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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 戦略とバランススコアカード(その4)(産学連携マネジメント/高田仁)

戦略とバランススコアカード(その4)(産学連携マネジメント/高田仁)

08/08/26

今日は、リーズ大学がどのようにBSCマネジメントを
実施しているかについて話をします。

特徴的な点は、次の3点。
(1)専任のスタッフ(Strategy Project Group)による戦略立案
(2)SD/FDを活用した戦略の学内周知とインボルブメント
(3)コミュニケーション部門による学内広報活動


◆Strategy Project Groupについて

まず(1)のStrategy Project Groupについて。
この部門は、トップと一緒に全学の戦略を策定し、
モニタリングする役割を負います。
“戦略イベントカレンダー“という年間スケジュールが決められており、
夏休みに入る6月に前年度のレビューを行い、それをふまえて
8月には新年度の計画が立てられ、9月から実行に移されます。
その後、人事、財務、研究、産学連携、教育の各分野で個別の
戦略のレビューや実行状況がモニタリングされることになります。
それぞれの計画には明確にオーナーが決められるので、責任逃れは出来ません。

このグループのトップには、民間企業等で戦略マネジメント経験のある
人材が外部から就任しています。また、業績モニタリングの責任者も、
大学や企業で業績管理の経験豊富な人材が就任しています。
外部人材の活用がうまいという印象があります。

計画を立てるときに重視しているのは、
“パフォーマンスギャップ”と“オポチュニティギャップ”を
それぞれ別々に把握することです。
“パフォーマンスギャップ”とは、当然到達すべき目標と現状とのギャップを指します。
このギャップは、日々の改善によって埋める努力がなされます。
一方、“オポチュニティギャップ”は、通常の改善では達成が不可能な、
よりイノベーティブな目標と現状との間のギャップを指します。
このオポチュニティギャップを埋めるためには、
仕事のやり方を大胆に見直したり創造したりする必要がでて来ます。
計画の策定と遂行にあたっては、
この2つのギャップを混同しないように注意する必要があります。


◆SD/FDを活用した戦略の学内周知とインボルブメント

リーズ大学のBSCの特徴は、戦略マップを大学全体で1枚
作成していますが、部局毎にも作成している点にあります。
そのかわりに、部局ではスコアカードのみを作成し、
大学が設定している31の指標のうちいくつかと、
部局独自に設定する指標のいくつかを組み合わせて、
パフォーマンスをモニタリングしています。

このとき、部局が大学全体のビジョンや戦略を理解し、
その中で部局が果たすべき役割について検討するために、
1日ワークショップを開催したりしています。
このワークショップ開催に活躍するのが、
Staff Departmental Development Unitという部署です。
日本でいうと、ファカルティディベロップメント/スタッフディベロップメントを
担う部署がこれに相当します。

部局の1日ワークショップでは、まず大学全体の戦略マップが紹介され
構成員がこれを理解します。そのうえで、戦略目標のいくつかについて、
自分の部局はどのような取り組みができるか、また、その前提として、
自分の部局は学生や社会に対してどのような価値を提供することが
出来ており、それは競合大学の同様の部局と比較して優位かどうか、
といったことが議論され、共有されます。
このイベントへの参加を通じて、部局の構成員は大学の戦略、
部局の現状と目標について理解を深めることになります。

重要なのは、部局が何をすべきかを考える際に、
常に大学のビジョンである「世界50位以内の大学になる」ことが
意識される点です。
つまり部局の構成員が、
「世界50位以内の大学とは、どんな大学であるべきだろうか?
そのために自分は何が出来るだろうか?」ということを考える
機会があるということです。大学の構成員一人一人が
このような考えに立って日々の活動を行えば、大学組織全体としての
パフォーマンスも上がってきます。
ビジョンや戦略を組織全体が共有することは、
組織活動を活性化させる上で極めて重要なことなのです。


◆コミュニケーション部門による学内広報活動

最後に、コミュニケーション部門の役割について。
リーズ大学では、トップであるアーサー学長のメッセージや戦略を
学内外に周知するために、2006年にコミュニケーション部門が
大幅に強化されました。なんと、4名から18名に大増員され、
学内外の広報活動を一手に担っています。

例えば、アーサー学長と外部の著名ゲストとの対談などは、
ウェブを通じて直ぐに学内に発信されました。
また、新任の部局長に大学の戦略やマネジメントを理解してもらうために、
“リーダーズパック”という情報パックを常に準備し提供しています。
その他にも、様々な広報活動を通じて、大学のビジョンや戦略を
学内の構成員が理解できるよう促しています。

以上、BSCを活用した大学マネジメントの事例として
リーズ大学の取り組みを紹介しました。
九州大学もQUEST-MAPに取り組んでいますが、
リーズ大学のような同様の活動を行っている大学と連携し、
相互に経験を共有し合うような活動を継続していきたいと考えています。

分野: 高田仁准教授 |スピーカー:

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