QT PRO モーニングビジネススクール

QT PRO
モーニングビジネススクールWeb版

FM FUKUOKAで放送中「QT PRO モーニングビジネススクール」オンエア内容をWeb版でご覧いただけます。
ポッドキャスティングやブログで毎日のオンエア内容をチェック!

PODCASTING RSSで登録 PODCASTING iTunesで登録 電子書籍で記事を読もう! EPUB

過去の記事詳細

QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 金融安定化法案(財務戦略/村藤 功)

金融安定化法案(財務戦略/村藤 功)

08/11/14


■金融安定化法案の不成立
アメリカから波及した世界の金融危機について、
5回シリーズでお話しさせていただいています。
今日はその3回目です。
今回は金融安定化法案について、
これまでの流れを振り返るという意味でもお話させていただきます。

アメリカで、金融安定化法案が9月29日に下院で流れてしまいました。
9月の半ば頃に、リーマンが破綻してしまったとか、
AIGを助けなければならないということで大騒ぎになりましたよね。
そこで、どうしようかということで、アメリカ政府が思いついたのが、
75兆円を使って、アメリカの金融機関の不良資産を、
買い取ろうという案でした。

ところが、75兆円というのはとんでもない金額です。
アメリカの金融機関の人たちは、ものすごいお金持ちが多いのに、
庶民は生活が苦しくて、住宅ローンも払えない人がいます。
それなのに、なぜそんな巨額のお金を使って金持ちを助けるのか、
それは誰のお金ですか、税金でしょう、という反発が起きました。
そのため、大統領、上院、下院ともOKと、
幹部の人たちが言っていたにも関わらず、多くの下院議員たちが、
この法案に自分が賛成すれば、次の選挙で負けてしまう、
と判断して否決しました。

地元から議員に、山のように「まさか賛成しませんよね?」
というような電話がかかっていたようです。
そこで幹部に賛成して下さいと言われたにも関わらず、
NOと言って、下院で法案が不成立にしてしまいました。
山のように造反者が出てしまったわけです。
それで何が起こったかというと、ニューヨークの株価が、
史上最高の大暴落となってしまい、
ダウが一日で777ドルも下がってしまいました。
まさか法案が不成立になるとは誰もが思っておらず、
皆、その法案は成立するものだと考えていました。
事前まで、ニュースでも成立しない可能性を考える論調は、
全くありませんでした。
それで法案の不成立に皆が慌ててしまい、
ニューヨーク株が下がり、当然、日経も連動しているので、
大きく下げてしまいました。
もう、世界の終わる日が来たのではないか、という感じでした。
大恐慌とはこういうことなのかと思いましたね。

75兆円あるとなしでは大違いですから、
これで恐慌は止まらなくなってしまうのではないかという勢いで、
株価が下落しました。
そんな中、法案を修正することになりました。
まず、上院で少し修正して通しました。
下院の議員たちも、まさか法案の否決で、
これほど、株価が暴落するとは思っていなかったもので、
びっくりしてしまい、上院で修正したものにOKして、
ちゃんと法案が成立しました。
地元の人たちへの義理で最初は否決しましたが、
下院が法律を通さなかったおかげで、
こんな暴落や世界恐慌が起こったと言われてはかないません。
幹部の人たちも通そうと言っているし、今度は通すかということで、
10月3日に下院も法案を通したのでした。


■不良資産の買取り
次に、不良資産の買取りのお話です。
これがまた色々微妙な話が起こってきています。
最初は金融機関の資産を75兆円で買取ろうという話でした。
ところが、金融安定化法案が通った後に、
マーケットが安定したかというと、全然安定せず、
また株式市場が暴落したりしました。
そこで市場を安定させるために、
金融機関の自己資本を買おうかという話になってきました。

最初はそのような話が出ていなかったにも関わらず、
75兆円の内25兆円位は金融機関の自己資本を買取るとか、
資産買い取りのお金には変わりはないので、
買取るのは不良資産ではなく自己資本でも別にいいのではないか、
という話になりました。
最近は、もうすっかりそういうことになってしまった状況です。
手続的には疑問がありますが、
緊急事態なので文句が言いにくくなっています。

不良資産を買い取るといっても、いくらで買うかが問題です。
あまり高く買い取って、そのあと下がってしまうと、
税金が余計にかかってしまいますし、
あまり安いと叩き売る金融機関に大きな損失が生じて、
また金融機関がばたばた倒れるということになりかねません。
その辺で実はちょっと揉めているということがあります。


■ドルの緊急供給
世界もそれに続いて、色々な対策をしていくことになります。
金融安定化法案が不成立だったということに、
世界中がびっくりしました。リーマンが破綻した段階でも、
Too Big To Failの原則という、大きすぎる会社は、
潰すことができないという原則を皆信じていましたから、
世界は驚愕しました。
リーマンは巨大な投資銀行ですから、まさかアメリカ政府が、
リーマンを潰す決断をするとはアメリカ以外の世界は、
全く思っていませんでした。
リーマンが潰れた時の格付は、A(シングルA)といって、投資適格でした。
それで大丈夫だと思っていたら、リーマンが潰れてしまいました。
そうすると、他のヨーロッパの金融機関など、
どこが潰れても全然おかしくないというふうに、
皆思ったわけです。
それで、短期の金融市場でお金を出さないようにする、
という話が出てきてしまいました。
しかしそれでは、金融機関が資金調達をできなくなってしまうということで、
世界中の中央銀行は山のように、
市場へお金をつぎ込まなければならなくなりました。
アメリカは、ヨーロッパ、スイスや日本など、
色々なところとドル供給の約束を結びました。
最初は2,30兆円供給していたものを、
65兆円位つぎ込むという話になりました。


■世界協調利下げ
次に強調利下げです。
最初に、10カ国の中央銀行(欧米の6中銀と、中国、UAE、
香港、クウェート)で下げるという話をしました。
この時は、まだ日本は入っていませんでした。
最近になって日銀が金利を0.2%下げたりしていますが、
当初、10カ国の中央銀行が下げるという時は、
日銀は下げる金利なんてないとまだ言っていました。
ゼロから0.5%に上がった位で、下げるものはあまりなかったわけですが、
それでも0.1%、0.2%位は下げられないわけでもない。
結局、後で下げるのですがこの時はまだ下げなかった、という状況ですね。


■世界の株価
株価の動きについてですが、リーマンの破綻が明らかになった以降、
本当に上がったり下がったりということが続いています。
去年、2007年の10月位が、世界の株式市場の、
総額のピークと言われていた辺りです。
6千兆とか7千兆円とか、その位はあったようです。
金融安定化法案が不成立だという段階で、
もう2千兆円ほどが失われました。

日本のGDPは、大体いつも5百兆円位です。
これが1~2%上がった、下がったということで、
大騒ぎしているという程度の話です。
しかし、今回は日本のGDPが5百兆円のところで、
世界の株価総額は2千兆円くらい下がってしまったわけです。
これは日本のGDPの4倍です。

最初にこのサブプライム関連の話が、去年起こった時に、
FRBやIMFは10兆、20兆円やられることになると発表しました。
そして発表するたびに20兆、30兆と増えてきて、
最近は100兆円ほどやられているのではないかと言っています。
しかし、株式市場では、この段階でもう2千兆円やられています。
ストックが段々とフローになって出てくるということを考えると、
100兆で本当は止まるわけがありません。
現状を認識しても、これから、2~300兆は、
絶対に損失が出てくるはずだということで、
皆疑心暗鬼になっているという状況ですね。

分野: 村藤功教授 |スピーカー:

トップページに戻る

  • RADIKO.JP
  • ビビックスマホ