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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 地方財源の見直し(財務戦略/村藤)

地方財源の見直し(財務戦略/村藤)

07/11/30

■地方財政と「ふるさと納税」
地方の財務比率を見て
改善が必要という話が
最近よく取り上げられています。
ひとつは、自治体間の問題で
東京と地方を比べて、
東京は1人あたりの税収が多いが
地方は不足しているように見えるという問題です。
もうひとつは、
中央政府と地方全体とを比べて、
中央政府から地方自治体へと税源を
移すべきではないかという問題です。
最近、これらふたつの問題が
入れ混じって議論されていますので、
話がさらに分かりにくくなっています。


そして今、政府の案として
「ふるさと納税」が上がっています。
これは、ふるさと(地方)から東京に出て
仕事している人は、元々はふるさとが
貢献しているのですから、
ふるさとに税金を返してほしいという
分かりやすい話です。具体的には、
各個人が支払う住民税のうち、
10%位を限度にふるさとに納税することを
選択できるという制度です。
そうすると自治体の方では、
毎年どのくらいの金額が納税されるのかは、
納税されるまで分からないということになります。
その点では、実行が難しい制度だと言えます。


■所得控除から税額控除へ
今までは
ふるさとの自治体に対して寄付をする場合、
10万円を超える寄付は所得控除されていましたが、
これからは、税額控除の対象になる案が出ています。
では、「所得控除」と「税額控除」の違いは何でしょうか。
所得控除とは課税所得を減らす話で、
一方の税額控除とは税金を減らす話です。
所得控除の場合、
寄付の金額に税率をかけた分だけ税額が減ることになります。
税額控除の場合は、
寄付の金額分だけ、税額が減ることになります。
そのため、所得控除よりも税額控除の方が
効果は大きいといえます。これまでは、
10万円を超える寄付に所得控除を認めるという話でしたが、
10万円を下げて5千円や1万円を越える金額で
税額控除を認めるという話になっており、
今までの寄付に比べると
ふるさと納税は効果が大きいはずだ、という話です。


■法人2税の見直し
他にも、法人2税の配分を
見直す話があります。
法人2税とは、
法人事業税と法人住民税のことです。
法人事業税とは都道府県がもらう事業税で、
法人住民税は市町村がもらう税金です。
法人事業税も法人住民税も、
事業所や従業員の数がどのくらいあるか
ということで税額が決まっていましたので、
事業所も従業員も多いところは、
税金が高くなります。つまり、
東京や大都市は税金を多くもらえますが、
事業所、従業員がいない地方はあまりもらえません。
これを見直すために、
事業所や従業員の数だけではなく、
人口なども配分基準に含めることを検討しています。
今のところ、法人2税の地方間格差は、
1番多い東京は1番低い長崎に比べて
住民1人当たりで6.5倍になります。


■消費税の内訳の見直し
この地方間格差を是正するための
もう1つの選択肢として、
消費税の見直しもあります。
現在は、消費税5%の内、
国が4%を取り、地方が1%を取っています。
国は4%全部を自分の物にしておくわけではなく、
その中の1.2%分を地方交付税として地方に配分しています。
この消費税の内訳を変更して、
地方分をより大きくしようという案が現在検討されています。


■立場の違いと戦い -総務省と財務省
国と地方では、
立場が異なりますので言い分も違います。
総務省であれば、地方に対する影響力を
中央として確保したいという意向もあります。
今までは、地方交付税を通じて
地方自治体に対しての影響力を
維持していましたので、
交付税をなくすわけにはいかないでしょう。
経済産業省は、
規制緩和によって権限を無くし影響力が弱まりました。
総務省は、この様子を横目で見ていますから、
地方交付税だけは死守しようとするでしょうね。


財務省の方は、
国の財政再建で頭がいっぱいで、
地方は総務省の問題だと思っているようです。
中央の有利子負債を削減する財源を
減らされては困るということが、
財務省が総務省に言いたいことです。
そういう意味では、
消費税の地方分を一部上げるのはかまわないが、
それであれば同じくらいの金額を
法人住民税と事業税で国の財源に回してほしい、
国の税収総額は確保したい、
というのが財務省の立場です。


■東京都と環境税
東京都も、地方との格差を
是正したいとはそもそも思っていません。
東京では、東京の暮らしが素晴らしいと
思っている人は結構少なくて、
こんなに格差が大きく、
インフラの整備していないところはない、
と思っているのが普通です。


実際、1人あたりの税収が
地方に比べて何倍かあるように見えても、
東京でそれを使うと、何分の1のものしか買えません。
地方とそれほど格差があるのかよく分からない状況です。
東京としては、
ジニ係数や生活保護率は全国平均よりも高く、
収入は減らすよりは増やしたいという主張をしています。


現在では、東京独自の税金導入を検討しています。
たとえば、環境税の導入です。
ガソリン1リットルで1.9円を課す
炭素税で500億円の調達。
その他、電気ガス税や自動車税、
それから法人都民税を引き上げて
緑化税と名前を付けようというような
さまざまな選択肢を検討しています。


■今後の展望
地方間の格差のみを
解消しようする考えでは、
東京から地方にお金を移すという話になります。
しかし、これは問題の本質ではありません。
重要なのは、
中央と地方のアンバランスを解決することです。
歳入は、中央が全体の60%、地方が全体の40%です。
歳出では、中央が40%、地方が60%。
地方は、全体の40%しか収入がないのに、
60%の支出を必要としていることが問題です。
現在、地方交付税で、
中央から地方へお金だけを移そうという
発想になっていますが、
日本は工業からサービス業へと人口も移っており、
医療や教育などのサービスは中央でなく
地方によって最適配分の企画をすることが必要です。
そのためには、中央から地方に
サービス関連行政を移していかなければなりません。
ただ、財務省が言うように、中央にはお金が全くありません。
中央から地方に金を移さなければならないのに
中央に金がない問題をどう解決するのかもこれからの課題です。

分野: 村藤功教授 |スピーカー:

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