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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 地方交付税(財務戦略/村藤 功)

地方交付税(財務戦略/村藤 功)

08/09/19


■地方交付税とは
今日は、地方交付税についてお話しさせて頂きます。
まず、そもそも地方交付税とは何かということです。
中央が地方を支配する仕組みになっているというのが、
地方交付税の現状です。
多くの地方自治体では、中央から地方交付税を貰わないと、
予算が作れません。
ですから、総務省を怒らせると地方交付税をもらえなくなって
後々恐い思いをすることになる訳です。
ところが、その交付税を、
一体誰にどの位あげるのかということが問題です。


■交付税の算定と不交付団体
地方交付税には、まず、
基準財政需要額というものがあり、
財源不足額を地方交付税法の規定に基づく、
一定の計算方法により算定します。
この基準財政需要額というのは、
自治体は最低限この位の行政サービスを
やって下さいという、総務省が決めた基準です。
基準財政額の需要を満たすような、
最小限の行政サービスをやるお金を
自治体が持っているかどうかということが
まず問題で、持っているところにはあげませんよ
という訳です。例えば、東京都のような大都市は、
十分なお金を持っています。
それならば、お金をあげなくても大丈夫ということになるので、
東京都は地方交付税、不交付団体ということになります。
不交付団体は東京都以外にも結構沢山あり、
例えば、トヨタがある愛知県の豊田市。
それから観光客がたくさん来る熱海や、
軽井沢といったところは実は、不交付団体です。

熱海は、自治体としては結構困っているのですが、
不交付団体になっているのは何故かというと、
基準財政需要額を上回る収入があるからです。
ただ熱海市の場合、収入はありますが、
観光客の為にも行政サービスを行わなければなりません。
ですから、観光地を整備するために、
山のようにお金を使わなくてはならず、
お金が足りなくなっています。
現実問題として、最小限の行政サービスというのは、
地域ごとに全然違うので、
その額を中央で勝手に決めているということ自体が
おかしいわけです。不交付団体といっても、
本当にお金に困っているところと、余っているところと両方あります。


■交付税の財源
そもそも、どうやって地方交付税を出すかどうかを
決めているのかご存知でしょうか。
その財源を総務省はどこから得ているかということです。
まず、地方自治体が予算を作って、
これ位の地方交付税が欲しいという風に言ってくる訳です。
一方で総務省としては、どこからお金を調達するか
ということが問題です。まず法定五税といって、
法人税、所得税、消費税といった、主要な税金の何%は、
地方交付税に出すというのが予め決まっています。
これで足りれば結構なことなのですが、
普通はこれだけでは足りません。
足りない場合にどうするかというと、大きく2つあり、
一般会計からもらう方法と、特別会計で借りる方法があります。
一般会計は、国の収入である税金で
構成されている訳ですが、その中から必要な分を
いただくということです。
特別会計では、交付税特別会計というのがあります。
この交付税特別会計が、民間銀行から借りてくる
というのがもう1つです。
民間の銀行には「悪いけど、ちょっと貸してね」ということです。

しかし、そもそも民間の銀行からそんなものを
借りていいのかということが問題です。
行政では、税金や社会保障収入などの、
持っているお金の範囲でやるという考え方と、
お金がないので借りてやるという考え方の2つがあります。
日本は、国のプライマリーバランスが満たせず、
赤字のままですので、国債を追加発行します。
これを赤字国債といいますが、赤字国債を発行して、
将来の世代がこの借り入れを返してくださいということで、
借り入れの返済責任を将来世代に先送りして
行政サービスを提供し続けるということです。
このような、収入から払うのではない仕組みで、
地方交付税特別会計が
民間の銀行から50兆円ほど借りていました。

しかし、それはまずいのではないか
ということを財務省から言われました。
お金が足りない時に赤字国債を発行するのと同じで、
総務省が地方交付税のお金がない時に銀行から借りて払う。
それがずっと大きくなっていくというのは
将来世代へのツケ回しなのでまずいということです。
平成13年には交付税特別会計による借入が
廃止になりましたから、もう5年位前には、
新しい借り入れはやめろという話になっていたわけです。
では、新しい借り入れをできなくなった総務省は、
借りていた50兆円ものお金を一体どうやって返すのかというと、
その半分は一般会計から補填してくださいと言ったわけです。
一般会計は我々の税金なのですが、
地方交付税特別会計の借入の返済に回っていたことは
初めて聞いた、または聞いたことがない、
という人がほとんどだと思います。特別会計の借入のうち、
半分は一般会計からつぎ込んで、
あと半分は地方自治体の借り入れに変えてあります。
これは、地方債の一種として臨時財政対策債というものです。
これは単に交付税特別会計から、
自治体に有利子負債が移っただけです。
行政サービスをできる範囲でやるのではなくて、
お金が足りないから借り入れて、
将来の若者達に払ってもらおうという無責任なやり方は、
これ以上続けるべきではないと思います。


■地方交付税改革
そうすると、地方交付税の改革をしていかなければなりません。
その案が色々とあります。
もともと中央が地方にお金を投げるという、
仕組み自体に問題があるのです。公共投資をやる時に、
中央は自分でもかなりの資金を負担します。
そして地方に対して、あまり自分でお金を出さなくても、
お金がなければ地方債を借りて、
調達すればいいでしょうと言うわけです。
借りた地方債をどうやって返すのかというと、
地方交付税をあげるので、
それで返せばいいでしょうというのです。
結局地方自治体はほとんど資金負担なしに、
公共投資をすることができたというのが、
バブルの崩壊以降、山のような公共投資を
中央が地方にやらせてきたという仕組みです。
しかし、必要だったら自分のお金でやる、
という仕組みに切り替えようという声が大きくなってきました。
必要な財源も使う主体に移す、
というような改革がこれからも必要でしょうね。

分野: 村藤功教授 |スピーカー:

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