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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 原油高(財務戦略/村藤)

原油高(財務戦略/村藤)

08/02/08

今は何かにつけて、
石油、ガソリン、オイルマネー
などといった話が多いのですが、
今日はそれらの元になっている
原油高のお話をしたいと思います。


■アメリカの原油価格
だいたい原油価格について話をするときは、
WTI(West Texas Intermediate)
という指標を見るのですが、
今年の初めにニューヨークの原油先物市場で、
それがついに1バレル100ドルを突破しました。
1970年代のオイルショックで
一旦上がった石油価格でしたが、
'80年代の後半以降、割と落ち着いてきて、
先進国がどちらかというとあまり上げさせないというモードで、
1985年から2001年くらいまでは
1バレル大体20ドルくらいで推移しているという状況でした。


今では、それから比べると5倍に、
去年の同じ時期に比べても2倍以上ということになっています。
この価格上昇の理由はいったい何なのでしょうか。
もちろん、実際に需要が増えていることもあります。
中国やインドなど経済が発展している新興国が
原油をどんどん買っています。
中国では、大慶油田というのがあって、
以前はそこから原油を輸出していたのですが、
採掘量がだんだん無くなって来てしまい、
逆に輸入をするようになりました。
中国が輸出から輸入に転換したというのが
原油高の理由の1つといえるでしょう。


■アメリカのハリケーンの影響
また、原油高の特に大きな理由になったのが、
2004年に起こったアメリカのハリケーンです。
どうしてアメリカのハリケーンで
原油があがるのかといいますと、
アメリカの石油関連施設が
メキシコ湾岸に集中しているからです。
メキシコ湾岸がハリケーンに襲われると、
あっという間に石油関連施設が使えなくなってしまいます。
現に石油施設の9割くらいが
操業停止になってしまいました。
さきほど言ったWTIというのは
アメリカ産の石油で中東とはあまり関係ありません。
メキシコ湾岸のハリケーンにやられた関連施設から
石油が出てこなくなったために、
一気に上がったということなのです。
そういう意味では、
ハリケーンにやられたというのがまず理由の1つです。


■ナイジェリア問題とアメリカの原油価格
それからナイジェリア問題というのもあります。
政情不安から原油高になるのです。
日本はだいたい中東からで、
ナイジェリアからはほとんど買っていませんが、
アメリカはナイジェリアから買っています。
だからこれもやはりWTIに影響するのです。
ナイジェリアで何が起こったかといいますと、
2004年ナイジェリアの政府軍が
ナイジェリアの人民義勇軍に攻撃を開始しました。
やられた人民義勇軍が、
それじゃあ政府と全面戦争に入るということで、
シェルなどの外国石油会社に
原油生産施設を閉鎖しなさい、
閉鎖しなかったら攻撃しますよ
というようなことをいったのです。
ナイジェリアの石油というのは
実は半分くらいはアメリカに輸出されています。
OPEC第5位の有力産油国であるナイジェリアで戦争が始まって、
アメリカに対する輸出も止まるということにもなれば、
WTIが上がるという話になるのです。


■投機による価格上昇
ただ、本当に石油が生産されて買われる
という需要と供給の問題の他に、
もう一つ投機の問題があります。
みんなが上がるから買う、買うから上がる
というバブルみたいなことです。
これはちょうどいま、株が不安定なので、
その代わりに先物、物資に投資していくということで、
石油だけではなく金なども上がっています。
その一環で、サブプライム問題で株やドルから逃げて、
原油や金にお金を移す
ということが起こっているわけですが、
それ以前から投機はかなり行われてきました。
例えば、WTIのウエスト・テキサスで
原油はどのくらい生産されているのかというと、
1日辺り30~40万バレルくらいです。
ところが、NYMEX、ニューヨークの原油先物市場で
取引されている取引額はどれくらいかといいますと、
何億バレルという、
生産量の100倍以上の原油が取引されています。
これは実物をともなわない数字だけの話で、
買うから上がる、上がるから買うという状況で、
本当にマネーゲームです。
株や為替市場のリスクを原油でヘッジしておくかという、
そういう世界の話なのですが、
それが私たちの生活に影響しているのですから堪りません。


■日本におけるインフレ懸念
我々としては最近、
ついにインフレが心配されてきました。
日本では70年代オイルショックの頃に、
ティッシュペーパーの値段が上がってしまうのではないか
という騒ぎがありましたが、
ここのところどちらかというとデフレ気味でした。
デフレ気味のころには、マネーサプライを増やして、
お金をたくさん発行していても
それほどインフレの心配はありませんでした。
一昨年くらいに日銀が
ゼロ金利解除ということでお金を吸収して、
市場の資金を減らしたのですが、
日本政府はまだ国債を大量に発行し続けています。
日銀がお金を発行して国債を引き受け、
マネーがまた増え始めると、
大変なインフレになる可能性が、
実は最近出てきている状況です。
今のところは、ガソリンが上がって中小企業が死にそうだから、
とりあえず価格を転嫁するという意味での、
ちょっとしたインフレが始まった所です。


しかしながら、その分野が広いため、食べ物もそうですが、
原油高との関連がわからないものもあります。
風が吹くと桶屋が儲かるみたいなものです。
例えば、釣り竿の価格はどうして上がるのでしょうか。
これは使われている素材に関係します。
竹竿は関係ないのですが、
炭素繊維が使われているような高い釣り竿はあがっています。
また、プラチナはディーゼル車の燃料電池で使われたりしますので、
プラチナの値段も上がり始めています。
それから、ハム・ソーセージは、
豚の食べるトウモロコシなどの飼料が関係してきます。
飼料がバイオエタノールなど代替燃料に使われて、
燃料の値上がりとともに上がっているので、
同時にハム・ソーセージの値段も上がっていっているという状況です。
1つ1つ考えていくと、なるほどそう繋がるかと思いますが、
言われないとわからないものも多いですね。


■今後の見通し
本当に気になるのは今後の見通しです。
原油価格がちょっと上がりすぎましたので、
ある意味、アメリカやヨーロッパの景気が
落ち込むのではないかという状況になってきました。
そうなると、原油の需要が下がるだろうということになって、
一時一バレル100ドルまでいった物が、
今では90ドルを切ってきています。
これで少し落ち着いてくれるのかなということですが、
20ドルに戻るかというと、
そう簡単には戻りそうもないということで、
これからちょっと目が離せそうにない状況です。

分野: 村藤功教授 |スピーカー:

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