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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 野村のインサイダー取引(財務戦略/村藤功)

野村のインサイダー取引(財務戦略/村藤功)

08/06/13

■インサイダー取引事件
4月末に、野村證券の企業情報部の社員と
知人の3人がインサイダー取引を行ったということで
東京地検の特捜部によって逮捕されました。
野村證券は起訴前に、容疑者を懲戒解雇しました。
このことは大騒ぎとなって、
メディアでも大きく取り上げられました。
そして、金融や証券に対する信頼が大きく揺らいだとされています。
今日は、このインサイダー取引事件についてお話したいと思います。


■野村證券のインサイダー取引
野村證券といえば、
日本を代表するM&Aアドバイザーの一つです。
野村企業情報というM&Aの会社を本体の外に
作っていたこともありますが、現在は本体の中に
企業情報部というのを持ちいろいろなアドバイスを行っています。
客としては、野村證券を信じてアドバイスをお願いしていたら、
知らないうちにアドバイザー部門の一員が
インサイダー取引をしていたということで、
けしからんといって大騒ぎになったわけですね。


■インサイダー取引の概要
インサイダー取引とは、上場企業の関係者が
自分の職務を通じて、企業経営に関わる重要事実の
内部情報を入手して、公表される前に株の売買をしてしまうことです。
これは、前の証券取引法(現在の金融商品取引法)で禁止されています。
公表すれば、皆が秘密の情報を知りますから、
秘密でなくなる訳ですが、公表される前は秘密ですね。
従って、その秘密の情報を知り得る立場にいた者が、
それを勝手に使って自分だけ儲けたと、
要するにズルしたということが、インサイダー取引です。


■事件本体
今回、野村のインサイダー取引と考えうる
対象取引はたくさんあったのですが、
特に三光純薬と富士通デバイスの二つが問題となりました。
野村證券は、製薬会社のエーザイがジャスダックに
上場している三光純薬を完全子会社化し、
上場外しをすることについてのアドバイザーでした。
そうすると、エーザイが、三光純薬の株を
全部買い占めて非上場化する訳ですから、
当然値段が上がるに決まっていることを知っていた訳です。
それで、その話を企業情報部に所属していた
厲瑜(レイユ)という中国人スタッフが利用して、
インサイダー取引をしたようです。


厲瑜容疑者は30歳で、
10年位前に日本に来て京大に留学していました。
卒業後2006年の2月に野村に入社して、
2007年12月に香港に転勤するまで
インサイダー取引をやっていたそうです。
彼が、企業情報部を離れて香港に行った途端に
インサイダー取引が止まったので
あっという間に分かったということらしいです。


もうひとつの富士通デバイスの件も似たような話です。
富士通が上場していた富士通デバイス(現在の富士通エレクトロニクス)を
株式交換で完全子会社化して上場外しをしました。
この取引も、野村證券が富士通にアドバイスしていて、
厲瑜容疑者が、友達の蘇春光容疑者に連絡し、
株を買わせたという話のようです。


■守秘義務
これは顧客に対する契約上の守秘義務とも関わっています。
厲瑜容疑者が属していたのは企業情報部なので、
M&Aの秘密情報が飛びかっていますから、
儲けようと思えばいくらでもインサイダー取引ができます。
しかし、野村證券は、顧客と守秘義務契約を結んでいますから、
相手企業は、野村証券が守秘義務契約を破ったということで
損害賠償を請求できることになります。
野村としては顧客の秘密を漏らして
自分が責任を取らなくて済むように
厳しい管理を徹底しないといけません。
これは野村にとってはかなりの痛手です。
野村證券といえば、4千社位ある国内上場企業の
6割位で幹事や主幹事を務めていますが、
この事件によってもう野村に頼むことをやめたい
という声もいろいろなところで起こっています。


■今後の政府の取り組み
このインサイダー取引に関しては、
国としても気になるところがあります。
証券取引等監視委員会は、インサイダー取引を
やらないように監視する機関ですが、ここが調査をしています。
それと金融担当大臣の渡辺喜美氏がけしからん
といって怒っているとのことです。
それから、証券業協会といった政府ではなく
市場を仕切っているところでも何とかしないとまずい
という声が出ています。まさか日本の株式市場のリーダーである
野村證券のM&A部門の人がインサイダー取引をやるとは思っていなかったと。


証券業界では、株取引をするのなら
原則として自分の会社でやるということになっています。
他の証券会社で株取引を行うこと自体が
何かあやしいことやっている可能性が高いということです。
今回の事件も、野村の口座でやっていたのではなく、
厲瑜容疑者が友達二人と、野村以外の証券会社で
取引口座を作り、そこで売買をしていたそうです。
今回は余りに素人臭い手口だったもので
あっという間にバレました。今回の事件で、
証券業協会は証券会社が社員情報を一元管理する
データベースを作成する方向で検討しているようです。

分野: 村藤功教授 |スピーカー:

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