QT PRO モーニングビジネススクール

QT PRO
モーニングビジネススクールWeb版

FM FUKUOKAで放送中「QT PRO モーニングビジネススクール」オンエア内容をWeb版でご覧いただけます。
ポッドキャスティングやブログで毎日のオンエア内容をチェック!

PODCASTING RSSで登録 PODCASTING iTunesで登録 電子書籍で記事を読もう! EPUB

過去の記事詳細

QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 韓国、台湾、中国の電機メーカーの特徴と課題vol.2(国際企業戦略/永池克明)

韓国、台湾、中国の電機メーカーの特徴と課題vol.2(国際企業戦略/永池克明)

08/05/27

■ハイアール(海爾)集団
今日は、東アジアで成長するメーカーとして、
中国のハイアール(海爾集団)を紹介します。
中国では、このハイアールだけではなく、
ハイシン(海信)、TCLなどの
有力な電機メーカーが急速に成長しています。
その中でも首位を走っている中国最大の
総合家電メーカーがハイアールという会社です。
ハイアールは中国の山東省青島(チンタオ)市に
本社があります。もともとは国有企業で倒産寸前の会社でした。
それを今の会長である張瑞敏(チョウズイビン)という方が立て直し、
今や平均年率80%という驚異的な成長をしています。
売上高でいえば1兆8千億円で、
特に家庭電器の中で白物と言われている
冷蔵庫、洗濯機、エアコンといった
事業分野に関して非常に強く、
家電全体でも中国国内市場で約3割のシェアを持っています。


■ハイアールの特徴
ハイアールの経営の特徴は大きく4つあります。
第1に「高起点経営」主義といわれる経営です。
ハイアールは、最初からソニー、松下、東芝のような
世界の一流企業を目標として
志を非常に高く持つという経営理念を持っており、
張会長はこれを高起点経営と呼んでいます。
ハイアールは自社ブランド重視を経営の中心に据えています。
中国企業は相手先ブランド(OEM)での
生産を担当する企業も多いのですが、
ハイアールは自社ブランドでないと長期的に
世界では勝てないという信念で自社ブランド経営にこだわっています。


第2の特徴は、サービス重視です。
ハイアールは、サービスを同業他社のどこよりも重視して、
24時間のアフターサービス体制をしいています。
それによって、顧客満足を最大化しています。


第3の特徴は、徹底的な成果主義を
トップマネジメントから工場の1従業員まで
徹底させているということです。
頑張った人は、ご褒美が毎日壁に貼り出されるのですが、
失敗すると毎日壁に顔付きで貼りだされて、
罰金をとられるようになっています。
また、仮に失敗はなくても毎月従業員の勤務評定を行い、
下位10%の人を自動的に解雇するという「
定量定期淘汰制度」を導入し、
淘汰された従業員の名前とその理由が壁に張り出されます。
ハイアールでは、このようにまさに資本主義の
原点を見るような徹底した信賞必罰による
成果主義をもっとも厳格に貫いている企業と言えます。
張会長はこのように言っています。
「このような経営は確かに過酷です。
しかし、それはマーケットが過酷だからです。
一部の従業員には過酷かも知れませんが、
それを怠ると従業員全員、すなわち会社自体が
マーケットから淘汰されるのです。そ
のことを従業員に言えば、全員が納得してくれます。」


第4の特徴は積極的な国際戦略の展開です。
現在、同社は中国国内を含む全世界に、
貿易センター56ヶ所、デザインセンター15ヶ所、
工業パーク19ヶ所、生産拠点50ヶ所、
販売網5万8,000ヶ所を持っており、
1990年代半ば頃からハイアールは
世界各地での販売、サービス拠点づくりに努めています。


■ハイアールの課題
一つは、収益性が非常に低いことです。
というのも、売上高の伸び率は年率80%の
高成長なのですが、技術力はまだ弱いと言わざるを得ません。
例えばエアコンのコンプレッサー、テレビのブラウン管、
ハイテク部品など製造原価の全体の約70%は、
自社では作れないので、日本メーカーなど外部から購入しています。
そのため、自社で付加価値が生み出せるのは
全体の30%位しかありません。
しかも、中国市場ではライバルメーカーが
たくさんいて競争も非常に激しいのです。
その結果、他メーカーとの価格競争に巻き込まれ、
販売価格が下がり、利益が非常に薄くなります。
それもこれも、技術開発力が十分では
ないことが大きな原因です。
中国で出願されている特許の数や比率にしても、
外国メーカーに比べれば、1、2桁少ない。
これが大きな問題のひとつだと思います。


■台湾の電機メーカー
同じ東アジアでも、台湾は韓国と非常に対照的です。
韓国の場合は、財閥を中心とした大企業が中心であり、
自社ブランドで成長している企業が多い。
しかし、台湾では対照的に中小企業が多く、
その中から、旺盛な起業家精神をもった
優れた経営者が輩出し、どんどん企業規模が
大きくなって伸びてきたというのが特徴です。
しかも、戦後の早い時期から海外に目を開いて
輸出主導、同時に欧米や日本の多国籍企業と
組むことによって力をつけてきたというのが特徴です。


また、台湾企業の特徴としては、
多くの企業がOEM(相手先ブランド)戦略を用いていることです。
多くのエレクトロニクスメーカーは
非常に優れた大量生産能力を持っており、
欧米企業や日本企業のOEM(相手先ブランド)生産を
一手に引き受けて、物の組立てや生産に専念し、
モノづくりの技術や能力を磨いて力をつけていきました。
ブランド的には自社ブランドは
あまり重視していなかったといえます。
また、EMS(Electronics Manufacturing Service)や
ファウンドリーと呼ばれる大量生産受託専門企業も多く、
東アジアの国の中では生産においては最強国と言えます。
最近は、欧米や日本の多国籍企業から委託を受け
エンジニアリング、修理、サービス等の工程部分も受け持ち、
付加価値範囲を広げるとともに、
組み立て生産は対岸の中国大陸に移す動きが加速しています。
スタン・シーさんのスマイルカーブでいえば、
生産は中国で、後の付加価値の高い部分は台湾で担当するというわけです。


自社ブランドを重視した
台湾の数少ないメーカーとして代表的な企業に、
エイサー(宏碁電脳)というパソコンメーカーがあります。
この会社、自社ブランドにこだわって今まで伸びてきました。
エイサーは、1976年にスタン・シー(施振栄)という
台湾人が大学を出て、奥さん、友人たちと一緒に起業した会社です。
10人位の有志で起業して、それから瞬く間に伸びてきました。
その後、七転び八起きを地でいく様な様々な
試練を乗り越え、現在では、
デスクトップを含む世界のパソコン市場での第3位につけています。
スタン・シーさんは大変優れた経営者として、
日本でいえば、松下幸之助さんのような
最も尊敬される経営者と言えます。
ビジネススクールの学生が経営戦略などで学ぶ
「スマイル・カーブ(微笑曲線)」を初めて描いて
事業の高付加価値化やサービスの重要性を説いたのは
他ならぬスタン・シーさんその人です。


■今後の展望
東アジアだけをみても、
韓国のサムスン電子、LG電子、中国のハイアール、
ハイシン、レノボ、そして台湾でもエイサーなど
多くの企業がひしめき、東アジアのレベルを押し上げています。
日本のメーカーも含めて、それぞれが競争上の特徴を持っています。
良いライバルとして競争をしていくということ、
それともう一つは、国際的な戦略提携を結び、
互いにWIN-WINの関係、つ
まり、共存・共栄を享受するという戦略も、盛んになります。

分野: 永池克明教授 |スピーカー:

トップページに戻る

  • RADIKO.JP
  • ビビックスマホ