QT PRO モーニングビジネススクール

QT PRO
モーニングビジネススクールWeb版

FM FUKUOKAで放送中「QT PRO モーニングビジネススクール」オンエア内容をWeb版でご覧いただけます。
ポッドキャスティングやブログで毎日のオンエア内容をチェック!

PODCASTING RSSで登録 PODCASTING iTunesで登録 電子書籍で記事を読もう! EPUB

過去の記事詳細

QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 資源の値上げ (財務戦略/村藤 功)

資源の値上げ (財務戦略/村藤 功)

08/08/22


■資源高の概況
今日は、資源高、
資源の値上げについての話ですが、
これは様々な業界に影響を及ぼしているので、
全体像が見えにくくなっています。
現況を簡単に言いますと、原油の上昇で7兆円、
それから鉄鋼原料、
鉄鉱石と石炭の2つがありますが、
両方合わせて3兆円の上昇です。
合わせると、10兆円が資源高となっていて、
その分、日本の産業は
コスト高になると言われています。
この10兆円を、日本の業界全体で
シェアするわけですけども、
一体誰がどの位負担するのか
という戦いが起こっています。

まず原油の7兆円が結構大きいです。
これをどなたがお持ち頂けるのかということです。
これに関しては我々消費者も
最終商品に転嫁されて負担をしています。
産業界では、なかなか誰も手を挙げてもらえずに
困っていましたが、
原油を使って色々なものを作っている化学産業、
また電力産業が2兆円程度を
負担するということになりました。
それで日本全国の電力会社は、
皆赤字となってしまいました。


■資源保有国、資源非保有国
原油高なので、産油国と非産油国で、
状況が違ってきています。
原油価格がどんどん上がっていくわけですから、
石油を輸出している国は、
どんどんリッチになっていきます。
石油の他にも食糧高が起こっていますから、
食糧が上がっている国は、
暴動が起きそうなほどの社会不安状況です。
このように、途上国の中でも、
持てる国、持てない国という
2極化が起きている状況です。
中東の産油国としては、
ちょっとかわいそうだから、
アフリカやアジアの石油を持ってない国を
助けようと、言い出してきています。

■各業界への影響
産油国以外にも、この原油高で
儲かっているところが業界としてあります。
たとえば、総合商社は、かなり儲かっています。
商社は資源には
かなりの投資をしていましたから。
総合商社は基本スタンスが
買って売るということなので、
価格が上がっても基本的には転嫁できます。
これまで総合商社機能は
これから不要になるのではないか、
ということを言われていました。
しかし、原油や資源高騰でかなり儲け、
総合商社全体の利益を全て合わせると、
トヨタの利益を超えてしまいました。

鉄鋼業界にも様々な影響が出ています。
鉄鋼業界は原油というより、
鉄鋼材料の鉄鉱石や石炭が高騰していて、
その上昇分3兆円程度を
負担することになってしまいました。
突然起こったコスト負担ですが、
自分たちで3兆円を全て被ってしまったら、
いくら新日鐵とJFEスチールでも
経営が立ち行かなくなってしまいます。
そこで顧客に、コスト高なので
鋼材価格を値上げさせてください、
よろしくお願いしますと言って
色々な交渉をしました。
その結果、自動車メーカーだとトヨタ、
造船メーカーだと三菱重工など、
各分野・業界の1番強い企業が
とりあえずOKをして、
他の企業はならば仕方がないということで、
その値上げを受け入れました。

まず、トヨタが3割位の値上げを
受け入れてくれました。
船舶業界で1番強いのは三菱重工ですが、
三菱重工は4割程度の値上げを認めました。
その他にも鉄鋼を多く使う業界に、
建設や船舶業界があります。
建設業界は、このような材料の値上げに対して、
鉄骨ではなく、鉄筋コンクリートを使うなど、
コスト高に対して様々な対応をしています。
このように、鉄鋼業界としては、
割と顧客に負担して頂いて、
2兆数千億円は負担を逃れることができました。
それでも、6千億円程度は
自分たちで負担しなければならない
という状況でした。
そのような時に突然八幡で
火事が起きてしまいました。
八幡での火事は、
鎮火するのに時間がかかった大変なものでした。

このように色々な業界に影響がありますが、
できるだけ価格転嫁して、
なんとかやっていけそうな状況にしています。

■資源高と政府の対応
こういう問題に、日本政府が
どのような対策をしてくれるか
ということですが、現実問題として
資源価格は日本の外で上げられています。
ですから、政府としても
出来ることが少ないわけです。
ただ、資源価格を上げてくる相手が
儲かるのであれば、
そのお金持ちの人達に
日本関係のことで投資してください、
というお願いを始めました。

例えば、産油国のブルネイ、
サウジアラビア、クエート、
UAE辺りの国と
租税条約の締結を始めました。
石油などで、産油国と
日本のような輸入国の両方で税金を取ると、
取られた方はたまりません。
租税条約というのは、片側で税金を取ったら、
もう片側で取らないようにしようというもので、
当たり前のことに思えますが、
国単位としては結構当然のように
二重で税金を取っていて、
これでは企業が持たない
というようなことが起こっています。
そこで、最近は
資源国との租税条約の締結を、
加速している状況です。

このように資源国と
連携していくことによって
どのようになっていくのでしょうか。
大きくは2つあります。
最近、日本企業の資源国における、
発電所プロジェクトや、鉄道プロジェクト、
自動車工場建設など、
そのようなプロジェクトが
相次いで起こっています。
これを行う時に、企業が
日本と資源国で
二重課税されなくて済むということと、
お金持ちになった資源国が
日本に投資する時に、
それほど税金を取られなくて済む
ということです。
お金持ちになった資源国は、
サブプライム問題で重症の
欧米の投資銀行などに出資しているほどです。
日本にも是非お金を持ってきて、
様々なものに投資してください、
という話が出てきています。

■ガソリン価格の今後
最後に、ガソリンはどうなるでしょうか。
石油元売りの最大手、新日本石油は
自分のガソリンスタンドに対する
卸売り価格の決定方法を変える予定です。
今まではコストプラスといって、
元売りの自分のところで
コストがいくらかかっているかというのを示して、
スタンドへの卸値をこのくらいにしたい
という交渉をしていました。
ところが、原油高で頻繁に
値上げをしないといけない状況に陥ってきました。
ガソリンスタンドも命が懸かっていますから、
色々な交渉をしてくるわけです。
そうすると、交渉が大変になりますので、
元売り会社がスタンドに卸売価格を
提示するコストプラスではなく、
市場連動型という、
マーケットでこの値段がついたら、
このように自動的に価格を上げる
というオートマティックな値段調整のメカニズムを
導入しようという段階です。

これでガソリンが安くなればいいのですが、
それはまた別問題です。
値段の決め方を変えただけですから、
原油が上がれば
ガソリンも上げざるを得ないわけです。
ただ、一時期1バレル140ドルを
超えていた原油価格が、
最近は120ドルを切ってきました。
これからどうなるか、
まだ少し分からなくなってきている状況です。

分野: 村藤功教授 |スピーカー:

トップページに戻る

  • RADIKO.JP
  • ビビックスマホ