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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 景気後退(財務戦略/村藤 功)

景気後退(財務戦略/村藤 功)

08/10/03


■日本の好景気?
今日は、景気後退というテーマでお話させていただきます。
景気後退といっても、国民のレベルでは、
とうに景気が悪くなっていることを感じていますが、
国もいよいよそれを認めざるを得ないような状況になってきました。
しかし、そもそも景気が良くなっていたのかということ自体が
よく分かりません。71ヶ月の、戦後最長の景気だったというふうに、
政府は言っていました。しかし、そんなことを言われても、
あまり給料も上がっておらず、食べ物の値段も上がっています。
生活が楽になったという感覚はありません。
戦後60年代のいざなぎ景気では、GDPが11.5%成長しましたし、
80年代後半のバブル景気でも、GDPは5.4%の成長でした。
それに比べると、今回の71ヶ月続いた戦後最長の景気というのは、
平均すると2.2%位の成長です。
もともとたいしたことのない景気成長だったわけです。

以前から私が言っていることですが、GDPが上がった、
下がったということで喜んでどうするのでしょうか。
実際はバランスシート上で、GDPと同じ位の規模のお金が
得られたり失われたりしています。
バブルの発生の時の資産増加とか崩壊のときの資産喪失は、
1年あたりGDPの数十%と言うくらい巨額です。
そもそもGDPの数字だけ見ながら経済を考えること自体が
時代遅れだと思います。


■景気後退の影響
今回日本では、今年度の第二四半期、
4月から6月度の実質GDP成長率が、
久し振りに赤字になりました。
マイナス2.4%でマイナス成長ということです。
アメリカは、去年の第四四半期から、既にGDP成長率が
マイナスになっていました。
ヨーロッパも、今年の第二四半期に、日本と同様に
0.1%のマイナスになってしまいましたので、
世界中が景気後退に入ってしまいました。
しかも世界中がインフレになっています。
このインフレと景気後退が一緒に起こることを
スタグフレーションと言います。
景気が後退すると、スタグナント、
景気がスタグナントになると言います。
それからインフレーションを合わせて
スタグフレーションというふうに言います。
これは、もう始末の負えない大変なものです。

特に日本は貿易に頼っているところが多いので、
世界市場の経済不振の影響を受けます。
日本の今回の景気回復は、
基本的に輸出が主導してきました。
アメリカや中国の景気に合わせて、
彼らがものを買ってくれたおかげで良くなっていました。
しかし、アメリカだけでなく中国やインドも
欧米に対する輸出が減少して成長が鈍ってきています。
そのせいもあって、貿易中心の企業が
少し困ってきているという状況です。

例えば、ホンダやソニー、ヤマハ、それからトヨタもです。
トヨタもアメリカで大型車が売れないという騒ぎから始まって、
2、30%の減益予想という状況になっています。
我々が特に九州で困ってしまうのは、トヨタ九州の問題です。
トヨタ九州は、アメリカ向けの大型車種を沢山作っていますから、
北米で大型車が売れないため8月から年末まで、
減産する予定で、800人位の派遣社員を削減するという話のようです。


■貿易立国日本
日本の貿易収支というと、ずっと黒字というイメージしかありませんが、
状況が変わってきています。
日本はずっと輸出の方が輸入を上回っているという国でした。
ですから、日本は貿易立国というようなことを言ってきました。
ところが、最近、原油や鉄鋼原料などの、
原材料の輸入価格が大変上がってきていて、
それを輸出する時に転嫁できないということで、
遂に輸入が輸出を上回ってしまい、今年の第二四半期に
7兆円位の貿易赤字に転落してしまいました。
これは大変なことです。遂に、貿易赤字で、
貿易立国とは言っていられなくなってしまった状況です。
結局、いざなぎ越えだといわれた今回の景気は、
企業にとって利益はあったのでしょうか。
最近、企業は次年度の利益が下がる見通しを立てていましたが、
それがまた下がることになっている状況です。
もともと日本の上場企業の連結経常利益の見込みが
5.6%位下がるのではないかと言っていたのが、
最近では、9.2%位、従来予定の約2倍程度、
下がりそうな気配になってきたという状況ですね。


■世界の経済状況
日本の景気は、やはり海外の景気回復、
特にアメリカに懸かっています。
それを私達は期待するしかないわけです。
しかし、アメリカは、景気減速とインフレという、
スタグフレーションが起こっています。
景気減速の中でも特に、サブプライム問題が原因で、
住宅市場が非常にやられています。
住宅市場がやられたお陰で、金融市場もやられています。
以前から、アメリカの投資銀行がやられた、
その投資銀行から買い取ったファニーメイや
フレディマックがやられたというお話をしていますが、
アメリカは景気の悪化とインフレと、
それから金融不安という三重苦状態です。

ヨーロッパもインフレになり、経済が減速し始め、
金融もやられているという三重苦状態です。
今後の見通しとして、頼みは新興国だけという状態です。
世界の人口は、日本が1億、アメリカで2億、ヨーロッパで3億と、
合わせて6億です。これは中国の約半分です。
中国やインドが頑張ってくれたら、景気はどうにでもなります。
しかし、頑張ってくれたらそれで何とかなるといっても、
同じ位の1人当りGDPになってくれたら何とかなるという話です。
今のところ、中国のGDPは日本の20分の1位ですから、
結局どうにもならない状況です。
中国は内部のマーケットがそれなりにできつつありますが、
中国もインドも欧米に輸出するという部分がやはり大きいので、
欧米への輸出量が少し減ってくると、
1%位は実質成長率が落ちるという状況になってきています。


■アメリカの景気回復
アメリカの景気回復ですが、サブプライム問題がまだ残っています。
しかも、新しい発表があるごとに、
回復はまだまだだろうということが分かってきます。
今回のファニーメイとフィレディマックについては、
とりあえず何としてでも助けるというようなことにしましたが、
まだ実際にお金を投入していません。
いざという時にお金を投入するという法律を作れば十分じゃないか、
などと余計なことを言っているふしもあります。
しかし、そんなことを言っている内に、
海外の政府がファニーメイとフィレディマックの債券を売り始めたら、
もう大騒ぎになってしまうでしょう。
ですから、アメリカの景気回復の時期はいつになるのか、
さっぱり分からないという状況です。
ひとまず、来年の初めはまだダメそうですね。
後半は可能性が全然無い訳ではないという程度です。

分野: 村藤功教授 |スピーカー:

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