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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 日本の観光戦略 (国際企業戦略論/永池 克明)

日本の観光戦略 (国際企業戦略論/永池 克明)

08/09/08

前々回、私はドイツの地方分権についてお話ししました。
ドイツには美しい地方都市がたくさんあり、
外国人観光客もたくさん訪れているということを話しました。
これに関連し、今回は日本の観光戦略について
欧州諸国と対比しながら述べてみたいと思います。


■対日直接投資が少ない

 日本に対する外国からの投資は国際的にみても極めて少ないです。
また、外国人旅行者数も、諸外国に比べて極端に少ないです。
今はグローバル化が世界的に進展し、国境を越えて、
モノ、カネ、情報の流通が活発化しており、それと同時に
人々の往来も極めて活発化しています。
1970年の段階では、世界の外国旅行者数統計によると、
1億6千万の人が旅行していました。
これが2000年になると、7億人に増えています。
世界観光機関の予測によると、2010年には、10億人、
2020年には16億人と、世界の観光客の行き来というのが
飛躍的に増えていくと考えられています。
ところが、日本への外国からの訪問者は現在、約614万人、
日本から外国に出る人達は1,670万人で、相当差があります。
さらに、諸外国と比べますと、外国からの訪問者は、
フランスの場合には7,500万人、スペインが5,200万人、
アメリカ4,100万人、イタリア4,000万人と、
日本とは、1桁違う数の人が訪れています。
世界第2位の経済大国・日本という地位にくらべ、何という少なさでしょう!

その結果、欧米諸国をはじめ海外諸国の場合、国内総生産に
占める観光収入は日本に比べて格段に高いものになっています。
日本がそれを増やすためには、発想の転換が必要です。
すなわち、異文化理解に基づく観光戦略です。
日本では、産業・工場誘致が国・自治体をあげての最優先事項となっています。
これも重要ではありますが、日本の観光の拡大の余地は極めて大きく、
やり方によっては輸出産業と並ぶ重要産業になる可能性があります。
日本は発想を変えて観光をもっと戦略的に強化すべきです。


■日本に対する外国人の関心

外国人の関心は産業や企業にもありますが、
文化や風土にもっと関心があります。
経済産業省の調査によれば、
東アジアの人々の中で海外旅行に行きたい国として
71%の人が日本と答えています。
その目的は
「歴史と伝統文化に触れたい」、
「現代文化(音楽、アニメ、ファッション等)」、
「料理を楽しみたい」の3つです。
国際観光振興機構の最近の調査によると、
外国人が日本に来る目的の1位はショッピング、2位が伝統文化、
3位が温泉、4位が自然景観、5位が日本人の生活、6位が日本の食事でした。

また、欧米の人々も日本の文化や風土に強い関心を持っています。
明治時代に御雇外国人として多くの欧米人教師や技術者が招かれましたが、
彼らの日記やエッセイを見ても、彼らが共通的に上げているのは
日本の文化の高さや美しい風土、日本人の礼儀正しさ、
日本人の清潔さ、感性のこまやかさ、鋭さです。
彼らは日本の四季の移り変わりや自然の美しさ、
街並みの美しさに驚き、魅了されました。
また、その中で自然と寄り添うように生きている日本人生活感、
伝統文化や芸術、歴史的建造物などにも心を奪われました。

考えてみれば、私たち日本人がヨーロッパに旅行する時に
期待するのは中世の街並みや教会やお城、美しい森、公園、
芸術、ワインや料理などです。
同じように欧米人も日本にそうしたものを期待しています。
それは日本人が外国を旅行したり、生活したりして
異文化系経験をして初めて認識することができます。
島国に閉じこもっていては自分が住んでいる国と
外国との比較を体感できません。
したがって、日本の良さも認識できないのです。
こうして、日本人は日本の良さに気づかず、しばしば逆行、
ないしはそれを破壊するような行動をとっています。
美しい自然の中にコンクリートで固めた巨大な建物や道路、
ビルの屋上の大看板、歴史的建造物のすぐそばに場違いな商業施設、
美しい川べりをコンクリート護岸で固める等々・・・数え上げればきりがありません。
日本人は、外国人と比較して、異文化経験が少ないため、
日本の良さを十分に認識しておらず、日本が誇るべきところを
感じる機会が少ないということもあると思います。

日本では、2006年に「観光立国推進基本法」が成立し、
2011年までに達成すべき5つの目標が盛り込まれました。
①日本への外国人観光客を年間1000万人に増やす。
②国内の観光旅行消費額を30兆円に増やす
③日本での国際会議開催を50%増やす
などの目標を掲げています。
日本国際会議の開催件数では、世界で33位と非常に低いです。
パリが一番の開催件数で年間221件、それからウィーンが219件です。
北京ですら88件となっており、東京の47件と比べて倍近く開催されています。


■観光の本来の意味

観光の本来の意味は、その国の独自の文化や景観などを
つぶさに見ること、そしてそれを見せることです。
また、旅行は感動することであり、学ぶことでもあります。
例えば、学習言語にしても、
色んな文化を感動しつつ学んでいくのが良いのです。
これからの日本の観光は、日本人が異文化を学び、
自らの魅力に気づき、自国のよさや文化を発信することが
非常に重要であると考えています。
日本の観光産業はまだ産業的にみるとほとんど成長前期にあり、
国を挙げて取り組めば成長の余地は極めて大きいものがあります。
九州も例外ではありません。

分野: 永池克明教授 |スピーカー:

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