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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 自動車産業における環境規制とイノベーション③(中国ビジネスとイノベーション/朱穎)

自動車産業における環境規制とイノベーション③(中国ビジネスとイノベーション/朱穎)

08/09/16

今日は、環境規制とイノベーションの
戦略的企業間分業についてお話します。


■排ガス規制をクリアできた理由

70年代の排ガス規制であるマスキー法は、
技術的可能性に基づかない規制値を先行的に作られました。
それにより、当時の自動車メーカーは、わずか3年間の中で、
排出の汚染成分をクリアするような技術を開発しなければ
ならないというような、非常に厳しい状況におかれました。
量産やリードターンを考えますと、研究開発にゆるされる時間は、
3年間弱しかなかったので、非常に厳しい試みでした。
ここで、1つのキーワードとして、
技術の不確実性というものが起こってしまいました。
今から30年前は、技術的選択肢も不明で、
どのような手法でアプローチすれば、技術を開発できるのか
ということも分からない状態でした。全くゼロからのアプローチでした。

このような厳しい状態で、排ガス規制をクリアできたのは、
非常に複雑なプロセスで、果たしてそのプロセスが
本当に良かったかについても、色々評価がわかれています。
1つ解決できた理由をあげるとすれば、
自動車メーカーとその周辺のサプライヤーとのネットワークにより、
限られた時間の中で、不確実な問題に対応できたのではないかと思います。


■自社でつくるか、外注するか。

例えば、70年代の排ガス規制をクリアした
1つのキーとなる技術は、三元触媒という技術です。
エンジンの排出した汚染成分をクリアにする為には、
従来のエンジン工学だけでは、対応できませんでした。
そこで、触媒とエンジンをコントロールする電子技術が
必要となりました。
しかし、化学の触媒とエレクトロニクスの燃料噴射装置の
組み合わせは、いずれも従来のエンジン工学専門とする
自動車メーカーの領域の中ではなかなか出てこない新しい技術でした。

そのような時に、企業のとる選択は2つあります。
1つの選択としては、自社にその技術はないので、
外注するしかないという選択肢があります。
例えば、その触媒に関しては、
当時日本の自動車メーカーはアメリカの触媒メーカーと
契約を結んで、触媒を買っていました。
しかし、それを続けると、リードターンが間に合わない、
結局触媒を実車テストの段階で壊れてしまうなどの
不具合が生じました。
そうすると、何が起こるかといいますと、
日本のメーカーも詳しい技術の仕組みが知りたくなるのです。
専門の人がいないと解明できない不安などから、
トヨタのような日本を代表する非常に素晴らしい企業では、
触媒も内製化するようになりました。

もともとは、化学のメーカーではないのですが、
自前で触媒を作るようになりました。
しかし、当時は触媒専門の技術者はいませんでしたので、
化学の技術者を採用したり、エンジン工学の技術者に対して
触媒の知識を教えたり、そのような色々な取り組みを積極的に行い、
技術を取り入れていきました。
もし、外注したとしても、自社内にそれを管理するように
チェックしなければならないので、触媒の技術を
知っている人がいなければなりませんでした。


■メーカー同士の連携

メーカー同士の提携になると、
例えば特許の問題がでてきます。
重要なのは、プリウスの中心部分になる燃料電池、
電池やバッテリーに関する技術になってきます。
それは果たして、外部の企業に出していいのかどうか
という問題がでてきます。
そこは、色々な企業秘密に関わるものが出てくるので、
たとえば三元触媒の開発に関していうならば、
燃料噴射装置作る際に、当時トヨタ社内では
そうした技術がなく、デンソーに発注して買っていたのですが、
その結果面白いことが起こりました。
外注したエレクトロニクス技術が、
エンジンをコントロールすることになるので、
エンジン工学の技術者から見れば、
自分の領域の中でどうも全然知らない人達が
どんどん入ってくるような状態に感じるそうです。
そのように、知らない他者に自分をコントロールされてしまうような、
企業間関係の力関係になると、企業間分業における
知識管理の重要性が出てきます。

そうすると、このように非常にコアとなる技術は、
社内にも分かる人間がいないといけない
と考えられるようになりました。
外部に安易にアウトソーシングすることは、
コストは安いかも知れないですが、
長期的な競争力の維持には上手くいかない
と考えられるようになりました。
そのような背景があり、メーカーは、独自の技術開発、
内製のR&D組織を持つようになっています。
同じものを持つのではなく、
非常に細かいレベルでも差別化できるならば、
差別化しなければならない
という流れになっているのではないかと思います。

分野: 朱穎准教授 |スピーカー:

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