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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 住宅公社の支援 (財務戦略/村藤 功)

住宅公社の支援 (財務戦略/村藤 功)

08/10/31

アメリカの金融を発端に世界に混乱が広がって、
大変なことになっています。
私は世界の金融体制や経済体制が、
ガラっと転換しつつある状況だと思います。
話が重大ですので、今回から5回連載ということで、
お話ししたいと思います。


■ファニーメイとフレディマックの救済
今日は、住宅公社の支援についてお話させて頂きます。
随分前に住宅公社が、大変なことになっている、
というお話をさせていただきました。
550兆円位の負債の中で、160兆円位を、
アメリカ以外の海外が持っているので、
これを助けないとどうにもならないという話を、
これまでしていたと思います。

アメリカの議会で、ファニーメイとフィレディマックを救済する、
という法案が成立したのは、7月の末位の話でした。
ただこの時に、どの位お金を入れるかというよう話は、
まだしていませんでした。
政府としては、550兆円の塊に、
一体どの位のお金を入れればいいのか、
というのがよく分からなかったので、とりあえず、
もう少し分かってから数字を言おうかということで、
金額を黙ったまま議会を通してしまいました。
その後9月になって、住宅公社にどれ位お金を入れるか、
という話が決まってきました。
はじめは少しですがその後必要に応じて段階的に10兆円ほど、
アメリカのドルでいうと、1千億ドルずつですね、
ファニーメイとフィレディマックに、それぞれ優先株の形で、
注入するというような事を決めました。

優先株というのは、普通株と違って値段が付いていませんので、
あっという間に価値がなくなったりすることがありません。
今回は、元本が確保されている優先株で、
かつ10%の配当を政府に払わせることにしました。
まず10兆円ずつ位、ファニーメイとフィレディマックに注入して、
それから2010年度以降、2年位経ったところで、
ファニーメイとフィレディマックが今それぞれ7500億ドル、
日本円で75兆円ずつほど持っている資産を、毎年10%位、
小さくしていく計画です。
それぞれの資産を3分の1位にしてもらおうというようなプランを、
7月の法案成立から、1ヵ月余り経った9月の初めに作って、
それを発表したというのが、まず住宅公社の支援の話です。


■ブッシュ、大統領候補とグリーンスパン
ポールソン財務長官は、公社救済策を大統領候補のオバマ候補と、
マケイン候補にも説明していました。
金融が全て破綻するという話は、
現大統領のブッシュが嫌なのはもちろん、
オバマ候補もマケイン候補も両方とも嫌です。
ひとまず、何か対策を打たなければならないこと位は分かりますが、
どうしたらいいかよく分からない。
一体、何を言ったら支持されるのだろうと、
共和党と民主党の両名とも、よく分からないままに、
色々なことを言っているという状況です。

もともと、前FRB議長のグリースパンさんが、
ファニーメイとフィレディマックは大きくなり過ぎたのではないかと、
懸念をしており、もっと小さくしろという話をしていました。
ところが、ブッシュ大統領はそれに取りあいませんでした。
色々なロビー活動を受けて、様々な人達から、
そのままでいいのではないかと言われていたためです。
グリーンスパンさんの警告を無視したということには、
このような背景があったわけです。


■二つの公社が危機に陥った背景
ファニーメイとフィレディマックは、ニューヨークに上場しています。
ある意味で民間企業になっているのですが、ただ、
名前が公社と付いています。
連邦住宅抵当公社とか、
連邦住宅貸付抵当公社等公社と呼ばれているのは、
政府が色々なことをファニーメイやフレディーマックに、
させているからです。

今回何が起こったかを説明しますと、
連邦住宅公社監督局という連邦政府機関が、
民間の金融機関が大変そうなので、
住宅ローン証券を20兆円位買ってあげたらどうか、
という余計な事を言いました。
それで、半分民間、半分官のファニーメイとフィレディマックは、
他の金融機関から山のように証券を買い上げました。
この二つは、ただでさえ大変なところに、
他人の持っていた余計なものまで引き受けたので、
住宅ローンを証券化した証券の99.9%位は、
この2つが持っているという状況になってしまい、
実質破綻してしまいました。
ですから、今回の住宅公社の破綻は民間保有の債券を、
買えと言った政府に大きな原因があります。
破綻に責任がある政府が、
住宅公社を助けないで一体どうするのだ、という話です。
2つの住宅公社には、全体で550兆円ほどの借り入れや、
証券化時の保証債務があります。
海外の政府や央銀行は、外貨準備としてアメリカ国債や、
住宅公社の債券を沢山持っています。
アメリカは国債を4兆5千億ドルほど発行していますが、
GSE(Government Sponsored Enterprises)と言われる、
ファニーメイとフィレディマックは、
5兆ドル(550兆円)の債務を抱えています。
550兆円のうちの160兆円位は、
海外の国や中央銀行が持っています。
これを持っているリスクが高いということで売り出されたら、
あっという間に世界中の金融市場がパニックになってしまいます。
それはまずいだろうということが、アメリカの議員の人達も、
ある程度は分かっているわけです。
外国に迷惑をかける訳にはいかないということです。
アメリカの議員の人達の大半は、
国内のことが中心でなかなか海外のことは分からないのですが、
この話は結構分かりやすかったようです。
半官半民の住宅公社でもあるので、とりあえず助けるか、
という話になったという状況です。


■世界の株式市場への余波
政府がこの二つを守るというのは分かったので、
とりあえず格付けのAAAは変わりませんでしたが、
優先株を10兆円ずつほど注入するということで、
それまでの普通株や、優先株、
政府が今回買った優先株ではなく、
その前からあった優先株には配当できないという話になりました。
ですので、株の価値が殆どゼロになってしまいました。
格付けもCという、全然価値がない、
投資したお金を取り返せる可能性はほとんどない、
という状況になってしまいました。

世界全体の株式市場の価値は、去年の10月のピークに比べると、
9月初めの住宅公社救済の話をしている時点で、
1千兆円くらいは消失してしまいました。
その後9月の半ばに、リーマンブラザーズの破綻など、
色々なことがあって、世界の株式市場では、
さらに一千兆円位が無くなりました。
世界中の株式市場の株価総額合計は、
既に二千数百兆円が失われました。
日本のGDPが全部で500兆円、
アメリカのGDPが全部で一千兆円なのに、
2千兆円以上も株式市場の価値が無くなっている訳ですから、
もう世の中は大変なことになっているという状況です。


■アメリカの住宅市場
住宅市場は、例えば、住宅価格指数、
S&P/ケース・シラー住宅価格指数というものがありますが、
これも20%位下がりました。
しかし、まだ10%、20%は下がると言われています。
中古住宅の在庫も積み上がってしまって大変な状況にあります。
住宅ローンもなかなか出ず、皆投げ売りしているという状況の中で、
住宅が全く売れないという状況になってしまっています。

分野: 村藤功教授 |スピーカー:

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