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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 政府系ファンド(財務戦略/村藤)

政府系ファンド(財務戦略/村藤)

08/02/01

■政府系ファンドとは何か
日本政府の財政事情が厳しい一方で、
今いろいろな国々が、
それぞれ政府系ファンドというのを作り話題になっていますが、
これがどんどん大きくなっています。
特に原油高のおかげで、
原油を売っている中東だとか、
それからヨーロッパにある
北海油田周辺のノルウェーやロシアなど、
それから高度成長を続ける発展途上国の代表である中国、
この辺が政府としてファンドを作って
300兆円近く運用していると言われています。
放っておくと10年か15年くらいで、
今の300兆円が1,200~1,300兆円まで
膨れあがるというふうに言われています。


中でも中東勢は結構目立っています。
中東勢は、今はすごく儲かっているのですが、
先進国からの投資はほとんどないし、
石油が枯渇してしまうと、
枯渇した時の新産業の行く末をどうするのか
心配でしょうがありません。
とりあえず今買っておくかと、
余ったお金をいろんな物に投資して、
支配をしはじめている状況です。
彼らの中にはハンドボールのルールまで
変えそうになるくらいの
オイルマネーを持っているものもいるわけですから。


■アラブ首長国連邦の政府系ファンド
中東の中でも、
アラブ首長国連邦(United Arab Emirates)といって、
アブダビやドバイのような首長国を
いくつか持っている国家があります。
そのUAEの政府系ファンドは
全部で87兆円くらいと言われていて、
その中では特にアブダビやドバイがすごいです。
アブダビにはアブダビ投資庁、
ADIA(Abu Dhabi Investment Authority)
というものがあるのですが、
これは6,250億ドル、63兆円くらいのお金を運用している
世界最大の政府系ファンドです。
今度シティに7,000~8,000億円の出資をすると言われていますが、
それが中東のファンドからの投資ということで皆ビックリしました。


中東や中国の政府系ファンドが、
次々とサブプライムで自己資本を失った
欧米の大金融機関に出資するということが始まっています。
アブダビにはアブダビ投資庁の他に、
ムバタラ開発公社というものがありまして、
フェラーリの株式を5%買って、
F1をアブダビでやるというような話も始まっています。
もう一つ、ドバイ首長国には
DIC(Dubai International Capital)や
イスティスマルというものがあります。
去年の話になりますが、
ユニクロがアメリカのバーニーズを
買収できなかったということがありましたが、
これは誰に負けたかといいますと、
イスティスマルがユニクロを退けて買収をしたということでした。


■その他の中東の政府系ファンド
サウジだとかクウェートあたりに行きますと、
サウジはサウジアラビア・マネタリー・オーソリティというものが
30兆円くらい持っていて、
クウェートはクウェート・インベストメント・オーソリティというものが
これも20兆円くらい持っています。
それからカタール、リビアということになると、
もうちょっと小ぶりになって、
カタール・インベストメント・オーソリティは6兆円くらい、
それからリビア投資庁というものは4兆円くらいです。
カタールの6兆円は、数十兆に比べると小さいですが、
たいへんな金額ですから、
この間ロンドン証券取引所の15%を買ったとか、
それから北欧のOMXという取引所の10%を買ったとか、
無視できない勢力になってきました。


■シンガポールの政府系投資会社
それからアジアで言うと、
シンガポールには政府系ファンドが二つあります。
コロニーから1,000億円でホークスタウンを買収した
GIC(Government of Singapore Investment Corporation)と、
もう一つがテマセックといいます。
テマセックは、元々はシンガポール国内のインフラに投資する
というファンドだったのですが、
最近は国内だけでなく海外にも出て行っています。
インフラ関係が多いのですが、
インドネシアのインドサットやテレコムテルとういうような
通信株を買ったりしはじめたという状況です。


■中国の政府系ファンド
そして気になるのが、中国のはじめた政府系ファンドです。
中国は中東勢とは少し理由が違っています。
中国では経済がどんどん成長して貿易黒字になっており、
貿易黒字になると輸出が輸入を上回りますから
ドルが山のように入ってきます。
政府がそれを買い上げると、
ドルを買って人民元を供給しますから、
人民元が供給過剰になって、株がバブルになったり、
上海の不動産がバブルになったりします。
そこで、人民元が市場で余るのはまずいということで、
政府が国債を発行して人民元を吸収し、
ドルを海外で使うことを目的として、
中国投資有限責任公司という政府系ファンドを
去年の9月に立ち上げたのです。
資本金が20兆円くらいあって、
最初からすごく大きい金額なのですが、
最初ブラックストーンという投資銀行に出資し、
それから今度は、世界一と言っていいような評価を得ている
投資銀行のモルガン・スタンレーが、
サブプライムでかなりやられたということで、
そこにも50億ドルくらい出資するという話になっています。


■日本の対応
他の国の政府系ファンドを見ていて、
心配になったり、うらやましくなったりしたのか、
日本も最近政府系ファンドを作らなくてはいけないのではないか
という議論が、政治家の間で盛り上がり始めています。
実は日本では、財務省が勝手に
120~130兆円の外貨の運用をやっており、
あっという間に10兆円くらいの損をしたり、得をしたりを、
国民が誰も気がつかないうちにやっている
ということがあります。
そんなことをするくらいだったら、
ちゃんとした政府系ファンドを作るべきなのではないか
というような話も最近盛り上がってきているのです。


■サブプライム問題と各国の政府系ファンド
今回、特に政府系ファンドが問題になっているのは、
サブプライムでやられた大手金融機関に出資する動きが
盛んになっていることです。
既にシティバンク、メリル・リンチ、モルガン・スタンレー等で
数十兆円自己資本が吹き飛んだことが明らかになっていますが、
本当の損失額は今後100兆円や200兆円に
膨らむのではないかという説もあります。
シティは、2~3兆円やられたのであれば、
とりあえず1~2兆円の自己資本を
補充しておかないとまずいという話で、
まずUSEのアブダビ投資庁に
8,000億くらい出資してもらう話を始めました。
シティは過去にも例がありますが、
今回もサウジのアルワリード・ビンタラル王子に
助けてもらう予定です。
いざというときに中東の王族が出てきて、
少し助けてくれるというようなことは昔からありました。
今度はメリル・リンチも
2~3兆円やられたという状況になり、
シンガポールのテマセックというところが
50億ドルくらい投資する予定です。
政府系ファンドではありませんが、
みずほコーポレート銀行も事業提携とセットで
1,400億円の投資をする予定です。

分野: 村藤功教授 |スピーカー:

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