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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > すかいらーくと野村(財務戦略/村藤 功)

すかいらーくと野村(財務戦略/村藤 功)

08/10/10


■すかいらーくの社長交代劇
今日は、すかいらーくと野村というテーマでお話させていただきます。
スカイラークに限らず、外食産業は、昨今の原油高騰や、
アメリカのサブプライムローン問題に関連して、
業績が落ち込んでいます。どの家族もファミリーレストランに行く、
というような環境でもなくなってきていますから。
スカイラークは業績悪化で2006年に、
2,700億円のマネジメントバイアウトを行いました。
その時に、野村プリンシパルファイナンスや、
イギリスの投資ファンドのCBCキャピタルパートナーズが
大変なお金を出資しました。その結果、野村が61.5%、
CBCが35.6%の議決権を確保したわけです。
またMBOの借り入れはみずほが出したという状況で、
これは2年前に始まりました。

ところが、再建には時間がかかり、なかなかうまくいきませんでした。
これにしびれをきらした野村とCBCが、
すかいらーくの橫川社長はクビだと言いました。
橫川社長をクビにして、谷常務という、
もともとすかいらーくのプロパーでずっとやってこられた方を、
代わりの社長にすげ替えました。

■もともとMBOだったのか
さて、創業者一族の橫川前社長の流れを断ち切るということは、
社員の人たちにとって歓迎できることだったのかどうか
ということが問題になります。これは、少し微妙なところです。
橫川社長としては、何も悪いことはやっていないと主張しました。
そもそも立て直しには時間がかかるので、
今の状況はもともと予定していた通りの状況で、
なぜ、クビにしようとするのか、全く理解できないと言いました。
そこで、サントリーに協力を仰いで、サントリーが、
すかいらーくの増資に応じるという話を取り付けてきました。
ところが、野村とCBCはその案に反対して、
サントリーの出資を受け入れず、
そのまま橫川社長をクビにしてしまいました。
その時に、銀行が反対したり、従業員が反対したりする、
といったことにならなかったのは、2年前にMBOを行った時に、
橫川氏一族は2割位持っていた株式を3%位まで売却していたためです。
そういう意味では、この取引は本来的なマネジメントバイアウトとは、
全く違っていたわけです。マネジメントバイアウトというのは、
普通、経営者が株を買うものです。
例えば、経営者があまりお金を持っていないので、
ファンドに出資してもらったり、銀行から借りて市場から株を買う。
そして財務が悪化する前に、一生懸命改善に取り組む。
自分が破綻してしまうリスクを抱えて、
経営の再建に取り組むというのが通常のマネジメントバイアウトです。

今回の場合は、2割近かった持分株式を、
マネジメントバイアウト時に、売却して3%位まで下げたということで、
創業者一族は膨大なキャピタルゲインを得ていたわけです。
再建に長い時間がかかっても、橫川社長としては、
何ら痛くなかったわけです。再建をゆっくり行ってもいいじゃないか、
と言われて困ったのは、橫川社長ではなく、
実は野村やCBCだった訳です。それに加えて従業員も、
こんなにゆっくりした再建計画でいいのかな、と思っていました。
橫川社長は計画当初に先に得を取っていますから、
辞めさせられる時も皆の同情をあまり得られなかったという状況ですね。

前社長は痛みを感じなかったというよりは、
売却しても自分の会社と思っていたのでしょう。
しかし90何%の株式を、ファンドに持たれてしまっていますから、
株主総会でクビと言われれば、もう仕様がないですね。
銀行も基本的に、社長に同情してくれなかったということで、
ファンドの意向に賛成の銀行は数行出ましたけれども、
あとは傍観していたという状況です。


■野村の状況
野村はサブプライムローンでやられて結構大変な状況です。
あまり強くない日本の金融機関は、ゲーム自体に、
参加もさせてもらえなかったのでやられなかったのですが、
野村やみずほといった、結構強い金融機関が、
サブプライム問題でやられました。
野村は前年の第一四半期が759億円の黒字だったのですが、
今年は760億円の赤字ということで、
1,500億円位損益が急激に悪化してしまっています。
更にいうと、MBOを行った時に、すかいらーくは、
銀行からお金を借りています。
みずほや新生銀行など、19行からのシンディケーションローンで、
2,000億円位の資金を調達しています。
その時に、すかいらーくの業績が悪化した場合には、
野村やCBCが持っている株が銀行団に担保として取られてしまう、
という契約条項があるらしいです。
そこで、自分の持っている株式を銀行に取られてしまうのは、
嫌だということで、社長の首をすげ替えるということをしたということです。
私としては、MBOで上場を取りやめて経営が改善されると、
そもそも野村が思っていたのかということ自体が少し疑問ですね。
すかいらーくは、色々と面白いレストランチェーンを持っています。
小僧寿しや、バーミヤン、夢庵などが有名ですね。
ひょっとすると、野村はもともと横川社長の再生に、
期待していたわけではなくて、M&Aのアドバイザーとして、
グループを解体してレストランをどんどん売っていきたかっただけなのではないか、
というような気がしますね。新しく谷社長を担いだのは、
単にすかいらーくグループの持っているレストランチェーンを、
売却しやすくするためではないでしょうか。
橫川社長が自分の株式持ち分を下げた時点で、
マネジメントバイアウトではなく、
今回のプロセスが始まっていたということでしょうね。


■すかいらーくの今後
最後に、今後のすかいらーくについてですが、
谷社長は前述したように、プロパー出身の方です。
もともと横川社長の創業家にはお世話になり、
尊敬しているという一方で、すかいらーくグループが、
市場環境の急激な変化についていけなかった、
という事実を正面から認めています。
橫川前社長は、既存店舗に更に追加投資を行いたかったのですが、
谷社長は縮小路線をとるということで、
野村の方針に従って売却していくということになりそうです。

分野: 村藤功教授 |スピーカー:

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