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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > 福岡空港の将来像 (国際経営・国際ロジスティクス/星野)

福岡空港の将来像 (国際経営・国際ロジスティクス/星野)

07/11/28

今日は、福岡空港の将来像という
テーマでお話したいと思います。


■福岡空港の現状と問題点
ここ数年、福岡空港の年間離発着回数は、
14万回前後という逼迫した状態が続いており、
容量限界に近づいているといわれています。
またその運行頻度は、
朝夕のピーク時における山手線の
外回り電車の運行本数よりも多い状態です。
山手線の電車は、2分半に1本くらいの間隔ですが、
福岡空港ではそれ以上の頻度で
航空機が運行されていることになり、
いかに過密かお分かりいただけるかと思います。
また、深夜と早朝の便の利用が制限されていることや、
滑走路の長さから貨物機が利用できないなどの
制約もあります。


福岡空港は、
国内でも最も都心部の近くにある空港です。
その影響により、天神地域の建物の高さにも
制限が課されているため、
福岡には高層ビルが少ないのです。
これは、私たちにとっても、
非常に身近な問題といえるでしょう。
ただし、その一方で、福岡空港は
日本で最も便利な空港であることも確かです。
都心部に近いことは、良い点でもあるし、
制約にもなっています。


■福岡空港の将来像とパブリック・インボルブメント
福岡空港の将来のあり方について、
市民に情報を提供し、
広く意見を取り入れながら考える
P.I.(パブリック・インボルブメント)が
盛んに行われています。
福岡空港の見学会や説明会、
県内各地でのオープンハウスが開催されたり、
11月下旬までは空港内・県庁・市役所などに
インフォメーション・コーナーが
設置されています。
こうした取り組みにより、市民の方々に
福岡空港について知っていただき、
様々な考えをフィードバックしていただくことが
意図されています。


P.I.には、
全体で4つの段階(ステップ)が設定されていますが、
いよいよステップ3に入ったといえます。
ステップ1と2では、福岡空港の現状に基づいて、
供給能力と地域の将来像を含む将来予測を考慮した
需要の両面を見据えつつ、検討が加えられてきました。
これまでは、新北九州空港や佐賀空港などの
近隣空港との連携、現空港の機能拡張、
新空港の建設の三方策が議論の対象でした。
今回のステップ3では、
絞り込みの段階に入ったといえます。
つまり、この段階で、
利用制限や需要誘発を期待した
近隣空港との連携については、
現実的には難しいという観点から、
選択肢から外されることになりました。
残されている選択肢は、
現空港の機能拡張と新空港の建設の二つです。


現空港の有効活用案としては、
平行滑走路を西側と東側に増設することに関して、
3種類の拡張策とその建設費の概算が示されています。
例えば、
現在の滑走路の東側に300メートルの間隔をあけて、
もう一本の全長2,500メートルの滑走路を増設するには、
概算で7,500億円が必要と試算されています。
最も額の小さい2,500億円のプランは、
西側に210メートルの間隔で
滑走路を増設するというアイデアです。
工事は最も簡単ですが、滑走路が近接しているため、
様々な利用の制約が考えられます。
実際にどの程度の能力増強になるのかは
必ずしも明確ではありませんが、
新宮沖や志賀島などの新空港案と共に、
より現実的なプランに近づいていることは
評価できると思います。


一見すると、現空港の活用案は、
新宮沖や志賀島の新空港建設案よりも、
費用がかからないように思えるかもしれません。
しかし、現空港は借地をかなり含んでおり、
年間100億円弱の借地料の支払いがあります。
また、防音のための整備に要する費用も
毎年予算化されています。
先ほど述べたように、天神地区の建物の高さの
制限という問題もあります。
したがって、新空港を建設すると費用がかかり、
現空港を活用するなら
費用がかからないというような、
単純な問題ではないのです。


P.I.においては、いずれの方法についても、
情報がまだ十分には提供されていないと思います。
そうした中で、市民の方が
自分の考えを持つことは難しいでしょう。
現段階では、一般市民の考えを聞いて、
空港の将来のあり方に反映させようとしても、
中途半端な人気投票にしかなりえないという
問題があります。


■福岡空港の将来像に関する大きなビジョン
これからの福岡空港のあり方を考える際に、
今後の九州の経済成長や人的交流の増加、
少子高齢化、九州の道州制の導入、
新幹線全通の影響など、様々な変動の可能性を
内包する需要予測が考慮されています。
ただし、最近開港された新北九州空港や神戸空港、
あるいは2009年3月に開港が待たれる
静岡空港などの影響により、
本当に想定された需要に届くのかどうかが
心配されています。


そのような中で、福岡空港については、
福岡がどのような都市であることが期待されているのか、
その都市機能をサポートする空港とは
どのような性格を持つべきなのかを考えることが、
はるかに重要なのではないかと思います。
貨物も扱うこともできれば、24時間利用が可能といった
自己完結的に運用される高度機能の空港なのか、
制約を受けつつも
国内で最も利便性に優れた空港であるのか
といった考え方もできます。
それは、福岡が九州における
道州制の中心としての一極集中の都市なのか、
ドイツの都市のような文化、経済、政治などの
機能分散の中での中心なのかということにもなります。
何よりも、大きなビジョンを描くことが
必要なのではないでしょうか。

分野: 星野裕志教授 |スピーカー:

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