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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 世界のコンテナ流動性 (国際経営・国際ロジスティクス/星野裕志)

世界のコンテナ流動性 (国際経営・国際ロジスティクス/星野裕志)

08/07/28

■世界の荷動きの現状
現在、世界経済はアメリカのサブプライムローン問題や
原油高などから様々な影響を受けています。
その中で、国際貨物の動きも鈍くなってきています。
天然資源や原料はタンカーや大きな貨物船で運びますが、
コンテナで運ばれる貨物は、
主に私たちが日々の生活で使う商品が中心です。
最近のコンテナの荷動き量の変化をみると、
1年前、あるいはそれ以前とは様変わりしていることが分かります。
その様変わりを、世界の三極、
つまりアメリカとヨーロッパとアジアでみると、
ヨーロッパとアジアは非常に好調なのですが、
アメリカの存在感が薄れてきていることがわかります。

■アメリカの荷動きの減少
日本海事センターの調査をみてみると、
アメリカからアジア向けの貨物は、
前年比16パーセントと非常に伸びています。
一方でアジアから北米向けの貨物は
世界最大の荷動きがある貿易ルートですが、
全長20フィート(6メートル)のコンテナに換算して、
1,439万個という莫大な量ではありますが、
伸び率は前年比わずか1パーセントにとどまっています。
アメリカで同時多発テロが起きた2001年でさえ、
前年比1.4パーセントでしたが、
昨年はそれを下回る1パーセントしか数値は伸びていません。
やはりアメリカの消費の減退が、
海外からの様々な商品の調達の減退に表れてきていると思います。

特に面白いのは、北米向けにアジアから運ばれている
貨物の筆頭が住宅関連のものだということです。
家具や家財道具、それから建築用具と関連品、
そして床材やブラインドといった建材、
これらをまとめて住宅関連の三品目といいます。
これが、アジアから北米向け貨物のシェアの20.6パーセントを占めており、
非常に多く輸出されている訳ですが、
これが特に影響を受けているといえます。
まさに、アメリカの住宅問題によって、
住宅関連の三品目の需要が下がっているということなのです。

■その他の地域の荷動き
その他の地域の荷動きに目を向けてみましょう。
アジアからヨーロッパの取引は、非常に旺盛で、
先程の20フィートのコンテナに換算して952万個が1年間で運ばれました。
これは前年比19パーセントの伸びになります。
アジアからヨーロッパへの輸出の内訳を見ると、
実は、中国からがその6割を占めています。
この中国発のヨーロッパ向けというのは
前年比23パーセントの増加ですが、
日本発も前年比で12パーセント増加しています。
アジアからヨーロッパ向けの貨物の増加については、
様々な理由が考えられます。
例えば、BRICSsの一角のロシア、あるいは旧東欧諸国の
安定した成長による消費の活発化がその理由の一つです。

また、イギリスのコンテナリゼーション・インターナショナルという
業界誌によるコンテナ貨物の取扱量統計では、
過去10年でアメリカの港で唯一トップ10に顔を出していた
ロサンゼルス港が姿を消し、初めてアメリカの港が、
世界の上位10港から姿を消しまいました。

世界のトップ10といっても、最近では、
毎年シンガポール港と香港が、トップ争いをしており、
アジアの港が上位を占めており、
上海がまもなく世界1位になると思います。
ただし、完全にアジアの港湾が独占しているかというと
そういう訳ではありません。
ヨーロッパの港を見てみると、ハンブルグとロッテルダムが、
トップ10にここ10年間、毎年名を連ねています。
また、昨年こそトップ10から外れてしまいましたが、
ベルギーのアントワープも、トップ10かそれに近い実績があります。

現在のところ、ヨーロッパ市場が堅調なので、
アジア発の貨物はヨーロッパ市場に向かいますが、
北米で消費がされないとなると、
アジア発、特に中国などでは、今までのように製造をしても、
売る市場がなくなってしまいます。
米国の内需の減退が、
今後世界経済に少しずつ影響を与えていくと考えられます。

分野: 星野裕志教授 |スピーカー:

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