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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 診療報酬と後期高齢者医療(財務戦略/村藤功)

診療報酬と後期高齢者医療(財務戦略/村藤功)

08/05/30

■後期高齢者医療制度
まずは、後期高齢者医療制度についてお話します。
以前、年金で騒いでいた時と同じで、
この制度でも保険証が時間通り届かなかいとか、
支払い免除された年金から天引きしたなどのトラブルが続いています。
しかし、制度の本体部分はそんなにおかしくないと思います。
例えば、テレビに出てお年寄りに優しくしましょうというのはすごく簡単な話です。
しかし実態は、後期高齢者の方々が負担している費用は
1割程度で、その他は現役世代が4割負担、
税金で5割負担ということになっています。


実はそれでも足りなくて、
政府はお金を借りて医療費に充てています。
お金を借りて負担するということは、負担を先送りして、
将来の世代に医療費を払ってもらうということです。
将来の少子高齢化が見えている訳ですから、
将来に先送りすると先送りされた将来の若手や
現役世代は、今よりも大変になるのに、
負担がさらに過去からふってくるという状況になります。
そうなれば、制度の破綻はさらにひどくなります。
そういう意味では、老人に優しくといっても、
一体どこからお金もってくるつもりなのか分かりません。
将来の若手や現役世代の負担を堪えられる程度にすることが
今回の後期高齢者医療制度導入の目的ですから、
制度そのものはそんなにおかしくないと思います。


■診療報酬
そして、診療報酬ですが、
これは厚生労働省の諮問機関である
中央社会保険協議会(中医協)が2年に1回決めるものです。
報酬価格は点数で1点10円です。
それを今回、薬価部分は1.2%下げたのですが、
医療機関に対する報酬である本体部分を0.38%上げました。
これをどのように上げたかというと、
大企業の健康保険組合から無理やり取ったのです。
大企業の健康保険組合から中小企業の政管健保にお金を出させて、
そのお金を原資に政管健保に対する国庫負担を取り下げ、
これを診療報酬の本体部分値上げにまわしたのです。
つまり、政府が診療報酬値上げの原資を出したのではなく、
大企業の健康保険組合にお金を出させて
診療報酬を上げたというわけです。
大企業の健康保険には、政管健保に無理やり
費用を負担させただけでなく、65才以上の高齢者に対して
援助する仕組みも今年から作りました。
今までは75才以上だったのですが、
65才以上の高齢者を全て支援する仕組みを作った結果、
これまでなんとかやっていた大企業の健康保険組合は
ほとんどが赤字になることになりました。
そのため、これから健康保険料を値上げようという話になりそうです。
大企業だからといってなんでも無理やり負担させることは
社会保険の負担と給付の原則から考えておかしいと思います。


■勤務医と開業医の再診料をめぐる戦い
診療報酬の問題でいうと、今最大の戦いは、
開業医と勤務医の再診料の違いです。
病院は2度目の診療から570円なのですが、
開業医だと2度目から710円ということで再診料を140円高くしています。
その結果、開業医は皆お金持ちで平均年収2,500万位、
病院の勤務医は1,400万位しか給与をもらっていません。
平均年収は2倍近く違います。それで、
勤務医は2、3日続けて寝ずに働いているという状況の中で、
不公平を何とかしなければいけません。
そこで開業医の再診料を引き下げようとしたところ、
開業医が中心の医師会が反発し大騒ぎになり下げられなくなりました。
結果として、開業医の再診料を引き下げる代わりに、
病院の再診料を上げたという形で解決しました。
勤務医の再診料が、30円上がって600円になり、
差が140円から30円縮まったということですね。

勤務医の労働時間は本当に過酷で、
給料の違いもあり、開業医との差は問題です。
開業医が政治的な力を持っているもので、
厚生労働省はそのいいなりになって踊らされているという状況です。
熟練したベテラン医師でも研修中の新人でも
同じ診療行為だと同じ値段だというのもおかしいですね。


■診療報酬の成果主義
そして厚生労働省は、
診療報酬に成果主義を導入しようとしています。
彼らにとっての成果とは、早く退院してくれることです。
早く退院してくれれば、厚生労働省にとっては
入院医療費が抑えられますので、助かるわけです。
そのため、早く退院すればそれを評価しましょうという考え方です。
ただ、これはまだ検討中なのでこれからどうなっていくかはまだ分かりません。


この成果主義が導入された場合、
回復する見込みがある患者さんだけを
病院が受入れるのではないかという懸念もあります。
ただ、患者がずっと入院していても良いというわけでもありません。
非常に高価な機械を持っている病院に長期入院の患者が多くなり、
機械の稼働率が落ちてしまうのは問題です。
そういう意味では、高い機械を持っている病院は
短期入院で手術をし、その後は別の病院で療養をしてもらうといった
病院間で役割分担をして患者もそれを尊重する必要が出てくると思います。

分野: 村藤功教授 |スピーカー:

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