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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > ドイツの地方分権について① (国際企業戦略論/永池克明)

ドイツの地方分権について① (国際企業戦略論/永池克明)

08/06/23

■日本の地方分権
現在、日本では、地方分権や道州制の議論が活発になってきました。
しかし、中央省庁の抵抗もあって、なかなか進展していません。
日本の場合は、明治維新以来、
中央集権制度を現在まで一貫して続けています。
中集権制度というのは言ってみれば途上国型の制度です。
中産階級の未形成、資本蓄積の不足、技術面での
後進性を抱えた途上国が先進国に追いつくためには、
強いリーダーシップを持った強力な中央政府が
明確な国家目標と国家戦略をもって一元的に資源配分を行って
国を牽引することが最も効率的であるといえます。
しかし、日本の場合、80年代で先進国にキャッチアップを果たしました。
日本は80年代で、中央集権制度を断ち切ることが
できれば良かったのですが、その後も続いた結果、
都市の巨大化、一極集中、過密化、地価の高騰など、
様々なひずみが出てきました。
一方、地方は、過疎化が進み、人口が減少し、
中核都市でさえ、減少しています。
このままいけば、格差の拡大や非効率が今後、
日本経済の健全な発展を阻害することになります。


お金の面でも、税収の多くが国(中央政府)の方にお金が入り、
その一部を、交付金、補助金という形で
地方に与える方式がとられています。
そして、地方の自治体の仕事は、ひたすら中央省庁に頭を下げて、
陳情に上がり、お金を勝ち取るという事が重要な仕事で、
この状態は正常ではないと感じています。
また、地方に対する政策も中央が一元的に立案し、実施するために
地方の独自性や地域性が失われ、
どの地方に行っても画一的なインフラ整備や
個性のない町並みになりつつあります。


■ドイツとの比較
なぜドイツか、といいますと、ドイツは、国力的にも、
面積も日本とよく似た国です。
しかし、日本とは対照的に、昔から地方分権を徹底させている国です。
そこでドイツの地方分権を語ることが、日本の地方分権の在り方の
参考になるのではないかと思ったわけです。
また、若い頃私がドイツに留学し、そこで分権国家ドイツの人々の
生き方の豊かさを体感しましたので、比較しようと考えました。


■地方分権に関してインパクトを受けたこと
ドイツには、東京のような超巨大都市はありません。
一番大きい都市がベルリン市で、350万人と少なく、
100万人を超える都市は、ミュンヘン、ハンブルグです。
そして、大聖堂(Dom)で有名なケルンが後に続きます。
人口30万人~50万人の規模の都市が、
ドイツには多く存在し、全体の約50%近くを占め、
残りは、より小さな市町村によって成り立っています。
そして、どこの中小都市、地方都市にも、
立派なオペラハウスや劇場があり、
中世そのままの市庁舎(ラトハウス)や教会(キルヘ)や
地方色豊かな街並みがあります。
建物は、地方独特の建て方で建てられたものが今も多く存在し、
多くの外人観光客を集めています。
日本にも昔は地方性豊かな街並みがあったのですが、
今ではどこへ行っても画一的な景観になってしまい
地方の個性が失われるとともに、
日本古来の文化や伝統も年々失われているのは
日本人として極めてさびしいことであり、ゆゆしき事態です。


以下、私がドイツ留学中にドイツの地方分権について、
強烈に印象に残っていることをあげてみましょう。


ドイツ最北端の州、シュレスヴィヒ・ホルシュタイン州の州都にある
キール大学世界経済研究所がかつての私の留学先ですが、
その研究所に隣接してドイツ連邦共和国の
経済学中央図書館があったことにも驚きました。
日本の北海道の函館か、室蘭のような場所に、日本の経済学関係の
中央図書館があると想像していただければよいと思います。
日本では、このような施設は、東京に集中しています。


■ドイツ主要機関の分散状況
ドイツにはいわゆる「5大経済研究所」があり、
毎年2回合同経済予測を発表し、世界的にも有名です。
その研究所は、
上記のキール、そしてハンブルグ、ベルリン、ミュンヘン、エッセンに
散らばって存在しています。
ドイツ統一後は東ドイツから1つ加わり、「6大経済研究所」となっています。
日本のように、東京、大阪だけではなく、全国に散らばっています。


経済の主要機関、例えば、外国情報貿易局(日本のJETROに相当)はケルンに、
ドイツ経営者連盟(経団連に相当)はヴィースバーデン、
ドイツの商工会議所連盟はボンに、
労働総同盟は、デュッセルドルフにあります。


また、工業界では自動車工業会、電機工業会は
フランクフルトに集まっています。
新聞社でいえば、有名なディ・ヴェルト紙は、ハンブルグに、
ハンデルスブラット紙(日経新聞に相当)はデュッセルドルフに
拠点をおいています。


それから、フランクフルター・アルゲマイネ紙は
もちろんフランクフルトにあり、
ドイッチェ・ツァイトゥンク紙はミュンヘンに存在します。


企業の本社も、シーメンスはミュンヘン、
ダイムラーベンツはシュツットガルト、
フォルクスワーゲンは、ウォルフスブルグ、
というように、分散して存在しています。


日本と比較すると、都市の分散化、地方分権が進み、
それぞれ特徴のある中規模の都市が
豊かな生活を楽しんでいるところが、
日本とドイツの際立った違いだと思います。


地方分権を語るとき、最も大切なお金(税収の流れ)については次回お話します。

分野: 永池克明教授 |スピーカー:

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