QT PRO モーニングビジネススクール

QT PRO
モーニングビジネススクールWeb版

FM FUKUOKAで放送中「QT PRO モーニングビジネススクール」オンエア内容をWeb版でご覧いただけます。
ポッドキャスティングやブログで毎日のオンエア内容をチェック!

PODCASTING RSSで登録 PODCASTING iTunesで登録 電子書籍で記事を読もう! EPUB

過去の記事詳細

QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > ジェットコースター株式市場(財務戦略/村藤 功)

ジェットコースター株式市場(財務戦略/村藤 功)

08/11/21

■株式市場のジェットコースター化
アメリカから波及した世界の金融危機について、
5回シリーズでお話しさせていただいていますが、
本日はその4回目です。
今回は世界的な金融危機で株式市場が、
ジェットコースターのように乱高下していることを、
お話させていただこうと思います。

最近の株式市場ではものすごい勢いで下がるかと思うと、
何か少し政府が対策をするというと、またものすごい勢いで上がります。
それで、やっと安定したかと思うと、
またものすごい勢いで下がっていくということで、大変です。

オバマ氏が当選した後、株価が下がりましたが、
オバマ氏が当選したから下がったとは言いにくいと思います。
金融市場がまだ安定していませんので、
マケイン氏が勝っていても株が上がったとは思えません。
世界の金融市場は、どう見ても、まだ色々なことが起こりそうな気配です。
何もせずに放っておくと下がってしまうのです。

前回、去年の10月位が世界の株価のピークで、
6~7千兆円位であったというお話をしました。
金融安定化法案の話をしていた頃は、2千兆円位下落し、
10月にまた1千兆円位程度下落しました。
全部合わせると3千兆円位の下落で、
去年のピークに比べると大体半分近くになってしまったという状況ですね。

世界の株式市場の総額というのは、世界のGDPに結構近かったのです。
去年の10月頃には、世界のGDPを少し上回る状況だったものが、
3千兆円位が無くなってしまい、世界の株価総額は3千兆位になり、
世界のGDPの6割程度に下落してきたかな、という感じがします。

頼みの綱の、新興国も下がってきています。
勘違いしている方もおられると思いますが、
世界経済では常に誰かが勝つと誰かが損する、
というようなことになるとは限りません。
株式市場では、誰かがお金持ちの時は、皆お金持ちになるし、
今回のように、世界で3千兆円ほど失ってしまった時は、
皆貧乏になるのです。

皆が貧乏になってしまったので、お金を使わなくなりました。
特にアメリカ、ヨーロッパの人々がお金を使わなくなりました。
その結果、BRICsと言われる中国やインド、それからロシア等の国々は、
輸出主導で進めてきていたので、輸出がこれからダメだということになり、
株価が下落してしまいました。
こうして世界的な不景気にどうも突入したようだ、
という合意が世界中でされ始めました。


■金融安定化法案とアメリカの対応
金融安定化法は結局成立したわけですが、
これが一度不成立となった時に史上最大の下げ幅となってしまいました。
反対した議員の多くはびっくりして修正した金融安定化法案を成立させ、
一時株価は上がりました。
しかし、少し上がったと思ったら、また下がってしまいました。
これはまずいということで、G7の財務省会議や中央銀行総裁会議が、
緊急協議してチームを組み、この緊急事態に対処するとの決定をしたことで、
また少し株価が上がりました。これが史上最大の上げ幅となりました。
この時の下げも上げも史上最大となってしまったわけです。
昔はマーケットで2、3%上がったり下がったりするだけで、
大騒ぎだったのですが、最近は、1日で8%や10%変動しています。
投資家はたった1日で、それだけのお金を失ったり得たりしているわけです。
明日のことが分かっていれば10%儲けるかもしれませんが、
明日のことが分からなければ10%損してしまう、
という恐ろしい状況になってきました。


■場当たり的対策
こうなってしまった要因は、株式市場の変動があまりに激しいので、
各国政府が場当たり的対策しかできなかったことにあります。
アメリカやヨーロッパ、日本も含めて、とりあえず現状対策をする、
ということで、数十兆円ものお金を使って現状対策をしてきました。
ところが、これは中長期的な対策でないので、
とりあえずの対策への反応として、一瞬ジェットコースターのように、
下がった分が戻るのですが、中長期的に問題を解決していないので、
結局また下がってしまうわけです。
それで下がったらまた対応する。それで、また上がるのですが、
これを続けているので、ジェットコースターのように、
下がったり上がったりという状況が続いています。

対策が場当たり的であることが大きな問題です。
当初アメリカは75兆円を使って、
1つの金融機関の破綻を防ぐために不良資産を買うということを、
発表しました。
しかし、不良資産を買ったところで問題を解決できる訳ではありません。
金融機関に安値で不良資産を売却させれば、
金融機関の自己資本がなくなってしまうので、
不良資産購入のための75兆円のうち25兆円を使って、
金融機関の株式を購入すると発表しました。
これも1つの解決方法です。
しかし金融機関を救って、それでどうにかなるのかというほど、
簡単な状況ではなくなり、今は世界の経済が、
同時不況に向かっている状況です。
どうやら金融機関だけの問題ではなく、
実体経済の不況が始まっているということに、
皆が気付いた時に株式市場がさらに大きく下げたということです。
この問題は、簡単に解決がつきそうではありません。
各国で協調して一生懸命、金利を下げているのですが、
経済は容易に復活していません。
経済の潤滑油である金融機関が、まだ回復していませんので、
これから一体どうするのかという状況ですね。


■日本の株式市場
日本の株式市場についてですが、
アメリカの株式市場が変動すれば、それについて連動していきます。
恥ずかしい話ですが、ニューヨーク市場が上がれば上がるし、
下がれば下がるという、後追いをすることが普通です。
日本のマーケットというのは、去年の7月頃に1万8千円位まで、
戻ってきていました。
政府も、1年当たり、2%ほどしか成長していないにも関わらず、
こんなに長く景気が回復していたことはないということを言っていました。
国民にはあまり実感がなかったのですが、そうなのかな、
と思い、株価も上がっていました。
ところが、ふと気がつくと、アメリカ発の金融危機で、
日経平均株価は8千円を切ってきたわけです。
株を買っていた多くの投資家はあまりの下降速度に動けないで、
凍り付いてしまいました。
値が戻るまでとりあえず様子を見ようと見ているうちに、
顔色が真っ赤になったり、真っ青になったりしてしまうような、
酷い状況になってしまいました。
最近は全く動けなくなったという状況ですね。

一方で、日経平均株価が8千円を切った辺りで、
今まで全く株式市場に関心を持っていなかった人たちが寄って来て、
株を買うという動きがありました。
これで株価が上がるかもしれないという期待がありました。
ところが、その方々が買うや否や、また10%下がったり、
そしてまた、8%戻したりと、また乱高下を繰り返しています。
お年寄りの方々が老後の生活資金で、
そういう賭けをしていいのかというのは少し心配ですね。


■円高をめぐる状況
それから、アメリカからヨーロッパに広がった金融危機ということで、
円高が進み、トヨタも、業績を大きく下方修正しました。
日本は貿易立国であり、輸出企業が儲かるというようなことを、
今まで言ってきました。
ただ、本当に日本にとって円安の方がいいのかというと、少し疑問です。
先日お話しましたが、資源高で貿易収支が、
黒字から赤字になってきている状況があり、
本当に円高が悪いことなのかという疑問があります。
円高で、損する業界と得する業界がありますから。
輸入が安くなったため、円高輸入還元セールということを、
やっているお店も結構あります。
ふと気がつくと、原油が1バレル当たり140ドルだったものが、
もう70ドルを切ってきています。
ガソリンスタンドに行くと、昔に戻ったとは言えませんが、
随分下がってきたなと感じると思います。


■日本政府と日銀の対応
日本政府も色々なことをやっています。
アメリカ発の金融危機ですから、アメリカが何とかしよう、
という時に協力するということが基本にあります。
日本のプライオリティにおける、ナンバーワンは、アメリカ協調ですから。
アメリカが何か一緒にやろうよと持ちかけると、
一緒にお付き合いするのが普通です。

ただ、当初は、日本には協調して下げられるだけの、
金利がありませんでした。
ゼロ金利を解除してやっと0.5%にしたところだったからです。
しかし、その後金融危機が長引いたため、
協調利下げをしようという話になり、
日銀も逃げるわけにはいかなくなりました。
これを見た株式市場は日銀が0.25%の金利引き下げに踏み切ると思い、
これを市場価格に織り込みました。
ところが、日銀としては、0.2%下げることで勘弁してくれとしました。
金利をあと0.3%は残しておきたいということだったわけです。
これには株式市場がびっくりしてしまいました。
0.25%の下げは織り込み済みだったのに、0.2%とは何だということで、
また株式市場が下がってしまいました。
その辺も、上げ方、下げ方があり、扱いが結構難しいですね。

分野: 村藤功教授 |スピーカー:

トップページに戻る

  • RADIKO.JP
  • ビビックスマホ