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リーマンブラザーズの破綻とAIGの救済(財務戦略/村藤 功)

08/11/07

リーマンブラザーズの破綻とAIGの救済 (財務戦略/村藤 功)

■リーマンブラザーズ破綻
アメリカの金融危機に端を発した諸問題を、
金曜日の5回連載でお話ししています。
今回はその2回目で、リーマンの破綻とAIGの救済の話です。
前回、住宅公社をとりあえず助けることにして、
20兆円位を注入したというお話をしましたけど、
それで皆良かった、良かったと胸をなでおろしたかと思ったら、
9月の半ばになって、リーマンブラザーズが破綻してしまい、
大騒ぎになってしまいました。

リーマンは破綻した時に借り入れが63兆円位ありまして、
アメリカ最大の倒産ということになってしまいました。
アメリカのFRBはどこかが引き受けてくれるのではと期待して、
色いろなところと交渉していました。
特にバンクオブアメリカ、あるいは、
イギリスの、バークレーズ銀行あたりが買ってくれるのでは、
と期待していました。
ところが、民間の金融機関は、買えと言うのなら、
政府が少しお金を貸してくれないかと持ちかけました。
しかし政府は、住宅公社は公社だが、リーマンは民間で、
しかも投資銀行は皆お金を持っているのでだから、
そんなところを助けるのに、
なぜ政府の税金を投入しなくてはならないのか、
とお金を貸してあげませんでした。
ということで、リーマンが破綻してしまいました。

リーマンブラザーズというのは、ゴールドマン・サックス、
モルガン・スタンレー、メリルリンチという、
現在の御三家に継ぐ4番目のインベストメントバンクです。
そしてリーマンというと特に債券のビジネスに強いです。
また、今年の初めまで、リーマンの株価は60ドル台でしたが、
9月15日に、破産法を申請した時には、
21セントまで下落してしまいました。
65ドルが21セントになったところで破産したという状況です。

リーマンブラザーズはそういう問題があり、
最終的には政府も手を差し伸べませんでした。
皆がちょっとびっくりしたのは、リーマンを買うと思われていた、
バンクオブアメリカ(バンカメ)がリーマンではなく、
メリルリンチを買ったということです。
ある月曜日の朝、突然リーマンが破綻するという話になっていて、
リーマンの買収交渉をしていたはずのバンカメが、
メリルを買収してアメリカ最大の金融機関になるという話になっていました。


■AIGをめぐる状況
リーマンの破綻は市場に大変なショックを与えましたが、
市場では次の破綻は誰かという話で大騒ぎになりました。
次はAIGやWAMUだという話になったわけです。
WAMUとはワシントン・ミューチュアルという、
アメリカ最大のS&L(Savings and Loan association 貯蓄貸付組合)です。
一方、AIGは、アメリカン・インターナショナル・グループという、
アメリカ最大の保険会社です。
日本でいうと、アリコや、AIGエジソン生命、
AIGスター生命という会社を持っています。

AIGがサブプライム関連で計上した損失は、
過去1年に440億ドルに達しました。
そこでFRBはAIGに最大850億ドル(約9兆円)の緊急融資を、
2年間の時限付で行うことにしました。
現在、政府はAIGを解体して生保事業を全部売ってしまい、
損保にフォーカスしようという話をしています。
アメリカ政府のAIGに対する貸し出しは一時的で、
規模をできるだけ小さくするために、
持っているもの売れるだけ売れという話になりました。
AIGエジソン生命や、AIGスター生命は、
もともと破綻した東邦生命や、千代田生命をAIGが買ったものなので、
これを売るのは当然です。
一方で日本のアリコは、世界中にネットワークがあるものの、
日本支店に過ぎません。これは内容もいい会社です。
アメリカの保険大手のアメリカンファミリー(アフラック)としては、
エジソン生命と、スター生命はいらないが、
アリコは欲しいと言っています。

日本でも保険に加入されている方は、
今後どうなるのだろうと不安に思ってらっしゃる方もいると思いますが、
保険金や保険料の大部分は、影響を受けないことになっています。
誰が買うことになるか分かりませんが、
アフラックが欲しいと言っている一方で、ひょっとすると、
日本生命や東京海上などの日本の保険会社が、
買収に名乗り出てくる可能性もあります。
それから、ドイツのアリアンツ、フランスのアクサ、
それからイギリスのプルーデンシャルなど、
世界の大手が狙っている状況です。


■その他の米投資銀行の状況
話が投資銀行の方に戻りますが、リーマンが破綻して、
それ以外の投資銀行は大丈夫なのでしょうか。
アメリカで一番輝かしい投資銀行と言われているのが、
ゴールドマン・サックスとモルガン・スタンレーという、この2つです。
住宅公社をどうするかという話も、モルガン・スタンレーが、
実はアドバイザーをしていました。
ところが、モルガン・スタンレーとゴールドマン・サックスも、
同じではないかという話が出始めて、
モルガン・スタンレーの株価が下がり始め、
さらに大騒ぎになりました。

モルガン・スタンレーには、最初は米大手商業銀行のワコビアや、
CICという中国の政府系投資ファンド辺りが、
出資してくれるのではないかと言っていましたが、
ワコビアは大きな不良債権を抱えていましたし、
その後潰れて、ウェルズファーゴに売却されてしまうことになります。
ワコビアと合併しなくて良かったですね。
CICは、以前モルガン・スタンレーに出資しましたが、
株価下落でずいぶん損をしてしまい、
中国国内で山のように批難されて、
とてもまたお金を出す状況ではなくなりました。
そこで誰か出資してくれないかと最初は、
みずほフィナンシャルグループにお願いしたらしいです。
しかし、みずほ銀行はなかなか応じてくれず、
三菱UFJ銀行に頼みました。
三菱UFJとしては、正直に言うと、
以前からモルガン・スタンレーが羨ましくてしょうがなかったのです。
過去に色々なところで負け続けて、涙をのんでいましたから。
これは、ひょっとしたら、モルガン・スタンレーを、
買収できるチャンスなのでは、と考えたわけです。
そこで当初は、普通株でグループの持ち分会社にしてしまおうと、
100%普通株を買って取締役も出し、
モルガン・スタンレーを支配しようという動きに出ました。
ところが、そういった途端に、
モルガン・スタンレーの株が一気に下がってきてしまい、
困ったことになりました。
90億ドルの出資ですから、大体9,500億円位のお金を出す、
といった直後に普通株が下がったわけです。
普通株を当初に言ったとおりの値段で買ってしまうと、
数千億の損失を計上しなければなりません。
そこで、申し訳ないが、普通株ではなく、
優先株に変えてくれないかと持ちかけました。
最初、3分の2を優先株に変えてくれないかなと言っていましたが、
株価があまりにも下がってしまったので、
全部優先株に変えて下さいという話になりました。
最終的には、普通株をゼロにして、優先株を90億ドル分買いました。
ただ、この優先株には転換権がついています。
あとで、転換すると、21%の議決権を持って、
持ち分会社にすることができるという代物です。


■三菱UFJと野村證券の行方
日本の金融がアメリカの金融機関に手を差し伸べていますが、
そもそも三菱UFJがモルガン・スタンレーを、
経営できるわけがありません。
日本で三菱UFJの証券部門と、モルガン・スタンレーの日本法人を、
経営統合しようという話も出たりしています。
しかし、経営できるわけがないと思っている人が多いと思います。
リーマンが破綻した後も、リーマンをうらやましく思っていて、
欲しい金融機関が沢山いたため、リーマンの奪い合いになりました。
結局、北米部門はバークレーズが1800億円で買い、
アジアとヨーロッパ部門は、野村が買うという話になりました。
みなさん、ヨーロッパ部門を、いくらで買ったかご存知でしょうか。
リーマンブラザーズのヨーロッパ部門を、野村證券は2ドルで買いました。
買うのはいいですが、1人何億円もらっているような従業員を、
何千人も抱えて、それに給与を支払わなければならないので、
野村證券が、こんな人たちとやっていけるのかというのは少し心配です。

今、野村證券はグループ全体で、従業員が2万人位いますが、
今回引き受けようというのは、アジアパシフィックで3,000人、
ヨーロッパと中東で2,500人、インドで2,000人と、大体8,000人位です。
そうすると、2万人しか従業員がいないのに、
今までの野村證券よりも高額の給与をもらっている人達が多い、
8000人を引き受けますので、本当に経営が出来るのか心配ですね。
三菱UFJと野村が、本当にモルガン・スタンレーや、
リーマンブラザーズとやってけるのかというのは、
これからちょっと、楽しみです。

分野: 村藤功教授 |スピーカー:

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