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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 台湾と九州の経済の違い (国際企業戦略/永池克明)

台湾と九州の経済の違い (国際企業戦略/永池克明)

08/08/20

今回は台湾経済を九州と比較しながらお話します。
台湾を取り上げた理由は、日本が将来、
道州制に移行した時、九州の国際化にとって、
台湾の発展戦略は多くの面で参考になると思うからです。


■台湾と九州の比較(その類似点と相違点)
台湾経済は、戦後貿易立国を旗印にして製造業を強化し、
輸出を中心に伸ばして急速な経済成長を遂げ繁栄してきました。
その担い手である台湾の企業は
世界を相手にビジネスを行っています。

九州を一つの地域国家と考えた場合、
台湾と九州には様々な類似点があります。
例えば、台湾と九州は、面積がほぼ同じです。
台湾が36,188平方キロ、九州が42,165平方キロ、
また国内総生産(GDP)もほとんど同じで、
台湾が3,770億ドル、九州が3,448億ドルです。
人口は少し台湾の方が多く、台湾が2,294万人、
九州が1,344万人です。
そういう意味では、極めて良く似た島です。

ところが、より詳しく中身を見るとかなり違います。
例えば、輸出額の最新の数字を見ると、
台湾の輸出額が2,467億米ドルに対して、
九州は553億米ドルと台湾の5分の1しかありません。
輸入額も台湾が2,193億米ドルに対し、
九州は524億米ドルと4分の1、
更に、欧米や日本を含めた外資系企業の進出数を比較すると、
台湾の約20,191社に対して、
九州はまだ86社と桁違いに少ない。
つまり、国際化・グローバル化という点で
台湾と九州は大きく隔たりがあります。
つまり、国際化・グローバル化の面で大きな違いがあるのです。
九州は今、「アジアのゲートウェイ」として
アジア・中国との接近を重要方針としていますが、
実態はそれとかなりかけ離れているのが現状です。

■台湾発展の秘密
台湾がうまく発展した理由の1つは、
戦後1つの地域国家として一体的な国家戦略を
一貫して推進してきたことです。
長期発展計画を作成し、
官民一体となってそれを推進してきました。
その中身は、貿易立国であり、世界に目を向けた戦略のもと、
輸出産業を育成し、輸出主導の国家運営を行い発展してきました。
台湾では主力産業が時代とともに変遷してきました。
たとえば、1990年代前半までは労働集約的な
靴、衣料品、スポーツ用品などの
一般消費材が輸出産業の中心でしたが、
その過程で製造コストが高くなり、
こうした産業は生産基地を中国や東南アジアに移して
国際的なサプライチェーンを形成しました。
そして輸出産業は90年代後半以降は、
IT、電子機器、液晶パネルなどの
ハイテク高付加価値製品へシフトしました。
現在、世界一のシェアを誇るのは、
液晶モニター、チップ製造サービス、半導体実装、
ノート型パソコン、マスクROMなど9品目に上ります。
その推進力になったのは韓国のような財閥企業ではなく、
沢山の中小企業群でした。
彼らは同業同士の非常に熾烈な競争で鍛えられながら、
次第に大きくなっていきました。
特に欧米や日本企業からのOEM、
つまり相手先ブランドの委託生産を一手に引き受けて、
それをローコストで生産し、納入するビジネスモデルを定着させました。
最終的には全体としてローテクからハイテク産業に脱皮し、
世界中から投資を受け入れました。
外国の人、物、金などの経営資源を活用して、
これまで伸びてきたことが台湾の発展の秘密です。

■国際化を掲げながら内向きだった九州
九州は現在、国際化・グローバル化を掲げ、
アジアのゲートウェイを目指しています。
したがって、今後は世界に目を向ける戦略が
推進されると思いますが、少なくともこれまでは、
経済規模がほぼ同じ台湾に比べると
国際化の点で大きく水をあけられています。
一言でいえば、内向きであったようです。

戦後間もない頃は、九州の方が台湾よりは豊かであり、
戦前は台湾といえば砂糖産業くらいでした。
しかし、戦後の戦略の違いによって、
これ程大きく違う国になってしまいました。
九州はこれまで比較的安定的に、
大きな産業あるいは日本の大きな国内市場があったということで、
台湾と比べると国内指向な経済戦略をとってきたといえます。
九州が本気でアジアや中国に向けて
アジア・ゲートウエー構想を実現しようとするならば、
掛け声だけでなく、本気で国際化・グローバル戦略を
実施していかないと手遅れになるでしょう。
その点で、台湾は九州の国際化にとっていい事例になるのではないでしょうか。

分野: 永池克明教授 |スピーカー:

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