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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 広告会社の日米比較:広告主との関係(マーケティング/出頭 則行)

広告会社の日米比較:広告主との関係(マーケティング/出頭 則行)

08/11/19


■日米の広告業界比較
以前、広告会社とは何だろうというお話をさせていただきましたので、
今回はその続編となります。
今日は、広告会社の日米の比較・広告主との関係、
というテーマでお話させていただきます

日米は大きく違います。まず、一番顕著な違いは、
日本とアメリカの広告会社のトップ5の全広告費に占めるシェア率です。
日本では全広告費が6兆円位で、アメリカは20兆円位です。
ざっと言っても金額に大きな差があります。
日本の場合は、トップ5位のエージェンシーで、
全体の約40%の仕事をしています。
これに比べて、他の国、特にアメリカはトップ5のシェアが10%いっていません。
単純に考えると、アメリカは広告会社が多いのかなと思ってしまいますが、
広告会社の数は、おそらく人口当たりでは変わりないと思います。
広告とは日本でも大変企業数が多い業種ですから。
ただ、日本では上位集中が大変激しいということです。

なぜ日本は40%も上位集中していて、
アメリカは10%以下になっているのかを探っていくことで、
日本の広告会社、あるいは広告産業の特質というものが、
あぶり出せるのではないかなと思いまして、
今回を含めて何回かに分けて、日米の比較で日本の広告産業、
あるいは広告会社の特質というようなものを話していきたいと考えた次第です。

まず、広告会社というのは、クライアントや広告主と呼ばれる方々からの、
収入で成り立っています。
この、広告主やクライアントと広告会社の関係というところから、
今日はお話させていただきます。


■アメリカの広告代理店の仕事
ご存知ないかもしれませんが、アメリカの広告主は、
主にブランド別に広告会社に仕事を与えています。
ここで言うブランドが何かと言いますと、
概ね商品ブランドのことを指しています。
身近な例ですと、プロクター&ギャンブルには、
SK-Ⅱという化粧品があったり、
それからパンパースという紙おむつがあったり、パンテーン、
あるいはヴィダルサスーンとシャンプーがあります。
そういう商品を抱えている総合的なパッケージグッズメーカーです。
これらの商品がブランドで、米国の広告主は、
ブランド別に広告代理会社に仕事を任せています。
ですから、あるエージェンシーはSK-Ⅱを、
また別のエージェンシーはパンテーンを広告してください、
というようなことをしています。
プロクター&ギャンブルのみならず、ジェネラルモータース・GMでも、
同様のことを行っています。
皆さんは、実際にはGMに、どのような車があるのか、
あまりご存知ないと思います。
日本で有名なのはキャデラック、それからブイック、シボレーなどでしょう。
ジェネラルモータースも同様に、キャデラックはあなたの会社、
ブイックはこの会社というように、車種ブランド別に広告会社と取引きしています。


■日本の広告代理店の仕事
一方、日本はというと、ブランド別であるよりは、
プロジェクト別であることが多いのです。
最初からこの商品の広告を、あなたに任せるというよりは、
例えば新製品が出るから、このプロジェクトのキャンペーンを任せる、
というようなことをしています。
色々な例外がありますけども、プロジェクト別で、
エージェンシーと取引をしていることが多いというようなことがあります。
日本では、多くの場合、企業が広告会社を複数使っているわけです。
昨年の最大の広告主、日本では1千億を超えているトヨタ、
それからホンダも900億円位ですが、これら大手広告主は当然、
複数の広告会社を使っています。
ブランド別という考え方よりは、どちらかというとプロジェクト別にやっていて、
この商品はあなたのところに3年間なり4年間なり、
モデルチェンジするまで任せるから、ということではないケースの方が多いです。
では、どうしているかというと、このプロジェクトで、
なかなかいい仕事やりましたね、
となると、それに対する御褒美として、より重要な仕事、
より扱いの高い仕事を任されたりします。
しかし、失敗してしまうと、重要な商品の担当を外されたり、
あるいは、コンペから外されてしまったりします。
そういう、各プロジェクト別のパフォーマンスを見て、
時々ご褒美をあげたり、ペナルティーを課したりするという形で、
代理店や広告会社を管理しているケースが多いです。
大きな会社は概ね、複数の広告会社を使っていて、
大体その広告会社の実力に従ってプロジェクトを分け与えていく、
というということになります。


■日米のクライアント・広告代理店の関係
それぞれの広告会社には強みがあります。
例えば、関東圏のテレビが強いだとか、関西のメディアは結構強いだとか。
そうすると、広告主はそういう特質、強みを生かしながら、
プロジェクトをエージェンシーに渡しているというようなことをしています。
時々ペナルティーやご褒美がありますが、この関係が相当長く、
場合によってはずっと続いているというケースもあります。
そういう意味で、広告主と広告会社の関係が、
時々のアップダウンがありながらも安定していると言えます。

ところが、アメリカの広告会社の場合は、1つのブランドについて、
全部の予算が与えられますが、大抵の場合リビューというのがあります。
通常は、官庁の場合2年、企業の場合4年とか毎にリビューしてみて、
ダメだと判断されると、扱いが全部なくなっていまいます。
All or nothingの世界です。
その辺りが上位の広告会社が全広告費に占めるシェアの違いに出てきています。
基本的には、日本の方が、広告主・クライアントと広告会社が、
企業対企業というような付き合いになっています。
時々お咎めは受けますが、基本的には関係を続けていて、
広告会社の方もそれぞれに励んで、何とか実力相応の扱いをもらう、
というような形になっています。
そのため、広告会社とクライアントの関係は安定していて、
かつall or nothingのようなものがありませんので、
やはり大手への集中が起こります。

分野: 出頭則行教授 |スピーカー:

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