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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 世界のインフレ (財務戦略/村藤 功)

世界のインフレ (財務戦略/村藤 功)

08/08/29


■世界的な資源高とインフレ

前回は、資源高のお話をさせていただきました。
原油の話もありましたが、
その他様々な物の値段が上がっています。
食糧の値段もそうです。
資源だけではないというところが、
消費者にとっては少し困りものです。
特に、食べ物がどんどん上がっていく
という辺りは心配です。

このように世界全体で
インフレが懸念されるようになってきました。
アメリカやヨーロッパは今、
どの位のインフレが起こっているか
ご存知でしょうか。
日本は今、約1~2%のインフレです。
これでも、日本はまだ救われる範囲です。
円高だと普通は海外のものが安く買えますから、
物の値段が下がってもおかしくないはずです。
ところが、資源高が起こり、原油や、
石炭、鉄鉱石という使用範囲の広い物の値段が
上がってしまったので、
関連する色々なものが上がってきています。
この資源高の余波で円高のメリットも
全部消されてしまい、インフレが、
1~2%位になっているわけです。
一方で、アメリカは4~5%のインフレ、
ヨーロッパは3~4%のインフレと、
結構すごいことになってきています。
普通はインフレになったら
金利を上げなければいけないのですが、
まだサブプライム問題が解決しておらず、
その影響は依然として残っています。
このような状況ですので、
金利を上げられず、困っています。
しかも不景気で、消費者は
使うお金がそれほどない中、
ものの値段だけが上がっている
という状況です。


■二つのインフレーション

以前お話させて頂いたことがあると思いますが、
インフレには2種類あります。
ディマンド・プル・インフレと
コスト・プッシュ・インフレの2つです。

皆が市場にあるよりも
多くのものを買おうとするために、
値段がどんどん上がっていくという
ディマンド・プル・インフレであれば、
景気が加熱したということで、
政府も少し冷水をあびせて
加熱を避ける対応が可能です。
しかし、今回のコスト・プッシュ・インフレは、
アメリカのサブプライム問題で
株や債券から逃げ出したお金の一部が
資源に向かったために起きたものです。
原油や石炭、それに金や銅など、
そういった実物にとりあえず逃げよう
という行動が起こったことで
値段が上がってしまったわけです。
誰かがものを買おうとして、
それが加熱して上がったのではないのです。
コスト・プッシュ・インフレというのは、
スタグフレーションというインフレと
不景気とを同時に発生させるという
始末に負えないインフレです。
それが世界中で起こり始めている状況です。

■ヨーロッパのインフレ状況

手のほどこしようがない状況が
ずっと続いていますが、
ヨーロッパは今どうなっているのでしょうか。
ヨーロッパは、インフレ3%を超えて、
4%位になってきています。
EUとしては、
2%位にインフレを押さえておきたいのです。

インフレになってくると、
ヨーロッパは労働組合が
歴史的に強いところですから、
インフレでお金が使えなくなるのだから、
賃上げしろと要求するわけです。
会社がサラリーを上げないと
労働組合が怒ってしまいます。
しかし、賃上げがされると、
コストが上がって企業の競争力がなくなり、
景気が減速してしまいます。
ですから、あまり企業に賃上げさせることは
好ましくないということで、
ヨーロッパとしては、
遂に金利を上げてしまいました。
去年夏にサブプライム問題が爆発してから、
アメリカとヨーロッパは
一生懸命金利を下げてきたのです。
サブプライムによる金融機関の破綻や
景気の悪化を避ける為に、
金利を下げていたのですが、
インフレがここまでくると、
遂に我慢しきれなくなって、
ヨーロッパは利上げをしてしまったわけです。

欧州中央銀行(ECB)は、
インフレ抑制のために、
利下げをやっと止めたアメリカを横目に
市場調節金利を4%から4.25%へ
0.25%の利上げに踏み切りました。
もともと、去年の夏頃に
利上げをしようとしていたところでした。
しかし、アメリカのサブライム問題が起こって、
何十兆やられるか分からない
という状況になってしまいました。
特に、フランスの大手金融機関である
BNPパリバというのがあるのですが、
このパリバのサブプライムを組み込んだファンドが
解約停止を発表したことで
ECBは利上げできなくなってしまいました。
そうこうするうちにインフレで購買力が低下し、
民衆がイライラしてきました。
そこで、とりあえず中央銀行が、
きちんと仕事をしているということを見せるために、
インフレと戦うという姿勢を、
金利を上げて示してみせたということです。


■アメリカのインフレ状況

ヨーロッパはまだしも、
アメリカは大変なところにいます。
この前、ファニーメイとフィレディマックという
アメリカ住宅公社が
破綻するのではないかというお話をしました。
ファニーメイとフィレディマックだけで、
500兆円の有利子負債があります。
日本のGDPと同じ位の有利子負債や
保証債務を抱え、
そのうちの160兆円位を
海外の国々が持っている
というお話をしました。

しかし、ファニーメイやフレディーマックが
実際に破綻して、外国政府が
160兆円の証券を損失覚悟で、
市場で売却すれば、
アメリカ発の世界恐慌が実現してしまいます。
それはまずいということで、
絶対に救済しないと言っていた
アメリカ財務省長官が、
絶対に助けると180度意見を変えて、
助ける法律を慌てて通したという状況です。
インフレですがとても金利を上げられません。
今、短期の金利は2%で、
インフレは4%ですから、
実質的には2%のマイナス金利になっています。
もう下げるところまで下げてしまっていますから、
FRBとしては打つ手がなくなってきました。
そんな中で、次期大統領は
誰になるのかということも、
ポイントになってきています。


■日本と中国の状況

日本は金利を下げすぎているので、
本当は上げたくてしょうがないわけです。
一昨年にゼロ金利解除をしました。
金融緩和規制を解除し、
それから段々と金利を上げてきました。
金利を上げて、3~4%になれば、
景気がいい時と悪い時とで上げたり下げたりして、
金利調整することができる訳です。
しかし、ずっとゼロやゼロに近い金利だと、
いざという時にも下げられません。
例えば、サブプライムローン問題でも、
欧米が協調して下げたところで、
日銀は黙って下を向いていたという状況ですから。
不景気やインフレと戦える
しっかりした中央銀行に戻る為には、
どこかで金利を上げなければなりません。
しかしこれは当分ダメだと思います。

もっと大変なのは中国で、
今インフレ率が7~8%位まで
上がってきています。
中国は、まだ実質のインフレを
差し引いた成長率が10%位ありますから、
成長が止まった訳ではありません。
それでも、インフレ率が
7~8%上がってきたということで、
これは大変です。
インフレ抑制のために
金利をあげていく可能性もありますね。

分野: 村藤功教授 |スピーカー:

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