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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 中国における企業行動、CSRについて (中国ビジネス/国澄夫)

中国における企業行動、CSRについて (中国ビジネス/国澄夫)

08/09/02

■CSR=企業の社会的責任の意味
今回は、中国における企業行動、CSRについてお話します。
CSRとは、文字通り企業が社会の一員として
果たすべき様々な責任のことです。
企業が海外で事業活動を行う場合、
以前は、Corporate Citizenshipつまり、
「良き企業市民」という言い方をしてきましたが、
最近では、一歩進んで、CSR或いは
CRP(Corporate Social Performance=戦略的CSR)と呼んで、
より能動的に現地社会との関係を築こうとする考え方
になっており、現在では多くの企業で、
「企業行動基準」として企業理念の中に採択されています。

■危機管理からスタートした日本企業の中国でのCSR
こうしたCSRの考え方が、日本企業の中国での事業の中で、
どういう意味を持ち、どのように機能してきたか、
あるいはこれから機能しようとしているのかについてお話します。
中国社会における、日本の企業のCSRの活動は、
大体2000年前後から意識され始めたと思います。
当時、例えばトヨタ自動車が
1980年代の後半に中国の市場参入を巡って、
中国政府から要請がありましたが、
断ったことがあります。
それが原因で、その後新規参入しようとした時に、
様々なバッシングを受けました。
また、東芝はノートパソコンのアメリカにおける
訴訟を受けたことが中国にも波及し
中国でも訴訟を受け、メディアから様々な
バッシングを受けたということが、
これも2000年位にあり、
それらが1つのきっかけになっています。
2000年以降、もう1つ考えておかなければいけないのは、
中国の社会での「愛国主義」、
つまりナショナリズムの動きが非常に強くなり、
その後「反日」事件に転じた事件が起こりました。
それから、「首相の靖国参拝」というような政治的な問題も、
「反日意識」を非常に増幅し、
中国で事業をする日本企業が
非常に厳しい試練を迎えた時期でした。
進出した企業の中では、
中国社会からの厳しい指弾を緩和するために、
「中国社会に貢献する」という企業イメージを強く打ち出して、
植林、メセナ活動、あるいは中国政府が行う
貧困地域に対する教育普及プロジェクトへの
協力などの社会貢献活動を積極的に展開することで、
危機の回避を狙いました。
つまり、「社会貢献」というのを全面に出して、
「良き企業市民」というイメージを作りました。
この時期のCSRはある意味で、
「危機管理」と同義的に使われていまいした。

■ステークホルダーの価値観の共有
2005年の後半に北京の日本商工会議所の会員企業に
CSRアンケートというのを行い、
回答が74社からありました。
その中で287件の社会貢献活動を
行っているという報告がありました。
主なものは教育関係で、先程の中国青少年発展基金が
進めてきた貧困地域に学校を作る
「希望工程小学校事業」には多くの日本の企業が
資金を提供して支援してきました。
それ以外にも環境とか文化とか、
幅広い社会貢献活動を行っている姿が、
このアンケートの中に表われています。
日本企業のそういう活動に対して
徐々に評価されるようになってきたというのも事実で、
地道な活動も実ってきたということがいえると思います。
自らを守るということでスタートした
日本の企業のCSRの活動ですが、
今後は更に一歩進んで企業の事業戦略の中に
CSR組み入れていくことが重要とされています。
その中には、その環境への対応、企業統治の在り方で、
中国企業や中国社会をリードしていくような
そういう役割も外資企業である日本の企業にも
求められてくるように思います。
また、中国産業や中国企業は、
今後東アジアのサプライチェーンの一角に組み込まれ、
エリアの中でお互いに利害関係を有する主体、
つまり「ステークホルダー」を構成している訳ですので、
ただ単に物や金がこのサプライチェーンの中で動いている
ということだけにとどまず、
経営の価値観、あるいは企業倫理、企業風土を
共有する段階に進めていく必要が
出てくるのではないかと期待されます。
逆の言い方をすれば、CSRという
共通価値観を持たない企業との間では、
研究開発、購買、販売提携も、行わないという、
能動的なCSRも実はあります。
これは現在どこまでできているかというのは疑問ですが、
企業の行動規範をめぐる課題の解決に中国企業を
巻き込んでいくことも一つの価値基準かもしれません。

中国側からの要請で10月に日中韓で、
CSRをテーマにした議論を九州大学アジア総合政策センター、
中国社会科学院、韓国の東国(トンゴク)大学の3社が
一緒に青島で行う予定です。
もちろん、CSRというのは、その中の1つの分科会なのですが、
良い議論がここで出てくるのではないかと考えていますので、
終わりましたら、報告する予定です。

分野: 国吉澄夫教授 |スピーカー:

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