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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 洞爺湖サミット (財務戦略/村藤 功)

洞爺湖サミット (財務戦略/村藤 功)

08/08/08

■洞爺湖サミットの成果

今日は、洞爺湖サミットについてです。
少し前になりますが、
7月7日から開催されました。
予め、EUのバローズ欧州委員長という方が、
2050年までに半減する
という合意が出来なかったら、
サミットは成功ではない、
というようなことを言っていました。
そのため、G8が2050年までに
温暖化ガスの排出量を半減する長期目標を
合意したのかどうかということが
問題になります。
福田首相と政府筋は、大成功とか、
合意した、というようなことを
言っていたのですが、
正確に言うと、合意とは少し言い難いですね。
アメリカは削減のタイミングや
数字について合意するのは、
中国やインドが参加してからだ
というようなことを言っていましたので、
これを合意とは呼べないでしょう。

意外にも、カナダのトロント大学では、
サミットについて高い評価をもらいました。
そもそもG8というもので、
この世界の環境問題について
合意することは難しいので、
よくやったといえないわけでもないわけです。


■G8とMEM

昔はG7と言っていたのが、
10年位前にロシアが入ってきて、
G8になりました。
それまでは、ヨーロッパに4ヵ国、
英仏独伊とあって、
アメリカ地域のアメリカとカナダ。
アジアは、日本だけでした。
それで、G7だったわけです。
そこにロシアが入ってきてG8になりました。

最近は重要なことを決めるのは、
G8じゃなくてMEMだという話が
出てきています。
MEMとは一体何のことかと申しますと、
Major Economies Meeting、
主要経済国会議のことです。
これは16ヵ国が含まれていて、
8ヵ国に比べると2倍となります。

その構成国はどこかと言うことなのですが、
まずG8がいます。
そして、G8に入れて欲しいと言っている国が
5ヵ国あります。この5カ国とは、
BRICs(ブリックス)といわれる新興国の内、
ロシアはもうG8の中に入っていますから、
残る3つの中国、インド、ブラジルに、
メキシコ、南アフリカを入れた5カ国で、
4年連続でサミットに招待されています。
この国々は、G8には入っていないのですが、
G8に次ぐ、
準メンバー国みたいなものになっています。
G8とこの5カ国に加えて、
16ヵ国ということなので、
あと3ヵ国あります。
これは、韓国、インドネシア、
オーストラリアです。

結局、8ヵ国では決められない、
もっと沢山の国が参加しないと、
世界のことを決められない
という話になってきています。
そこで、まず、その1つの候補として
このMEMというのが挙がりました。
しかし、MEMで決められるのか
どうかという疑問もあります。
今回、国連でこの問題を決めようか
という話も出てきています。
やはり、ある程度まとまった組織で
話をしていかなければならない、
ということだと思います。
国連のIPCCなどの機関もあり、
組織ごとに、
それぞれの目標みたいなものがあるため、
なかなかまとまらない状況です。

今回、アフリカ開発のために南アフリカだけでなく、
計7カ国のアフリカ代表がサミットに参加しました。
アフリカにも温暖化ガス削減について
取り組んでもらおうとか、
日本は、そのアフリカで援助プロジェクトをやって、
排出権を買ってこようとか、
そのような目的がありました。


■温暖化ガス排出に関する各国の立場

ここで、各国の立場を紹介しようと思います。
まずEUです。
EUは、割と環境問題には
前向きに取り組んでいて、
中期目標とか、長期目標を設定済みです。
2020年までに1990年から20%は削減するし、
2050年までには、1990年の半分にしよう
ということで合意しています。
なぜ半分と設定しているのかというと、
1990年時点で、温暖化ガスの排出量が、
吸収できる量の2倍位はあったためです。
排出量を半分に下げると、
吸収量と大体同じ位になり、
これ以上悪化しなくなるということで、
長期目標としたわけです。割と単純な話です。

アメリカは2050年までに
温暖化ガスを半減しようというのが、
世界にとって重要だということは
否定してはいません。
ただ、我々アメリカだけがやって、
中国やインド、
その辺の国々がやってくれないと、
結局やった国が損をするので、
皆が合意してくれなければ、
自分も約束するのは嫌だと言っています。

中国やインドなどの新興国は
どう考えているのでしょうか。
彼等は、我々は今発展しているところだ、
と言っています。
今発展しているところなので、
先に温暖化ガスを
排出しながら発展した国が、
先に削減して欲しいと主張しています。
我々新興国も枠組みに入って、
ある程度削減に合意するのはいいが、
その前提として、2020年までに
先進国は排出量を25%~40%削減して、
2050年の長期目標としては、
80%から95%を削減してくれ
と要求しました。
それを約束してくれたら、
我々もその枠組みに入ると言ってきたので、
今度は先進国が青ざめてしまいました。
今までの経済発展で
排出ガスをまき散らしただろう
と言われたら、それを否定はできません。
しかし、先進国としても8、90%の削減というと、
経済を破綻させかねないので、
簡単に合意するわけにはいきません。

最後に日本の立場です。
去年2007年のハイリンゲンダム・サミットで、
2050年までに温暖化ガスの半減を
真剣に検討するということを決めました。
日本は単純に、洞爺湖サミットで、
もう少し進んだ形、2050年までに
温暖化ガスの半減に合意した、
という言葉を残せるものにしたい
と思っていました。
ところが、アメリカが
合意してくれませんでした。
そこで福田総理は、
アメリカが合意しなかった理由は、
自分が賛成でなかったわけではなく、
中国やインドが参加しないと
合意したくないというだけだから、
実は合意している、という言い方をしました。
これは苦しい言い方ですが、
できるとこまでやったのではないか
と言ってくれる親切な国も
ないわけではありません。

相対的に見ると今回のサミットは、
マイナスではなかったと言えると思います。
来年の11月、12月にかけて、
デンマークのコペンハーゲンのCOP15で、
京都議定書以降の枠組みを
決めることになっています。
それまでの間に、
皆でどれだけ合意を進めていくか
ということが問題です。
そういう意味では、今回のサミットで
それなりの一歩を踏んだといえるかもしれません。

分野: 村藤功教授 |スピーカー:

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