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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 組織の発生 自然人から法人へ (ベンチャー企業/五十嵐伸吾)

組織の発生 自然人から法人へ (ベンチャー企業/五十嵐伸吾)

08/08/06

法人設立の歴史

前回までは、ファイナンス中心の話をして来ましたが、
今回から組織について話したいと思います。
最初に、組織の基礎的なところから入って、
本題のベンチャーへ移行することにします。

初回の今日は、「法人」について考えてみましょう。
日本では、会社を設立すると法人として登記します。
人間つまり自然人から、法人が、どのように識別され、
形作られていったのか、法人設立の歴史について確認しておきましょう。。


■ドイツの教会から生まれた法人制度

法人の歴史は古く、中世ドイツに誕生しました。
これには、教会が関係しています。
教会は、領主が、自分の領土に教会を建ててあげて、
そこに僧侶を置くと形でスタートしました。
ところが、途中から僧侶の権力が強くなり、
教会が、教会(の建物)とその土地に
対する権利を持つと主張し始めたのです。
そこから、次第に教会の権利が認められるようになり、
土地、建物、資材の所有者は教会で、
それを実際に統治する僧侶が、所有権を行使しているのだ
ということが認められてしまいました。
つまり、教会は、当然、自然人ではありませんので
本来ならば所有権は持てないはずです。
ところが、1つの人格を持つものとして
認められてしまいました。
その結果、世界で初めての「法人」、
つまり、法的に認められた人格の萌芽は
ドイツの教会組織に認められます。

■西洋中世のタウン制

次は、町(タウン)の話になります。
13、14世紀のイギリスには、
郡、百人組、村という組織が古くから存在しました。
そこから、新たに自治都市というものが出てきました。

中世ヨーロッパになると
ドイツや近隣諸国にも自治都市が誕生しました。
そして、これらの自治都市では、
通行税の徴収権や、特権に対して
お金を支払う義務が生まれるようになりました。
この税を徴収する権利などは、移転することができました。
移転が出来るということは、その組織としての
移転をする権利を持っていると考えることができます。
もちろん、当然ですが権利に対する義務も発生しました。
そのように自然人でない都市が自治を始めたことで、
都市の権利と義務を認めざるを得なくなり、
そこから法人という考え方が発案されるに至りました。

■王権の分離

最初は小さな萌芽に過ぎませんでしたが、
次第に法人の輪郭が明確になっていきます。
タウンに続き王政に関する出来事も、
法人成立に大きな影響を及ぼしました。

中世イングランド、時の国王エドワード4世(当時9才)が
土地を売却したことが、裁判となりました。
当時のイングランドの法律では、
未成年は土地を売買する資格を持っておらず、
この売買行為は法的には効力を持たず、
法律上は違法となるはずです。
ところが、相手が国王だったので、
特別な措置が検討されました。
その結果、主権を行使する主体としての
国王の持つ権利と、実際の肉体が持つ権利の
2つに分けることが考え出されました。
政治的な主体と、実際の肉体を分けて、
国王の中に、単独法人という権利というものを
別個に切り出せることを可能としたのです。
このようにして、
生まれながらの人格=自然人というところから、
お話したように権利を持つ法人の分離の先駆けとなりました。
16世紀のことです。


■信託制度の誕生

この王権の分離にオーバーラップして
遺言の制度が出てきました。
信託制度の始まりです。
昔から、遺言の信託することは存在しており、
ここでは、土地とそれ以外の財産に分ける
という考え方が定着していました。
何故なら、土地は、元々は領主、貴族のもので、
イギリスの場合は(昔の日本と似ていますが)、
土地の全てを長男が相続することに定まっていました。
そこで、もし遺言が不適切とみなされた場合には、
領主が土地を取り上げてしまうということが頻繁に起こりました。
せっかく自分の土地を使って
農耕地として有効に使っていたにも関わらず、
気にくわないと召し上げられてしまいます。
それを防ぐために、
遺言状による信託(トラスト)という制度が成立しました。
そして、土地の所有・運営を含めた管理を
そのトラストが行うこととなります。
つまり、トラストが、
土地の所有権と運営権を持つ人格となることを意味していました。

先程の王権の話でも同じことなのですが、
結局トラストの場合は、法的に作られた人権ですので
死亡することはありません。
永続的に存続することとなります。
これが認められたということです。
自然人は死亡しますが、
原則で考えれば法人に死はありません。
この死亡がない法人が権利を持つことができることから、
会社組織を法人とするという考え方が徐々に生まれて来ました。

今回は、
法人組織設立の歴史的な話をしてきましたが、
次回は
なぜ人間が組織を作る必要があるの
ということについて、触れたいと思います。

分野: 五十嵐伸吾准教授 |スピーカー:

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