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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 広告会社の日米比較:メディアとの関係 (マーケティング/出頭 則行)

広告会社の日米比較:メディアとの関係 (マーケティング/出頭 則行)

08/11/20


■広告代理店の立場の違い
今回は広告会社とメディアとクライアントの関係、
というようなことをお話させていただきます。
これも日米を比較して、なぜ日本では、
上位広告会社にシェアが集中しまうのかという解の1つとして、
説明させていただきたいと思っています。
広告会社は英語ではadvertising agencyです。
Agencyというのは代理店です。
ですから、何かを代理しているわけです。
アメリカの広告会社は、間違いなく広告主を代表しています。
広告主、クライアントの利益を代表しているわけです。
当たり前のようなことですが、日本では少し様子が違います。
日本の広告会社、特に、大手の広告会社は、
お金の出し先であるクライアント・広告主の利益も代表している一方で、
メディア・媒体の利益も代表しています。
利害が相反する広告主とメディアの二つを代理しているわけです。
広告主は、広告スペースを安く買いたい。
メディアは高く売りたいという意味では、互いの利害が衝突します。
その間に入って、メディアのスペースや時間に対する、
広告主サイドのディマンドと媒体サイドのサプライを調整する、
という役割を広告会社が行っています。


■日米広告業のリスクの差
日本では広告会社がメディアのデマンド・アンド・サプライを、
調整しているということですが、アメリカではそうはなっていません。
顕著な例をいいますと、広告主はつぶれることが結構あります。
その時は、アメリカの場合、代理店ではなくメディアが負債を負います。
メディアが負債を負いますので、債権を回収できないと、
大変辛い思いをします。
ところが、このクライアントの利害と、なおかつ、
メディアの利害も両方とも代理する日本の広告業の場合は、
クライアントが負債を負えば、広告会社がそれを背負い込みます。
従って、大きなクライアントがつぶれると、
一緒になって代理店がつぶれてしまうことがあります。
広告会社がつぶれるのであって、メディアはつぶれません。

そういう意味では、広告会社は結構盛衰が激しい業界、
ということが言えます。
アメリカの広告会社は、メディアと一緒の立場、ある意味では、
クライアントから見ると、一種のサービスサプライヤー、
というような立場になるのかもしれません。
例えば、アメリカの場合は、広告会社は、テレビのスポットでも、
あるいは新聞の紙面でも、広告主を明示することなしには買えません。
この時間、このスペースは、この広告主のために買います、
と必ず明示します。
このことは非常に含意するところが大きいわけです。
なぜなら、日本の広告業は、クライアントを明示しなくても、
メディアを買うことができます。
それはつまり、メディアへの投資が可能ということです。
その広告会社も、買ったメディアを抱えておくわけにはいかないので、
クライアントに売ります。
ということは、日本の広告会社は自らにリスクを抱えて、
メディアを買うことができる仕組みになっているということです。
これが、うまくいった時はいいですが、ひどい時には、
手痛いロスを受けるということがあります。
アメリカの広告会社には、これがないということなのです。
常にクライアントの指示で買っていて、
負債も負わないという構図なのに対して、
日本の広告会社は負債も負うし、なおかつ自分のリスクで、
メディアを買うことができます。
この差は大変大きな違いを、色々な面でもたらしています。
例えば、広告会社が放送会社と協力して良い番組を作れば、
視聴率が高くなるので、良いクライアントに売れるだろう、
というような考えになりますので、企画制作に乗り出すことにもなります。
そういう例がいくつかあります。

これは一種のインベストメントです。
売れないと、とても辛いことになってしまいます。
従って、いいことばかりではありません。
例えば、ワールドカップやオリンピックがその例です。
ワールドカップは、事前に、放映権とかそういうものが決まっていて、
それを買うときは、日本が一次予選突破するかどうか分かりません。
予選を突破すれば多くの人が見ますが、突破しないと、
視聴率は大きく伸びず、投資が不調に終わるということもあるわけです。
アメリカの場合、そういうことはありません。
オリンピックの放映権も、オリンピック委員会が、
直接メディアに売っています。
オリンピックの場合は、エージェンシーではなく、
放送局のABCがロンドンオリンピックの分まで買っています。


■日本の広告業の社会性
日本の広告業は、比較的大きなイベントを手がけるようになってきています。
これはアメリカやヨーロッパにはないことですが、
一定のクライアントだけの代理ビジネスだと、それがなかなかできません。
日本のように、広告会社が自ら企画に投資して、
大きなイベントを手がけるようになっている状況は、
ある種、広告会社の社会的なステータスを支えています。
日本の広告会社は就職でまだ結構人気ありますが、
アメリカではそんなことはないのです。
アメリカでは、かつて程の人気はなくなっています。
やはり日本の広告業が、ある程度人気があるということは、
オリンピックやワールドカップ、あるいは万博等々で、
社会的立場が担保されているということが大きいでしょう。

分野: 出頭則行教授 |スピーカー:

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