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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 日本の年金改革 (財務戦略/村藤 功)

日本の年金改革 (財務戦略/村藤 功)

08/06/27

■日本の年金の現状
宙に浮いた5千万件、
宙に浮いた5千万件と、ずっと言われていますが、
手続きミスの話は飽きたので、もうやめましょう。
今日は本質的な話を、少子高齢化社会に対応する為の
制度改革について本来どうすべきかをお話したいと思います。
結論から言うと、人として生きていく為の基礎年金、
月7万円位の国民年金についてですが、
これはもう皆払ってくれていません。
そこで消費税から徴収したらどうか、という案が強くなってきています。
また、月に30万ほど貰えたらそれなりに
暮らしていけるのではという試算がありますが、
厚生年金や共済年金など国民年金の上乗せ部分を
貰えたらそれ位になるかと思います。
これを同世代のお年寄りにあげるのではなく
自分で貯めたらどうなのかという議論があります。
自分の年金は自分で貯めたらどうなのか、
というような声が強まってきているという状況です。


■社会保険庁改革
そういう中で、
社会保険庁の改革をしていかなければならない訳です。
社会保険庁については、もうダメだからなくしましょう、
という話が大体決まりました。2大業務である
公的年金と医療保険を分けようということです。
社会保険庁は元々年金だけではなく、医療保険もやっていたのです。
医療保険といっても、政府管掌健康保険といって、
略して政管健保と言いますが、中小企業の為のものです。
これについては政府がお金を引き上げて、
健康保険からお金を移したという話を以前したと思います。
年金と医療保険、両方とも中身は無茶苦茶なのですが、
これを分離するために政管健保の方は
今秋に全国健康保険協会という組織を作り、
年金は日本年金機構というのを
2年後位の2010年に作るという予定になっています。


ところが、放っておいたら現在の職員を
そのまま新組織に移そうという話になってしまっています。
そこで年金業務組織再生会議が、
職員を数百人減らせと要求しています。
過去に悪い事して処分を受けた人や、
ヤミ専従と言いますが休職の許可なしに
組合員活動をやっている、ちゃんと働いてない人達。
この人達についても、そのまま新組織に移すのを
止めましょうと騒いでいる状況です。


■年金の運用
さて大事な年金について誰が、
一体どのように運用しているのでしょうか。
年金は現在150兆円ほどあります。
これを元々は資金運用部で運用していました。
昔は郵貯で250兆円、簡保で約100兆円に
年金の150兆円を合わせて500兆円位の
お金を大蔵省の理財局傘下の資金運用部を経由して、
財政投融資に使っていました。
例えば、高速道路建設、住宅建設、住宅ローン、
といった政府の現業を行っていたわけです。
ところが、もう財政投融資をやめたらどうかという議論が起こり、
資金運用部が2000年度で廃止されました。
それまでは、年金福祉事業団、略して年福と言いますが、
これが資金運用部に預けた後に30兆円ほどのお金を
借りて運用していました。しかし年福も廃止となり
年金資金運用基金へと承継され、
最近では基金から独立行政法人へと移転しました。
正式には年金積立金管理運用独立行政法人という
舌を噛んでしまいそうな名前です。
アルファベットで言うと、
Government Pension Investment Fund、GPIFと呼ばれています。
150兆円の内、80兆位をGPIFが運用しています。
残りの70兆円については、30兆円で財投債を買ったり、
財政融資資金特別会計に40兆円ほど預けたりというのが現状です。


これらの運用については上手くいっていません。
そもそも厚生労働省が天下りして
経営しているような機関で、なぜ運用できるのでしょうか。
運用のノウハウがない人達に任せる事自体がおかしいと思っています。
私としては厚生労働省を外して運用したらどうかと言いたいです。
今現在は年金運用を改革しようという動きに対して
厚生労働省が大抵抗をして見直しをやめさせる
方向で決着しそうな雲行きです。


■年金制度の現状
現在の国民年金の納付率については半分ほどですが、
20代前半に限るとその73%が納めていません。
これはもう完全に制度が崩壊しています。
国民皆年金制度、皆年金と言いますが、
皆(かい)という字が恥ずかしがって、どこかに行ってしまいそうです。
なぜこのような状況になったのかと言うと、
少子高齢化で年金を納めても後で貰える保証もない。
それならば、自分で貯蓄しておいた方が
いいじゃないかというふうに思っても無理はありません。


年金制度には賦課主義と積立主義という
2つの考え方があります。賦課主義というのは、
税金と同様に無理矢理徴収するということです。
政府は年金を税金と同じだと思ってお金を徴収します。
お金をもらった時には資産としては計上しますが、
後に年金を払わなければならない義務が
あると政府は思っていないので負債としては計上していません。
将来いくら払うかは、お金がある時にあるだけ払おうか、
というのが今の賦課主義に基づく年金制度です。
しかし、現在7割の若者が払っていないという状況ですから、
消費税でとったり、自分で自分の分の年金を
積立てたりする積立主義に移行するべきでは、
という議論がされています。


■年金改革の選択肢
色々なメディア等が基礎年金部分について
税方式の導入など案を出しています。
そもそも皆、月に一体いくら欲しいのでしょうか。
老後のゆとりある生活に関する
計算では、ゆとりある老後生活費は37.9万円と言われています。
とりあえず2、30万貰おうと思えば、
いい会社の厚生年金、あるいは国家公務員の
共済年金辺りからもらって、
なんとか2、30万にするというのがこれまでの考え方です。


国民年金だけだと6、7万円しかもらえません。
ですから自営業者は、本当に大変ですね。
ところがこれもみんな払ってくれないわけですから、
とりあえず、国民が最低限の生活を
しながら生きていくための財源を消費税で
自動的に徴収して賄おう、という議論があります。
一月約7万円の基礎年金の財源ですが、
今までも3分の1は政府のお金をつぎ込んでいました。
来年から、この3分の1を2分の1に拡大する予定です。
しかしその為には少し消費税を上げたいと政府は主張しています。


月7万円の基礎年金を保険料ではなく消費税で賄うとしても、
月に20-30万円もらうための報酬比例部分は
どうすればよいのでしょうか。
厚生年金や共済年金の報酬比例部分については
基本的に自分で自分が必要な金額を貯めてもらう、
一方でそれを貯める時の損金は
税務上優遇してもらうというような考え方が有力になりつつあります。
今後、年金の制度改革や年金を巡る税制論議というのは、
益々活発になっていきそうです。

分野: 村藤功教授 |スピーカー:

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