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QT PROモーニングビジネススクール > 過去の記事一覧 > サブプライムの焦げ付き (財務戦略/村藤)

サブプライムの焦げ付き (財務戦略/村藤)

07/08/31

最近、また株が下がり始めていて、
その原因の1つにアメリカ市場での株の下落があります。
さらに辿っていくと、
住宅ローンのサブプライムの焦げ付き
ということが盛んに言われています。
今日はこのサブプライムの焦げ付きということが、
どういう事なのか解説していこうと思います。


■サブプライムローンとは何か
アメリカでは随分前から、
住宅市場がヤバイのではないかと心配されていました。
ずっと上がり続けていた住宅市場でしたが、
そろそろバブルが崩壊するのではないかということで、
みんなが心配し始めていたのです。
そもそも、アメリカの人達が住宅を買う場合には、
日本と一緒で住宅ローンを借りて買うわけですが、
その時のローンに「プライムローン」と
「サブプライムローン」という2種類があります。


プライムローンというのは、
割と信用力がある借り手に向けたもので、
銀行のほうでもちゃんと返せるだろうと思って
安い金利で貸すというローンです。
その一方で、サブプライムローンというのは、
信用力の低い個人に向けた高金利のローンであり、
ハイリスク、ハイリターンの貸し出しです。
銀行としては、金利も元本も
返ってくるかどうか少し怪しいのだけれど、
高い金利を払ってくれるので、
とりあえず貸すというようなものです。
日本ではあまりハイリスク、ハイリターン型の商品がないので、
住宅ローンは、みんな同じくらいの金利で借りていたりするのですが、
アメリカに行くと、個人の信用力によって、
安く借りられたり高く払わなければならなかったりします。


このようにサブプライムというのは、
ハイリスク、ハイリターン型の商品ですから、
高い金利を払っていて、
ちょっと危ない人達が借りているということで、
プライムローンと比べると、
元々ちょっと心配な商品ではあります。
どうして、このようなサブプライムローンというものが、
市場でどんどん利用されるようになったのでしょうか。


■サブプライムローンがなぜ拡大したか
アメリカの場合、もともと
ハイリスク・ハイリターン型の金融商品に
お金を出す投資家たちがいました。
そして、そういう人たちが、余っているお金を、
トリプルB未満の格付けをもった、
ハイリスクだけどハイリターンをもらえるような投資に
出資するためのマーケットを探していました。
投資家たちは、お金が余っていても、
なかなかいいリターンを稼げる金融商品が無かったのですが、
アメリカの住宅価格がどんどん上がっているなかで、
普通では住宅なんか買えっこないのだけど住宅が欲しい、
欲しいのだけど買えないという人達がいましたので、
彼ら向けのハイリスク、ハイリターンの
サブプライムローンを証券化した金融商品が
投資対象になったわけです。
銀行としては住宅価格がどんどん上がるので、
ろくな審査もせずに貸し出しても
大丈夫だと考えたわけです。


住宅価格がどんどん上がるので、
銀行は借り手が返せなくなっても
追い貸しをすればすむ状況だったのです。
サブプライムローンの借り手は、危ない人達なので、
金利も払えなかったりするわけです。
金利も元本も払えないのですが、
それでも住宅価格が上がっていますから、
住宅を担保に追い貸しして返済させていました。
住宅価格が上がるのを担保に
追い貸ししていたわけですから、
住宅価格が下がると担保にする価値がないので、
銀行は追い貸ししなくなるばかりか担保不足になるので
借入の縮小や返済を迫ることになります。
それで支払ができなければ
債務不履行ということになりますので、
あっという間に債務不履行が
増え始めたという事なのです。


■悪循環のはじまり
この問題は、非常に大きい問題として
懸念されていましたが、
国は破綻が始まるまで何も介入しませんでした。
みんなが危ない危ないとずっと言い続け、
いつ住宅市場が崩壊するかと、
固唾をのんで見守っていたのです。
そしてついに焦げ付きの増加がはじまりました。
サブプライムローンの延滞率は、
今年の第1四半期に16%くらいになりました。
これは今までに比べるとすごく高いのですが、
突然過去最高に上がってしまったという事で、
これはヤバイということになりました。
銀行は、これからは落ち着いて
ちゃんと審査して貸すぞと考えましたが、
審査して貸すということになると、
貸せない相手が出てきます。
そうすると売れるはずだった住宅が売れなくなり
住宅の値段が下がるという悪循環がはじまるわけです。


今まではその人では買えないはずの住宅が、
サブプライムローンが借りられるから買える
ということだったわけです。
しかし、今後はその買い手が
いなくなってしまう事になりますから、
需要がどんどん減っていきます。
需要が減れば住宅の価格が下がります。
株価も、まず住宅関連企業や、住宅にお金を貸したり、
住宅ローンを証券化したり
証券化商品に投資したりしている金融機関の株が、
すごい勢いで下がりました。
驚いた投資家がリスク資産から安全資産に資産を移したので
株式市場全体が下がりました。
家計や家計が支えていたファンドが
住宅と株でやられてしまったので、
リスク資産回避の流れが各種の市場を襲って、
負のスパイラルが起き始めたようです。


■いろいろな所で出た損害
いくつかのファンドは大きな損害を被ったようです。
例えば、ベア・スターンズ(Bear Stearns)の
傘下にあったファンドなどは、
自己資本部分が全部飛んでしまって、
出資者が出したお金は返ってこないと思って下さい
というような話になってしまいました。
FRBでグリーンスパンの跡を継いだバーナンキ議長は、
損失の見込みは6兆円から12兆円程度だろう
というようなことを言いました。
FRBとしては、
6兆円から12兆円くらいで済みそうなので
たいしたことはないから、
みんなちょっと落ち着いてといいたかったようですが、
かえって動揺した人も多かったようです。


ダウも下がるしヨーロッパのFTも下がるし、
日経平均も下がるしと、
一時は毎日2、3%ずつ下がってきており、
ちょっと心配な状況になりました。
日本でも野村證券が、
アメリカの住宅ローンの証券化をやっていたらしく、
今年の上半期に726億円の損失を計上した
ということを発表しました。
日本の投資家は経済回復の流れに乗って、
証券市場、投資信託などで、儲けはじめていましたが、
野村證券の損失は大きな不安要因となりました。
ヨーロッパの方でもいろいろな損失話が
徐々に明らかになりつつあります。


ただ、日本の銀行そのものは、
それほどやられてはいないようです。
UBS証券の調査によれば
日本の金融機関の投資は、
ほとんどトリプルB以上の
投資適格の証券に投資しているので
大きな損害はないらしいということです。
野村證券は、投資適格証券に投資していただけでなくて、
住宅ローンやサブプライムローンそのものの証券化にも
手を出していたらしいのです。
サブプライムローンを証券化した商品に投資された方は
損失も大きくなる可能性があり本当にお気の毒です。


■その他の影響
その他の影響としては、
みんながちょっと怖くなってしまったということです。
ハイリスクでやられた人が多くなったので、
ハイリスク商品はみんな危ないのではないかといって、
ハイリスクから逃げて、安全な物に投資するということで、
突然みんながアメリカの国債を買いにいったりしています。
みんながアメリカの国債を買いに行くと
何が起こるかといいますと、
国債の値段が上がって金利が下がるということで、
ついこの間まで5.2%なんて言っていたアメリカの長期金利が、
もう4.7%まで落ちてきました。
こういう形で、みんなが危なそうな物から手を引いて
安全な物に資産を移し始め、
こうしたことが当分続きそうな状況になってきています。

分野: 村藤功教授 |スピーカー:

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