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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 医療再建 (財務戦略/村藤 功)

医療再建 (財務戦略/村藤 功)

08/09/05

■破綻しつつある医療

今回は医療のお話です。
これまでも色々お話しさせていただきましたが、
医療に関しては色々な問題が今渦巻いている訳です。
今日は医療を再建しなければならない
ということがテーマですが、
なぜ再建しなければならないかというと、
現在、日本の医療は破綻しつつあるのではないか
という疑いがあるからです。
既に様々なところに綻びが出てきています。
世界の国の中でも日本の医療は
そんなに悪くないのではないないかと思われていましたが、
どうも破綻し始めたのではないか
という疑いが出てきました。
現在は、医療制度の根幹にかかわる
色々な問題が同時に押し寄せて来ている状況です。
なぜ破綻しつつあるのかということを、
いくつか見てみたいと思います。
まず1つ目は、少子高齢化の問題です。

■少子高齢化社会と保険制度

日本の医療制度は、若手がお年寄りの医療費を
払うというような制度をずっと採ってきました。
しかし、これから先もその制度で続けられるのか
というのが問題です。
これからは、お年寄りが増え、
若手が少なくなるので、
若手がお年寄りに払う医療費が
だんだん高額になってしまいます。

少子高齢化に対応するために、
お金のかかる後期高齢者層を分離して
自己負担も徐々に増やそうということになり
後期高齢者医療制度を導入しました。
しかし、導入した途端、医療費の90%を
若手が払う仕組みなのに、高齢者の方々に、
我々に1割も払わせるのかということで
怒られたりしています。
しかし、これからどんどん、
高齢者が多くなりますから、
このままで保険制度がやっていけるのか
不安が残ります。

現在、医療費は33兆円ほどありますが、
団塊世代が75才位になる2025年には、
2倍の70兆円位になるというふうに言われています。

今、既に、組合健保や共済組合などは、
その支出の半分位は被保険者のためのものではなく、
高齢者に対する支払いになっています。
もともと保険というのは、保険に加入している人が
何か起きた時に払ってもらうためのものです。
ところが、組合健保も共済組合という
公務員のための保険も、
自分達のために使っているのではなく、
実は、後期高齢者支援金や国保への
前期高齢者納付金やなど
ほかのお年寄りの制度のために、
半分ほど支払っているというような状況です。
それは保険制度としてどうなのか、
というような話が出てきています。

少子高齢化社会によって制度は破綻しつつあります。
少子高齢化が進むと、お金が足りなくなってきますから、
厚生労働省が何をしているかというと、
度々、診療報酬の改定をしています。
厚生労働省は別に悪気がある訳ではなく、
お産や小児医療が大変そうだと分かると、
少しお金たくさんあげよう、それから、
そんなに大変でないところにはお金を払うことはやめよう、
ということをやっています。
子供が生まれそうだとか、
赤ちゃんが熱を出しているということになると、
旦那さんや親は心配ですから、当然真夜中でも
医者を呼び出す訳です。
そうすると、産婦人科とか小児科のお医者さんたちは、
夜寝られません。
いつ呼び出されるか分からないということで、
とても大変です。
ところが、そういった診療報酬を改定する毎に
病院経営は苦しくなって、
赤字病院がどんどん増えて来ています。


■医師不足

それから、医師不足というのも問題の1つです。
この問題はものすごく目立ってきました。
当初は医師が少し増え過ぎたのではないかということで、
80年代半ば位に、医学部の定員を
10%位減らすというようなことをしました。
医師会側も、あまり大勢いるよりも、
少ない方が我々側としては儲かるのではないか
というようなことで、これに同調していました。
しかしここにきて、産婦人科医がいないとか、
小児科医がいないという状況になってきました。
気が付いてみたら、1975年に
全体の10%いた産婦人科医は、
今4%しかいなくなっています。
これは30年前の半分を切ってきています。
小児科医も、真夜中に息子が熱出しました、
というような緊急の呼び出しが多いので、
勘弁して欲しいといって辞める人が続出し、
すごく減ってしまいました。

それから、救急車が受け入れ病院を
見付けられないという問題です。
これも、ニュースやテレビで大騒ぎされました。
救急車は何をしているかというと、
病院に運ぶというよりも、
受け入れ先の病院に電話をかけています。
しかし、2007年に3回以上断られたのが14,000件、
10回以上断られたのが、1,000件以上あるという状況です。

これを解決するためには、
医者の数を増やすことが第一です。
受け入れ病院が少なくなると、
医者の36時間勤務ということも起こります。
まず昼に12時間働いて、さらに夜間の当直を担当します。
夜は寝ていればいいのかというと、
寝ている間にも呼び出されます。
結局、夜の12時間も働くわけです。
それで朝起きて帰っていいのかというと、
先生、お客さんが来たのでよろしく、
ということで、また1日働かなければなりません。
12プラス12プラス12で、36時間続けて働くことになります。
そんな勤務では、もうフラフラしてきて、
自分でも何をしているのかよく分からないという状況です。
しかし、医療過誤が起きたら
当然責任が問われることになります。
このように、とても大変な仕事になっています。


■モンスター・ペイシェント

医療過誤といえば、医療事故が起こった時に、
医者が責任を回避するということが
頻発した時期もありました。
責任を取らなければならないのに、
ごまかすような医者も中にはいました。
その結果、過剰に権利を振りかざし、
要求を病院や医師に突きつける
モンスター・ペイシェントも登場してきました。
教育の現場で、モンスター・ペアレントという言葉が
流行っています。
病院の場合、モンスター・ペアレントではなく、
モンスター・ペイシェント、
ペイシェントは患者という言葉ですね。
本当に問題があるところで文句を言うのだったらともかく、
問題があるとは思えない場合にも、
モンスター・ペイシェントは要求を突きつけてきます。
36時間勤務のお医者さんとしてはもう倒れそうなのに、
何だか分からないことを患者さんが言ってくるので、
お医者さんは自分が倒れたくなるようです。
たまに病院の職員に暴力を振るったり、
暴言を吐いたり、とんでもないことする患者さんも
出てきたりしています。
困ったことに、病院現場崩壊というような
状況になってきたりしているようです。


■病院の民営化

公立病院は、特に赤字だらけで苦しい状況です。
過去は、公立病院が赤字になっても、
自治体がお金を補助していました。
しかし、現在は自治体が倒れそうになってきたので、
病院に出すお金はないという風に、言い始めました。
福岡市でも、子供病院のような素晴らしい病院は、
官がやった方がいいですが、
市民病院のような普通の病院は、
自治体がやる必要はないのでは
というような話になってきていて、
普通の病院はぞくぞくと民営化されつつある状況です。

日本の各地でも、結構そういう状況になってきています。
私は普通の病院は民営化しても全然構わないと思います。
ただ、普通の病院ではなく、子供病院や、産婦人科、
癌センターや感染症センター、そういう特殊な、
官がやらなければならないところは、
是非官にやって欲しいというふうに思います。
しかし、普通の病院は、
民間の医療法人でやればいいと思います。
規制緩和して民間の株式会社がやってもいいと思います。

分野: 村藤功教授 |スピーカー:

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