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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > サブプライム後のパラダイム転換①(経済学/久原正治)

サブプライム後のパラダイム転換①(経済学/久原正治)

08/12/08

サブプライム後のアメリカが、
経済的に苦しくなったことで、
世界中に大変な影響をおよぼしています。
その発端になったアメリカの政治経済が、
どのようなものかをお話します。
サブプライムという問題の現象に
目を奪われ、アメリカの本質が見えていない
のではないかと思います。
アメリカの本質をよく理解することで、
サブプライムの前後でアメリカが
どのように大きく動き、その一方で、
何が変わらないかを、よく理解できるのではと思います。

アメリカのシステムから説明していきます。


■アメリカの基本原理

ピューリタンという人たちが、
イギリスから迫害されて、
イギリスでは得られない自由、
あるいは政府からの自分たちの自立、
これを実現するためにアメリカに来ました。
そして、彼らは、神の前で勤勉な行動をして、
富を蓄えて、それを成果として示してきました。
その理念をベースとして、
自分たちで土地のオーナーシップを握り、
その土地の私的所有というものをベースにして、
神の前に勤勉の結果を示す
ということを行動原理としてきました。
従いまして、アメリカ人にとって国家とは、
彼らの私的所有権を、もしかしたら
妨げるかもしれない存在と考え、国家の権利を
なるべく小さくすることを考えました。
国家は自分たちの所有権を守るような
ことだけをしてくれれば良いというのが、
アメリカの基本原理でした。


■アメリカの自由

自由といえども、それは責任と裏腹で、
自分たちの責任、神の前に一生懸命働いて、
その成果を示すことを指します。
そのために、その土地の所有の自由、
あるいは働く自由があることを、
アメリカでは自由と考えるので、
日本人が考える自由とは若干異なります。
また、政府の役割を小さくするということでは、
法律などで縛られる以外は、自分たちが
土地などを自由に使い、そのオーナーシップで、
個人の富から始まり国の富を増やしていく
という考えのもと、自由を位置付けています。
もう1つ面白いこととして、
例えば、自分たちの土地の所有権を
国家が侵した場合に、国家に対して、
それは自分たちのものだと権利を主張して
戦う権利が、アメリカでいう人権でもあります。


■保守主義とリベラリズム

アメリカでは、保守主義とリベラリズム
という2つの面があります。
これは、政府の役割が小さいか大きいかの
違いが1つと、今の資本主義、自由市場経済
という保守主義からくるものがあります。
リベラリズムとは、
どちらかというと、福祉国家的なもので、
貧者が出た場合には、政府がある程度
セーフティーネットで助けようとします。
オバマ氏は、リベラリズムの思想から
出てきた方です。
最近の保守主義は、1980年頃からの
レーガン大統領のころから出てきたものです。


■ニューディール政策について

サブプライムの危機は、
大恐慌と比べられています。
1929年の大恐慌の後のアメリカの
経済困難を回復させるために出てきた
ルーズベルトは、リベラリズムの連合から
出てきた人でした。
従って、福祉国家、政府の役割を
非常に重視した公共事業で
弱者を救済する方法を、
ニューディール政策ではとったわけです。
これを、アメリカのインテリ層と労働組合、
南部の中産階級や移民が、
リベラリズムの連合がサポートしていました。
1968年頃まで、このルーズベルト以来の
アメリカのリベラリズム的な政府
というのが続きました。
しかし、ベトナム戦争の後の
財政の破綻で、リベラルな政府は
終わってしまいました。


レーガン大統領の時代(1982年頃から)

ベトナム戦争で、
アメリカが非常に荒廃してしまいました。
私は当時、1974年に
アメリカに留学していました。
先週母親のところで、その時に、
日本に送ったはがきを見つけました。
アメリカに留学して1ヵ月後位に
祖母宛に送ったはがきには、
「アメリカというのはお祖母さん、
非常に広いとこなのだけれども、
これはなかなか大変な国ですよ。
街を歩くと浮浪者がいっぱい寝ていて、
とても大変になっている。
日本というのは、アメリカの真似をしていると、
こういう国になってしまいますよ。」
ということを書いていました。
そのような時代を経て、
アメリカの経済を立て直すということで、
保守主義、自由市場原理から、
レーガン大統領が出てきました。
レーガン氏は、保守は保守でも
新保守主義という言われ方をしていました。


■オバマ政権

現在、オバマ政権になり、
またリベラル派が政権を握りました。
しかし、これは幅広い考えの人たちの
連合体です。
最初は、非常にリベラルな、
反戦、反イラク、のインテリ階級が、
オバマ氏をサポートしていました。
私もシカゴに住んでいたから
分かるのですが、シカゴの人たちは、
オバマを黒人としてみている、
というよりは非常に優れた弁護士だと
みています。
高い給料を得ている優秀なプロフェッショナルである
と見ている面も持っています。
それに、南部の移民や労働者が加わり、
ルーズベルトの時と同じような連合が出来、
ユナイテッドアメリカという連合が出てきました。
これが、オバマがルーズベルトの時と、
非常に類似点があると言われているわけです。


■日本が学ぶべき点

日本はしばらくレーガノミックスを真似して、
規制緩和、それから自由市場原理と
いってきました。
実は、それは単にアメリカの表面を
真似していただけです。
先ほど、ご紹介したはがきの内容ではないですが、
日本はアメリカの真似をすると大変なことになります。

アメリカをよく見ると、
サブプライムの問題があるのは、
例えばニューヨーク州、それからデトロイトで
自動車がダメになって、カリフォルニア、
フロリダも不動産がダメになっています。
他方で、マイクロソフトはシアトル、
グーグルはシリコンバレー、それから、
デルコンピュータは、テキサス州オースチンと、
これらの地域はまだ元気です。
昔、私はキャタピラーという会社で
仕事をしていましたが、この会社は
シカゴから自動車で3時間位ほどの
とても田舎にあります。
アメリカの大会社は皆、本社が田舎に分散して、
そこに優秀な頭脳も集まっていました。
つまりアメリカは、非常に分散して
経済的な強みをもつ国であるし、
そのようなところからイノベーションが起きています。
この点を日本はそして九州も、
学ばなくてはいけないのではないかと思います。

明日は、サブプライム後の
日本と九州についてお話します。

分野: 久原正治教授 |スピーカー:

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