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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 共生のマーケティング (マーケティング/出頭 則行)

共生のマーケティング (マーケティング/出頭 則行)

08/08/28

■マーケティングにおける勝利

前回からの引き続きですが、
マーケティングは従来、
戦争やゲームに例えられることが多いものでした。
敵や相手を撃退するというのが、
戦争やゲームの大体の目的です。
そういう意味では、マーケティングというのは、
競合に勝利することが
主なる目的であったという時代が
長く続いていたと思います。
それが、まさしくシェア競争ということです。
シェア何%ということが、
マーケティングの最大の指標でした。
シェア争いというのは、そういう意味で、
あくまで敵をたたく、退かせるという戦いで、
どんなにコストかかっても、
勝利できればその後豊かな市場が待っている
という前提に立っています。
ゲームだってそうです。
囲碁などでも、どんなに近差で勝っても、
勝った人間が勝利者という栄光を独り占めします。

戦争でも、基本的に勝てば、
Winners take all.と言いますが、
勝利者の総取りということが
前提にあります。
マーケティングでもシェア競争では、
相手を撃退する、殲滅する
というような激烈な言葉が語られてきました。
そういうことがふさわしい時代もあったと思います。
それは右肩上がりで市場が
大きくなっていく時代であり、
シェアをとればそれだけ
自分のところにプロフィットが
転がり込んできたからです。

そういう意味では、シェア競争にも、
意味がある時代があったわけです。
しかし、ご存知のとおり、
先進国はもう市場が成熟化していて、
これ以上大きくは成長しません。
前年並みか、伸びても1%、2%
というところがほとんどです。
2桁成長ということは、
今後有り得ないだろうと我々は思っています。
ですから、パイは大きく増えません。
そういう状況で、
資源の有限性に皆が気付き始めています。

■資源の有限性と共生

自然資源だけでなく、労働力も含めて、
あらゆる資源が有限だということです。
ですから、どんなにコストがかかっても
勝てばいい、というようなことが
なかなか成り立たなくなってきているわけです。
多くの企業がこのことに気が付いてきています。
そういう背景があって、このごろ共生という言葉、
共生のリーダー、共生的チャレンジャー
ということが言われるようになってきました。
身近な例でいうと、エアライン業界でも、
JALが所属するワンスカイのグループと
ANAが所属するスターアライアンスという
二大グループがありますが、
この二つのグループは
相手を殲滅させようとしている訳ではありません。
それぞれのグループで
自分の固有の顧客を取り込んで、
自分の顧客には集中したサービスを
行うというものです。
自分のグループの顧客には、
優先的に得をさせているわけです。
自分の顧客に
相手よりは良い条件を出して
囲い込もうとしているわけですが、
相手の存在を脅かそうとしているわけではありません。
共存がこの二つのグループの
前提になっていると思われます。

■ブランド経営

この頃流行のブランド経営についてお話します。
ブランドを経営の中心に据えるという考え方です。
ブランド戦略とは
そもそも良いものを良い価格で売って、
プレミアムプライスを取ろうというものです。
消費者には自社以外のファンがいるわけですが、
自社ファンをより強固に取り込み、
定着をはかることがブランド戦略の基本です。
従って、競合との共生が
ブランド戦略の前提になっているわけです。
ブランド戦略ということが言われてきたのも、
やはり資源の有限性とか、
持続性、サステナブルな市場であることを
皆が認識してきたことと非常に関連していて、
やはり共生のマーケティングの1つの形だろうと思います。

■社会との調和・共生

資源も、従って、成長も限界があることが
自明となった今、共生という言葉は
重要なキーワードの1つです。

日本のコンビニエンスストア、
セブンイレブンも、パパママ自営の雑貨店や
酒屋という衰退していく業態を吸収して
発展してきました。
そこには、一種の共存共栄というか、
社会との調和という思想を感じます。
アスクルもそうです。
地元のパパママ文房具店を
ビジネスサイクルのなかに取り込んで大きくなりました。
企業が小さな個人店の業態を変化させ、
このような新しいビジネスモデルで
繁栄することを考えますと、
やはりこれからは、資源の有限性を考えた、
共生のマーケティングは、
重要なものであろうと思います。
今後のマーケティングでは、
競争しながらも、共生するということを
考えなければならないのだと思います。
相手を殲滅するまで戦う、
そういう血みどろなものではなくて、
お互いにいいところは認め合おう、
というようなことでしょう。

分野: 出頭則行教授 |スピーカー:

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