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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > シリコンバレー2008②(ベンチャー企業/五十嵐 伸吾)

シリコンバレー2008②(ベンチャー企業/五十嵐 伸吾)

08/09/18

■スキャンアール
(ScanR:http://www.scanr.com

去年、スキャンアール(scanR)という会社をご紹介しました。
携帯電話などのカメラで撮影し
そのままScanRのサーバーにファイルを送ると、
鮮明な画像で返信してくれるサービスを行っています。
昨年の8月には「まさにこれからサービス開始だ」という話でしたが、
今年もScanRの創業者であるイラン系アメリカ人CEOに会ってきました。
当時は、auと契約が取れそうだということだったのですが、
実際にauへのサービスはスタートしており、
その後ドコモとソフトバンクとも成約し、事業が拡大しつつありました。

日本でのサービスが開始されています。
auでは、ezwebからアプリケーションを辿っていく、
SacnRに繋がるようになっています。
契約は他のサービスと同様、
契約者1人当たり月額300円の定額です。
この中からauへの契約料を差し引いた90%位が
ScanRの収益となり、いかに多くの契約を
獲得できるかが大切な指標となります。
通常であれば携帯電話所有者がサービスを探して
会員登録しなければ使えない仕組みになっています。
しかし、ドコモだったと思いますが、
「これは面白いサービスだから、無料で提供したい」
との提案があり、まとめたオーダーするから、
ディスカウントして欲しいとのオファだったそうです。
一千契約や一万契約というように、
まとめてキャリアが買ってくれますから、
ディスカウントするのは悔しいですが、
立ち上がりの月からまとまった契約が
入るのが魅力で応じることにしたというのが起業家の弁。


■ScanRのサービス

この放送をお聞きの方の中にも、
すでにScanRのサービスを利用したという方も
いらっしゃるかもしれません。
彼らは、この携帯サイトでも画像の鮮明化ビジネスを
単独事業と考えているわけではありません。
それは一つの入口だと考えています。
最近のビジネスでは、
鮮明な写真などの大きな画像ファイルや、
パワーポイントなどのプレゼンテーション用のファイルなど、
通勤電車の中などで見たいとき自由に開いてみたい
という希望は潜在的に誰もが持つものです。
しかし、実際にしかも自分の携帯電話で見たいとなると、
ファイルを縮小して軽くしたり、ファイル形式を閲覧可能な
形式に変換するといった面倒くさい手間がかかります。
最近、ScanRでは、大きさやファイル形式にかかわらず、
ScanRの自分のサーバーに置いておくと、
いつでもどこでも携帯を通じて見ることができる
というサービスを開始しました。
ファイルをおいておく容量によって、
月額使用料を追加するような契約になっています。
当然、小さな文字も携帯電話を通して見ても
鮮明であるところが、彼等の技術力なのです。
スキャンアール(SanR)のホームページに、
必要なデータを送っておけば、
何でも簡単に携帯で見ることができます。
会議の時でも、バスの時刻表でも、
きれいに文字を整理して見られるようにしてくれます。
特に、日本人は携帯電話が大好きで、
通勤・通学の移動中、お昼休み等ひっきりなしに
携帯を眺めているので、大きな需要が期待できます。

<ScanRにて>
080918-1.jpeg

■テックウェル
(TechWell: http://www.techwellinc.com/
 日本法人:http://www.techwell.jp/ )

今度は話を日本人起業家に移しましょう。
今年もシリコンバレーで活躍されている
日本人起業家にインタビューをしました。
シリコンバレーで日本人起業家は何人もいらっしゃいます。
とはいえ、ScanRのようなイラン系の方や、
一大勢力をなす中国系やインド系起業家
あるいは、最近では、ベトナム系の起業家と比べると、
日系起業家は少数のようです。
今回は、日本人としては稀なことだと思いますが、
シリコンバレーで起業されアメリカ証券市場の
NASDAQで株式公開させたテックウェル社長の
小里さんにお目にかかりました。
小里さんのTechWellは、サンノゼを本拠とする
ファブレスの半導体設計会社で急成長を遂げております。
ビデオ信号をデジタル信号に変換するICを
中心に特殊な半導体の開発を行っています。

なぜ小里さんをご訪問したかというと、
彼はもともと日本のトーメンに就職して、
その後、リコーに転職しました。
リコーが作ったプログラム可能な優れた半導体があって、
小里さんは、その半導体をシリコンバレーでの販売が職務でした。
販売相手は、台湾系、メインランド中国系の起業家が
設立したファブレスの半導体ベンチャーです。
彼ら起業家からは、非常に感謝された上で、
「リコーの半導体は大変素晴らしい。だから、
(私は)会社を成長させることができた。
せっかく、リコーが良い半導体を売っているのだから、
(僕たちにその半導体を売るのではなく)
お前も会社を興して、その半導体を買う立場になってはどうか?」
と何人からも助言されたとのことでした。
確かに、彼らの起業は成功しており、
市場をよく知る自分であれば、
起業することは難しくないように感じて来たので、
小里さんは思い切って起業したそうです。

TechWellのロゴの文字は赤色で、
小里さんが勤務していたリコーを想起させる赤です。
お会いして感じたことは、小里さんは、
シリコンバレー的な起業家というよりは、
まるっきり日本人のままでした。
しかも、日本のことが大好きです。
「これから先、僕の会社みたいな(半導体を扱う)泥臭い会社は、
シリコンバレーではもう流行らないと思う。
これから、このようなビジネスを興すとすると、むしろ、
日本で興す方が可能性を感ずる」というのが小里さんの言葉です。

<TechWellの受付で、小里社長(左)と>
080918-2.jpeg

   
■勝てるマーケットを探す

さて、今日の話をまとめると、勝てるマーケットを最初に探す。
しかも、起業直後からグローバルに考えるということです。
例えば、グローバルに携帯関連ビジネスを行うとすると、
最初に闘わなければいけない最大の市場は
日本なのだということです。
アメリカ人は、携帯電話を、車の中で見たり、
頻繁にメール打ったりはしません。
ScanRの社長は、このような光景を見たときに、
「日本人はいつも携帯電話を触っているよね。
だから、チャンスは大きい」と感じたのだそうです。

ScanRのイラン系の起業家でさえ、
日本のマーケット、日本向けのビジネスこそが
最大のチャンスだと判断しているのです。
TechWellの小里さんも最初はシリコンバレーで
起業しましたがユーザーの多くは日系企業で、
日本のマーケットを注視しています。
どこで起業しようが、例え、日本で起業したとしても、
起業直後から、グルーバルな市場でチャンスを
探すことが必要です。
少なくとも米国や中国の市場を見てみることが大切なことです。
ところが、なぜか日本人起業家は
足元の市場しか見えていない気がします。
一方、アメリカの起業家は、チャンスがあれば、
どこのマーケットでもいいと考えています。
一番いいマーケットを探して、先ほどの携帯であれば、
最先端の日本市場を抑えたら、その実績をもとに
台湾や韓国、中国とシンプルに考えています。

一番自分が挑戦しやすく、
勝てると思えるマーケットがどこかを、
いつもキョロキョロ見ているところが彼らにはあります。
福岡に限らず日本の起業家も起業した時から、
短視眼的にならずグローバルに目を向けてほしいと思います。
そのほうが、より成功の規模は大きなものとなるはずですから。

分野: 五十嵐伸吾准教授 |スピーカー:

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