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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 08年度予算(財務戦略/村藤)

08年度予算(財務戦略/村藤)

08/02/22

今日は2008年度予算について、
これまでずっと審議されてきた中で
たくさんの問題があるので、
その現状についてお話しましょう。


■予算の成立までのプロセス
予算というのはちょっと長いプロセスなのですが、
8月位に各省庁からの概算要求、
大体こういうものが欲しいというような要求が、
まず締め切られます。
そしてその後、色々と話し合って、
12月に財務省原案という
財務省がまとめた予算ができあがります。
それから1月に通常国会で
予算の審議が始まることになります。
今年は臨時国会が少し延長されて
通常国会の召集は1月18日になりました。
通常国会が始まると、
衆議院の予算委員会というのが
そのメインになります。


テレビなどでも放映されるのは
衆議院の予算委員会です。
そこで首相をはじめ全閣僚が出席する下で、
代表質問や、財務省の提案理由の説明を経て
色々な質疑が行われた後に、
3月にやっと衆議院の本会議にいって、
そこで採決されて参議院に持って行きます。
そしてまた、参議院でも予算委員会をやって、
本会議にもっていって
採決するというのが流れになっているわけです。


■通常法案の審議プロセスとの違い
ところで、予算の場合には、
他の法律と少し手続きが違っていますが、
何が違うかご存知でしょうか。
この手続きの違いは、
憲法上でも59条と60条の二つに分かれています。
先日の給油法案のように普通の法律の場合は、
衆議院がオッケーといっても、
参議院がノーと言ったり、
あるいは決議が出ないまま60日経って
ノーと言ったと見なされてしまったりすると、
もう一回衆議院で
再議決することが必要なのですが、
予算の場合には再議決はいらない
ということになっています。


また、参議院で60日経って議決しなかったら
ノーと言ったとみなすというのも、
予算の場合60日ではなく30日になっています。
ですから、30日で議決しないと、
もうそれで予算が
自然に成立してしまうということです。
それから、参議院でノーと言った場合は、
衆議院と参議院からなる
両院協議会というものを開いて、
それでも意見が一致しなければ、
再議決の必要はなくて、
衆議院の議決が国会の議決となる
というような仕組みになっています。
そういう意味で、普通の法律に比べて
成立しやすくなっているのです。
どうしてかといいますと、
予算が成立しないと
次の年が始まらないからです。
そうすると皆が困ってしまいますので、
出来るだけ予算は成立しやすいように
なっているわけです。


■財務省原案の概要
では早速、財務省の原案を
見ていきたいと思います。
12月の末に財務省原案というのが
まず出てきました。
これは財務省主計局が中心となって、
まず省庁でいろいろな要求を、
これは許してやる、
これは許さないと言いながら戦った挙げ句、
まず全体として
こんなものでいかがでしょうかと
財務省が提案したものです。


この中でいくつか気が付くところがあるのですが、
一つは財政の収入の予定がどうも
怪しくなってきているということです。
特にサブプライム問題で、
円高になって景気が悪化してきている状況の下で、
税収がどうも怪しいし、
その上、歳出も財政再建できるかどうか
怪しい内容になってきています。
自民党としては
前回の参議院選挙で負けましたし、
また衆議院選挙も近いかもしれないので、
地方を喜ばせないといけないので、
歳出を削減して
地方に怒られないようにしたい
という配慮があるようです。
昔の抵抗勢力がまた蘇って
道路をはじめとする公共事業を
どんどんやるべきだというため
歳出がうまく削減できない上に、
税収がどうも予定通り
入ってこない見通しのようです。
プライマリーバランスは
2011年度までに
黒字化する予定だったのですが、
どうも黒字化しない見込みが
強まってきた状況です。


■社会保障、教育などの問題
社会保障については、
最近お医者さんが大変だということで、
診療報酬を少し上げようか
という話が起こりました。
ただ、その財源をどうするのか
ということについては、
「政管健保」という
中小企業の為に政府が管理している健保の
国庫負担を1千億円削減して、
そのお金を持ってくる
という話になっています。
それでは国庫負担1千億円を削減して、
政管健保は一体どうなってしまうのかといいますと、
そのお金は大企業の健康保険組合とか
共済組合からもってくる
という話になっています。
これには大企業の健康保険組合が怒って、
どうしてそっちの都合で
突然お金を持って行くという話になるのか、
といって最初は絶対反対という状況でした。
それが、厚生労働省に押し込まれて、
結局、今回だけということで認めましたので、
結局お医者さんの収入を上げる原資は、
大企業や国家公務員の共済組合からの
1千億円の拠出になったという状況です。


そして年金の問題も、
まだまだ時間もかかるし
お金もかかりそうな状況です。
お金がかかりそうな割に、
予算があまり計上されていませんので、
本当にこれで出来るのかということで、
いよいよ約束が達成されない可能性が
深まってきています。
それから教育ですが、
小中学校は増やして大学を減らす
ということをやっています。
小学校で正規の教員を1千人増やそうとか、
非常勤を7千人増やす一方で、
大学は国立大学も私立大学も予算を減らせ、
というようなことで
大学はいよいよ厳しくなっています。
これは私たち大学教員にも影響があり、
お金を使うなという話が毎年出てきています。


■補正予算と2008年度予算の今後について
今後についてですが、
先日、2007年度補正予算案が
衆院を通過しました。
毎年、最初に作る予算で
足りないものが出てくると、
補正予算を通さなくてはならなくなります。
それが1月29日に衆議院で可決したわけです。
このように補正予算は通りましたが、
2008年度の予算が
これから無事に通るかどうかというのは
心配な状況になってきています。
現在、2007年度から2011年度までの
5年間の経済財政見通しというのを
内閣府で作っているのですが、
これがちょっと心配な内容になってきています。
予定がどんどん狂ってきて、
プライマリーバランスが黒字化する予定なのが、
赤字継続になりそうです。
歳出削減を5年間で14.3兆円しよう
というような話をしていたのですが、
それをやると地方が怒ってしまって
選挙に負けるのではないか
というような声のもとに、
歳出削減の話はどんどん消えていっているのです。
そうした状況ですので、
この予算が成立した後に、
その内容については
しっかりと確認したいと思っています。

分野: 村藤功教授 |スピーカー:

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