプライム問題で破綻したり、
業績が悪化したりしてきたために、もっと安いところに行こう、
という状況になってしまいました。
ものすごく賃料の高いビルを作っても、
入ってくれていた外資系金融機関がどこかに行ってしまったために、
賃料が今年後半から、下落局面に入ってきたという状況です。

賃料が上がるか下がるかを決めるのに、
一番重要なことが空き室率と言われています。
これが大体、3%を下回ると、貸し手が優位に立てると言われています。
あまり空いてないから少し高くても入るかな、という心理です。
しかし4%を越えてくると、今度は、借り手の方が強くなります。
テナントとして、空き室率が4%以上あると、
入居するビルの選択肢が潤沢な感じがするわけです。
3月に東京都心5区の空き室率が、2.89%で3%未満だったため、
まだ貸し手が優位でしたが10月末には、もう4.3%を越えてきました。
そのためテナント有利で、値段が下がってきているのです。
来年には4%か5%を越えてくるのではないかという状況ですね。

博多の状況をご存知でしょうか。
もう空き室率は、9%台になっています。
福岡銀行さんや、西日本シティ銀行さんも、不動産にはお金を貸さない、
という方針になってきています。
一時は、九州新幹線が開通するため、
博多駅周辺の地価はどんどん上がるという状況でした。
しかし新幹線は来るかもしれないけれど不動産にはお金を貸さない、
という状況になってしまっています。


■建設・不動産業への影響
九州の建設業や不動産業界も、結構な影響を受けています。
全国的にも、スルガコープや、ゼファー、アーバンコープ、
創建ホームズなど色々な企業が、6月から、続々と破綻し始めました。
この背景には金融庁の姿勢が一つ関っています。
金融庁は、地価のミニバブルが起きているので高騰することを警戒して、
不動産向け融資を厳しくするという方針を出しました。
これに対して銀行は、金融庁に何か言われると極端に反応しますから、
顧客企業が危なくなっても、見放すということにしました。
そのため去年まで黒字だった不動産業が、突然銀行に見放されて、
お金が回らなくなって破綻してしまうということが相次いでいます。
福岡のディックスクロキも、去年は最高益だったのが、
今年、民事再生法申請に追い込まれました。
利益とキャッシュフローは、また少し違います。
キャッシュフローの問題で、利益が出ていても、
借入に対してお金が払えなくなると破綻してしまうということです。
資源高で、鉄鉱石や、石炭の値段が上がったため、
鋼材が上がったという話を、以前にさせて頂きました。
鋼材価格が上がって採算が悪くなったゼネコンが、
工事費を圧縮するために、実際に工事をする専門業者に、
発注段階で、安くやってくれとお願いし、
この夏ごろから1割くらい安くさせています。
そのため、もともとあまり儲かっていない建設工事を中心にしている、
中堅・中小の建設会社の人たちの経営は、すごい勢いで悪化しました。

分野: 村藤功教授 |スピーカー:

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