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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 信頼を構築するための保護者関係マネジメント (臨床心理学・教育経営学/増田)

信頼を構築するための保護者関係マネジメント (臨床心理学・教育経営学/増田)

08/02/05

■現在の学校現場の状況
学校の先生方の長期休職に関する
報道を耳にすることが多くなりました。
ここ数年、先生方の休職率は
特に高くなっています。
昨年度(2006年度)の病気による
休職率は、前年比の9.1%の増加でした。
また、そのうち心の病で
休職された先生については、
前年比の12%も増加しています。
実数でいえば、全国で4,675人の先生方が
学校を心の病で休職されています。


教師の仕事は、子どもたちに
勉強を教えることだけではありません。
その他の多くの仕事によって、
多忙な状況におかれています。
その1つは、様々な書類の作成に
追われる事務作業です。
また、もう1つは、多くの研修会に参加して、
先生たち自身が勉強しなければならない
ということです。
最後に、これが一番大きな問題なのですが、
保護者の方との関係における問題が
クローズアップされてきています。


最近では、「モンスターペアレント」が
増加しているといわれています。
保護者の方々には
非常に失礼なネーミングですが、
学校や先生方にクレームを言う方が
多くなってきているのは事実です。
これは、見方を変えれば、学校に対する
大きな期待の表れでもあると思います。


クレームというと、
ネガティブなイメージがつきまといますが、
実際にはそれだけではありません。
クレームには、「権利の主張」という意味と
「苦情」という意味があります。
クレームを受け取る側が、
それを「苦情」だと捉えれば、それだけで
ネガティブな捉え方になってしまい、
非常に疲れてしまいます。
しかし、クレームを「権利の主張」として、
子どものためにして欲しいことを
訴えているのだと捉えれば、
先生方の気も少しは楽になるでしょう。
このように物事の見方を変えることを、
認知の修正と呼びます。
つまり、保護者の方から
「こうして欲しい」と言われたら、
「クレームをつけられた」と思うのではなく、
「子どもさんのことを真剣に考えて、
こんな願いを持っているのだな」と考えれば、
一呼吸おくことができます。
そうすることにより、先生方のストレスも
軽減されるのではないかと考えられます。


その一方で、「モンスターペアレント」と
呼ばれる保護者の方々は、
常識の範囲を逸脱した理不尽な要求を
することに特徴があります。
「権利の主張」という側面の
クレームであれば、じっくりと話を聴き、
一緒に解決法を話し合うことで、
先生と保護者の方が信頼関係を
深めることもできます。
しかし、
自分の子どものことだけを考えた要求や、
学校では対応不可能な
無理難題を要求された場合には、
話を聴くだけでは問題は解決しません。
こうした事態に直面して、
学級担任の先生、
特に校長先生と教頭先生は、
対応に困っているのが実状です。


学校の先生たちは、
どの子どもたちも楽しく学べるよう、
平等に接していきます。
しかし、1クラスには30名から40名ほどの
子どもがいるのですから、
学級担任の先生が、全員に対して
完全に平等に接することは難しいことです。
一方、保護者の方の立場からすれば、
やはり自分の子どもを中心に考えてしまいます。
そこで、
先生方の視点と保護者の方々の視点に、
齟齬が生じてしまうと思います。


■信頼を構築するために

保護者の方と学校の間、
そして保護者の方と先生方の間に、
改めて「信頼」を構築することが
求められています。
愛媛大学教育学部の露口先生を中心とする
私たち九州教育経営学会プロジェクトチームが
学校現場で実施した調査で明らかにした、
「信頼」を構築するためのキーワードを
ご紹介したいと思います。

 
第1に、「期待」です。
保護者の方々は、先生方に対して、
社会性や人間性といった側面について
大きな期待を寄せています。
先生方は、
この期待に応えていくことが求められます。
第2に、「公開性」です。
学校で起こっている様々な事柄を、
リアルな形で保護者の方に
公開していくことが必要です。
第3に、「誠実性」です。
保護者の方の
どんなに些細な疑問に対しても、
連絡帳や家庭訪問を通じて、
真摯に答えていく姿勢が重要です。
最後の4つ目のキーワードは、
「充実性」です。
どのような場面においても
共通にあてはまりますが、
先生方が授業を行う際の力量を、
しっかりとスキルアップしていくということです。
また、運動会や学習発表会などの
学校行事を、より良いものにするよう
努めることも大切です。

学校の信頼構築に必要な
力についても述べておきます。
現在の学校教育は、先生方だけの力では
絶対に成り立たない状況にあります。
保護者の方、そして地域の方の協力が、
必要不可欠です。
多くの人の手によって、
皆で学校を作っていくという意識が、
非常に重要になっていきます。
もちろん、一人一人が教育に対して
異なる考え方を持っていますから、
難しい課題ですが、
皆で協力することを通じて、
様々な考え方を共有できる
という面もあります。
教師と保護者が
お互いの責任を追及するだけでは、
学校教育は絶対によくなりません。
学校でできることとできないこと、
家庭でできることとできないことを整理し、
「子ども達の成長のために」何ができるのかを、
新たに創造していくことが求められる時代です。


■公開シンポジウム 信頼を構築する公立学校の挑戦-保護者関係のマネジメントの戦略-
今回お話したテーマに関する
シンポジウムを開催しますので、
ご紹介しておきます。
シンポジウムのタイトルは、
「平成19年度九州教育経営学会公開シンポジウム
『信頼を創造する公立学校の挑戦
-保護者関係のマネジメント戦略』」です。
日程は、平成20年2月9日(土)、
午後1時30分~午後5時までを予定しています。
開催場所は、九州大学文系地区の
文・教育・人環研究棟2Fです。
地下鉄箱崎線の箱崎九大前駅を下車して、
徒歩10分ほどの距離です。


シンポジウムの内容は、
校長先生、小学校の先生、保護者の方、
そして研究者の4人がパネリストになり、
信頼を構築するためには何が必要かということを、
本音で語り合う形式です。
参加するための事前予約や申し込みは
不要ですから、開催当日に直接ご来場ください。
たくさんの方のご来場をお待ちしています。
参加費は500円です。
ご不明な点やお問い合わせは、
九州教育経営学会事務局
(TEL 092-642-3121)まで、
どうぞご連絡ください。

分野: 増田健太郎准教授 |スピーカー:

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